MIU404だけ見たっていいんだ
前回はアンナチュラルについてダラダラ書きましたので
今回は当然MIU404です。
アンナチュラル、MIU404、そして映画「ラストマイル」の繋がりなどは前回言ったから割愛して、今回も「MIU404だけでも見てほしい」というお話。
アンナチュラルとMIUってセットみたいになってるけど、どっちが先でもいいので!
どっちかだけ見ても全然大丈夫なので!
本文は無料で最後まで読めます。
ハイライトとしては
MIU404はダンゴムシいっぱいみつけたみたいな一瞬のきらめきの連続
志摩ちゃんはパンダバウム
何ならMIU401を見てほしい
ってあたりですかねえ。
有料部分はMIU401とか、主題歌「感電」のこと、そして最終回について語り尽くすというか書き殴るというか、ネタバレありで語ります。
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MIU404から見てもいい、MIU404だけ見てもいいい
まず、アンナチュラルは見なくていいの?
順番気にしなくていいの?という話を先に。
冒頭から申し上げておりますとおり、まったく問題ありません。
アンナチュラルとMIU404は別作品なので。
確かに同じ世界線の話ではあるのですが、続編というほどの繋がりはない、独立したドラマです。
繋がりがあるとすれば「同時期の東京都内で起こっているドラマ」というだけのことで、関係ないっちゃないし、同じ警視庁所属の人物が出会うことがあってもおかしくはない、そんな距離感。
絶対に両方見るぞ~っていう心意気ならアンナチュラルから見れば間違いないと思うけど、アンナチュラルを見ようと思ったけどなんか進まないっていう人はいっそMIU404を見ましょう。
アンナチュラルって「法医学」とかよくわかんないし、辛気臭そうだし、とっつきにくく感じる人もいるかもしれない。
実際そんなことはないけど、だとしてもMIU404はそれに比べるとだいぶとっつきやすいです。
設定も基本的に「刑事ドラマ」だし、ストーリーも画的にも派手で分かりやすいものが多い。
どっちが好きか、どちらが面白いかは人によるだろうけど、「とっつきやすさ」「分かりやすさ」では絶対MIU404なので、アンナチュラルで二の足踏んでる人いたらMIU404見てみてとお勧めします。
MIU404はたった一瞬のきらめきの連続
MIU404ってどんなドラマなのか、それを語るのがなかなか難しい。
ということにこれを書いて気がついた。
「何の」ドラマかといえば”警察で機動捜査隊でバディもの”なんだけど、「どんな」ドラマかというのは一言では言い難い。
アンナチュラルって、口を揃えて「夢ならばどれほどよかったでしょう」のタイミングが神だとかいうじゃん。
アンナチュラルは、「苦いレモンの匂い」を通して、見た人が同じものを受け取ってる感覚がある。
同じテーブルについて、突きつけられた夢ならばどれほどよかったでしょうを飲み干し、あの日の苦しみにあの日の悲しみを和えたものに切り分けた果実をそえて口にした、あの味をみんな今でもおぼえている。
そういうかんじなんだけど、MIU404の「そういう部分」はまったくそんなかんじじゃない。
なんかこう、明け方の空に流れ星がシュッと光って消えて、「今の見た!?」「見てなかった!?」みたいなイメージ。
単純に警察エンタメドラマとして、熱いバディものとして視聴すればよくて、十分に面白く成立していて、それ以外に何を受け取るか、何を見るかはお好きにどうぞって雰囲気がある。
毎回の読後感?みたいなものが、空にピカピカとカラフルに点滅する光を追いかけるみたいな、床に転がるビー玉みたいな、石をひっくり返してみたらいっぱいダンゴムシいたみたいな、ポッピングシャワーみたいな、なんかそういう「なんかちいさくてキラキラしたものが散らばってる」イメージなんですよね、わたしの中では。
あ、これまさに「たった一瞬のこのきらめき」(米津玄師「感電」)じゃん。
今思った。
主題歌についてはネタバレ交えてあとでまた話しますが。
とにかく、他の人がどう感じてるかはしりませんが、私はそんな風に思ってる。
それをあまり気に留めない人もいるかもしれないし、一瞬を一瞬として美しく感じる人もいるかもしれないし、黄色いビー玉だけ集めてる人もいれば、全部残らず拾い集めて缶に大事にしまってる人もいると思う。
だから未視聴の方に、そこを解説するのってめちゃくちゃ野暮だと思っちゃった。
かといって「何のドラマか」を話すと、「性格正反対バディがお互い影響し合いつつ事件を解決する機動捜査隊の刑事ドラマ」で終わっちゃうんだよな~~~って思ってたんだけど、考えてみればMIU404で語るべきは「人間」と「人間関係」だわ。
バディが距離を縮めたり、分かりあったり喧嘩したり、同じチームの仲間との絆が深まったり、人や事件を通じて成長したり、そういうのだわ。
テレビドラマってこういうのが普通にあることが多いと思うんだけど、その当たり前をごっそり排除してるのがアンナチュラルだから、対比で語ろうとしたら当たり前の部分が抜け落ちてしまった。
というわけで、めちゃめちゃ抽象的な話をしてしまいましたが、ここからちゃんと具体的に内容の話をします。
MIU=機動捜査隊
そもそも「MIU」っていうのは”Mobile Investigative Unit”=「機動捜査隊」のこと。
刑事ドラマは刑事ドラマなんだけど、捜査一課とかじゃなくて、刑事部の機動捜査隊が主役のおはなしです。
機動捜査隊、略して「機捜」。
普段は覆面パトカーでパトロールしてて、通報が入ったらいち早く駆けつけて初動捜査を行う。
24時間勤務の交代制で、初動捜査以外にもほかの捜査の応援に駆り出されたりもする、機動の名の通りのフッ軽部隊。
それが「機捜」です。
現実には第1~第3機動捜査隊が存在してて、ドラマ内では「働き方改革」の名のもとに臨時で「第4機動捜査隊」(4機捜)が増設された設定。
その架空の4機捜が活躍するドラマとなります。
機捜のドラマの面白みとしては、
通報があったら駆け付けるので事件のジャンルが様々
っていうのが一番かな。
あとは基本的に二人一組で車に乗ってるのが通常な上に24時間勤務なので、「バディの物語」感は強くなります。
そして機捜の特徴として「初動捜査」がメインというのがあります。
現場にかけつけ初動捜査を行ってるうちに、所轄などの然るべき人たちが駆け付けるので、機捜は報告書を作成して引き継いで終わりになります(引き続き捜査を手伝うこともある)。
まあそこはドラマなので、あの回のあの事件どうなったか分からないままだなあということはなく、最後まで関わってくれるんですが。
404 志摩と伊吹とメロンパン号
主役となるのは、ルールを重んじる志摩(星野源)と、野生児の伊吹(綾野剛)のバディ。
この二人の識別番号が「404」なので、MIU404とはこの二人のことですね。
同い年で階級も同じだけど正反対の二人がお互い影響し合いつつ、事件を解決したり、分かりあっていったりする。
平たく言うとそんな感じです。
だけど志摩はただの堅物じゃないし、伊吹もただのバカじゃない。
ルールを重んじる人間である志摩がただの堅物じゃないことは、第一話で警察署の窓からうどんの湯切りをしていることですぐに分かるでしょう。ダメだよ志摩ちゃん、窓から湯切りは。さすがに。
志摩一未(星野源)は元捜査一課の優秀な刑事だけど、なんやかんやあって干されてた。
そのなんやかんやのせいなのか、元からなのか、志摩は自分も他人も信用しない。
「直感」「刑事の勘」みたいなものに頼ることはまずない。
地道に証拠を積み上げ、論理的に説明がつく確実な推理しか口にしない。
1話で志摩は
「規則は必要だからある」
「警察は権力を持っているからこそ慎重にならなければいけない」
ということを伊吹に説く。
ただルールを守るためにルールを守ってる真面目なだけの人間でも、底意地悪い人間でもないということがよくわかるセリフで好き。
わたしの志摩ちゃんのイメージは「型抜きパンダバウム」ですね。
パンダじゃなくてもいいし、型抜きでなくてもいいんですが。
要するに「層」になってるイメージ。
理性的な志摩、理性的であろうとする志摩、他人を信じない志摩、過去にとらわれる志摩、嫌味な奴と嫌われる志摩、上司への恋心駄々洩れの志摩
誰だっていろんな要素で出来てるもんだけど、志摩の場合「吸収」したり「変わった」りっていうよりも、その仕事ぶりのように地道に積み重ねて志摩が出来てる感じがする。
穏和そうな見た目に反して温度低めだし、そのわりに「志摩ってそんなこと言うんだ」「志摩って窓からうどんの湯切りすることに躊躇いがないんだ」みたいなことがあって面白い人です。
一方の伊吹は「まるごと伊吹」ってかんじ。
もちろん伊吹だって、様々な経験が積み重なって伊吹藍が出来上がってるに違いないんだけど、それがシームレスに交じり合って「どこを切っても伊吹藍」になってる気がする。
伊吹藍(綾野剛)は志摩の真逆で、「勘」「直感」みたいなもので動いちゃう。
ものを知らず、考えが甘く、カッとなりやすく、同僚からの評判はすこぶる悪く、部署を転々とした挙句、奥多摩の交番に飛ばされ8年。
組む相棒がいなくなってしまった志摩が「誰でもいいから相棒を」と懇願したおかげで4機捜にやってきた。
嗅覚とか聴覚とかは優れてるものの言語化ができず「勘」「なんとなく」としか言えないだけで、能力が低いわけではない。
自分も他人も信じない志摩に対し、伊吹は人を信じすぎる。
ヤンキー的な舐められたら終わりみたいなマインドは持っててマウント取ったりするんだけど、ただのヤンキーマインドであって、「自分が得しよう」みたいな感じがない。
打算がなくてまっすぐでバカで、ひとことで言えば「かわいい」です。
こんな二人なので志摩が伊吹に小言を言う場面はたくさんあるけど、思いのほか仲良くやってます。
こういうのってもっと最初は険悪で、喧嘩ばっかりしてたけど、だんだんと分かりあっていく…ってイメージだけど、仕事のルールみたいな基本的なところで注意してるだけで、最初からそんなに仲悪かった記憶がない。
メロンパン号のおかげもあるかもしれませんが。
404はメロンパンの移動販売車に乗っています。
意味はありません。
「潜入捜査のため」みたいな大義名分があるわけではなく、単純に「車が他にない」のでこうなってます。
間の抜けた「まるごとメロンパン」の歌も流れます。
メロンパン号で繰り広げられる志摩と伊吹の軽快なやりとり、多分これがMIU404の一番の魅力だと思います。
401 陣馬さんと九ちゃん
そして志摩伊吹以外の機捜メンバーも魅力的なんですが、4機捜のもう一組のバディ「401」のふたりがわたしはとても好き。
「MIU401」放送してほしい。
401は「昔気質の叩き上げ勤続35年のベテラン強面デカ」と「警察の偉い人のご子息七光り新米キャリアの今どきの若者」という、こちらも一段と分かりやすい対比。
「俺の酒が飲めんのか」を地でいく陣馬さん(橋本じゅん)と、「それ仕事じゃないですよね」と飲みを断れちゃう九重(現・水上恒司)。
そんな九重くんも、陣馬さんや機捜の仕事に影響を受け次第に変わっていく。
キャリアのおぼっちゃまが現場で鍛えられていくのなんて、警察ドラマベタじゃんって思うじゃないですか。
それはそうなんだけど、描かれ方や二人のキャラの良さで特別なものになってる。
主役じゃないからそこまでこのコンビや九ちゃんについて時間が割かれるわけではないけど、1話1話少しずつだけど確実に変化していく様がきちんと描かれてる。
1話から最終話まで、無理なく無駄なく、ひとつずつ九ちゃんの心に何かが灯っていく、ピタゴラ装置みたいに軌道が変わって、見えなかったものが見えるようになる、見え方が変わっていく。
九ちゃんのキャラの可愛らしさの出していき方もとてもおじょうずで、最後にはクソかわいくなっちゃってるのずるい。
陣馬さんも「古い体質の人」代表みたいなポジションに配置されてはいるものの、年下の女性上司を疎ましく思うこともなく、その上司からも強い信頼があり、部下の志摩への敬意も感じるし、伊吹のことも否定しない。
そりゃあ人望あるよね~って人なんです素敵最高。
九ちゃんが現場でバディ組んだのが陣馬さんで本当に良かった。
ケイゾクファン向けの余談も余談ですが、九ちゃんの父親、九重刑事局長を演じてるのがケイゾクの林田でお馴染みの矢島健一さん。
腰巾着の林田も偉くなったなと思いつつ、遠山金太郎であり矢部謙三である生瀬さん(刑事部長・豆治役)がゴマすってんのも面白い。
余談でした。
「感電」は誰の物語にもならない
そして、アンナチュラル同様、MIU404の主題歌も米津玄師です。
アンナチュラルとLemonは、切り分けた果実の片方のように一心同体的な関係性だったんですが、MIU404と感電の関係性は全然違います。
「感電」はMIU404を見る前から好きな曲だったんで、毎回あのかっこいい曲が最後にかかって嬉しいなぁと思うくらいでした。
Lemonって
三澄ミコト/石原さとみ
中堂系/井浦新
Lemon/米津玄師
久部六郎/窪田正孝
東海林夕子/市川実日子
くらいの位置に収まってたはず。
メインキャストだった。
感電はそういうポジションじゃなくて、わたしは「優秀なエンドロール」だなと思ってました。
寄り添わないし、代弁もしない。
Lemonとは真逆の、その「素知らぬ顔」が心地よい。
ただ、「たった一瞬のこのきらめき」とか「稲妻のように生きていたい」とか、MIU404の刹那的なキラキラにリンクして、感電もまたそのキラキラのひとつになってる。
感電が物語を輝かせてるもののひとつなんだけど、そのかがやきのひとつに感電もあるっていう、だまし絵みたいだけど、なんかそんなイメージ。
感電については最終回のネタバレも含めて話したいので、一旦ここで終わります。
まったくまとまりがない感じになりましたが、まとめるとMIU404は面白いので見てくださいってことです。
軽快で、1つ1つは重苦しくないから、楽しく軽く視聴して大丈夫です。
人によっては弾を全部受けてしまってアンナチュラルより重傷を負う人もいるんですけど、それも運命だから。
未視聴の方は見たらまた戻ってきてくれたら嬉しいです。
最終回のこと書いてたら思いのほか言いたいことがたくさんあったみたいで、記事分けた方がいいかな?っていうボリュームになっちゃったんですが、うるせえ読む方が分けて読めばいいだろってことでよろしくお願いします。
単体購入も可能ですが、月額でも同じ価格でアンナチュラルのも読めますので是非メンバーシップをご利用ください。
来月は(前後するかもしれませんが)「花束みたいな恋をした」の話をしたい気持ちがあります。
では。
「感電」めちゃくちゃいいなと思ったのは、青池透子回ももちろんそうなんだけど、一番は6話でしたね。
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