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お父さん、何歳?

以前、住んでいた実家は、終戦の翌年に建てられた超ボロい借家だった。

おかげで、ネズミとは年中仲良しで、その辺に食べ物を出したまま寝てしまおうものなら、必ず、翌日にはかじられてしまっていたし、本棚の裏側には、いつでも、ネズミのフンが落ちていた。

節分の日には、母に「家で豆をまくとネズミが出るから、豆は外でまきなさい」と言われ、子ども心に、どことなく「鬼は外、福は内」の言葉に矛盾してないか?と感じながらも、家の前で、外に向かってまいていた。

そんなことを思い出す今日は、節分。

「お父さん、何歳?」

「70歳」
「70歳?違うよ^ ^」

「80歳か?」
「80歳?ううん、違うよ^ ^」

「90歳か?」
「ハハハ、通り過ぎちゃったよ^ ^」

節分の日には、6年間毎年、この同じ会話をしてきた。

「お父さんは、88歳だよ。今日は節分だでね。歳の数だけ、お豆食べてね^ ^」

こういうと、父は決まってフフフと笑い
「そんなに食えっこねぇじゃねぇか」
と、静かに言って、またクスクスと笑う。

今年も、我が家には福が来た。

6年間、こうして変わらず、またこの会話ができたのだから。

来年も、また、この会話ができるといいね、お父さん。

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