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甘栗

縄手通り商店街にある越中屋さん(フルーツ専門店)の天津甘栗、鉱泉せんべい、市田柿の干し柿、落花生。

わが家で、ほとんどお正月にしか買わない可能性が高い定番のお茶菓子です。

毎年、お正月に甘栗を剥いていると思い出すのが、私が幼い頃、両親が2人がかりでせっせと栗を剥き、小さい私が1人でパクパク食べていたと話しながら、クスクス笑う亡母の姿です。

今年のお正月も、早速、父の手が甘栗に伸びました。不器用になった指先で栗皮を細かくちぎり、だいぶ時間がかかってやっと口の中へ。父の胸元や手元のコタツがけには、栗の細かい残骸が散らばりまくっています。

父に剥かせたことを後悔しつつ、父の胸元を片つけて、次からは私が剥くことに。

私が、栗と落花生をせっせと剥いて器に入れると、父は黙ったまま、美味しそうにパクパク食べます。

今年の栗は少し剥きにくかったこともあり、なかなか私は食べられず、父が満足して食べるペースが落ちた頃には、私の指先は痛くなっていました。

今は、私がせっせと栗を剥いてお父さんに食べさせてるね。今年も亡母が、頷きながらクスクスと笑っていました。

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