【大麻使用罪】大麻は悪なのか~日本と海外の対応なぜ違う?|犯罪学 教授が解説
2024年12月12日から「大麻使用罪」が創設されました。大麻については日本と海外の姿勢の違いが知られています。その背景や考えられる課題について解説します。
スタッフからひとこと
大麻をはじめとする薬物使用について語る時、いつも、言葉が足りているか気がかりなことがあります。それは、私たちは「みんな、好きに薬物使えばいいじゃない!」とはまったく思っていない、ということです。それぞれの理由で薬物を使用している人に対して、一部、違法とされた薬物に対して「刑罰を科す」という対応は違うんじゃないか、他の対応の可能性があるんじゃないか、と考えているということです。
例えば、数十年前は妊娠中の人がそばにいても、みんなタバコを吸っていました。場合によっては、ご本人も。今、そんな光景はなくなりました。妊娠中の飲酒も随分と減ったのではないでしょうか。私たちは、妊娠中の方の前でタバコを吸うことは犯罪である、と厳罰を科されるようになったわけではなく、タバコが胎児や母親に与える影響を学び、他の方法(煙を出さないもの等)を知ったことで、自分たちで吸わない選択をしたはずです。
お酒も同じです。お酒やタバコを、CMや映画やドラマに出てくる"大人の証"だと思っている、若き日の自分と仲間たちに、アルコールやタバコが成長期の私たちの脳にどんな影響を与える薬物なのかを教えたいと、いま、思っています。
日々のテレビや配信には、お酒やギャンブルのCMが溢れています。外国で暮らしたことのある人たちから「お酒のCMなんかまったくなかった。」と聞くまで、溢れるCMに疑問を持ったことはありませんでした。
大麻に関しても、きっと、知らないことがたくさんあると思います。今のように「犯罪だ」と刑罰で対応するのがベストなのか、まずは知るところから。ぜひ、お聴きいただけると嬉しいです。(み)
こんな話をしています
大麻の所持・譲渡、使用、栽培は禁止!法改正の内容も紹介します(政府公式ページ)
https://www.gov-online.go.jp/article/202412/entry-6856.html
★spotifyはこちら
★youtubeはこちら
※apple podcast、amazon musicでも配信しています。
犯罪学の視点から語るエンタメ作品
ツミナハナシを話すヒトたち
丸山泰弘:立正大学法学部 教授/知的エンターテインメント・クリエイター
山口裕貴:フリーランス(パラリーガルなど)
※2人とも、一般社団法人 刑事司法未来 理事
でてきた用語・人物
CBD(Cannabidiol:カンナビジオール)
CHILL効果
ハームリダクション(Harm Reduction)
ゲートウェイ・ドラッグ(Gateway drug)
批判的犯罪学
もっと知りたい
「大麻使用罪」について
「大麻使用罪」の施行にあたっては、様々なアプローチをしています。
MCの丸山泰弘が2023年11月 参議院厚生労働委員会にて参考人として出席しました。(「発言者一覧」で丸山の名前をクリックしてもらうとその場面に飛びます)
また、法人代表の石塚と丸山など、今回の法改正に危機感を持った刑事法研究者有志で意見表明を行いました。リンク先でその声明「大麻使用罪(施用罪)の新設に慎重な審議を求める刑事法学研究者の声明」をお読みいただけます。
「大麻使用罪の何が問題か」について、MCの丸山が記した論文はこちらから。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/law/5/0/5_10/_pdf/-char/ja
問題解決型裁判所について
様々な依存行為について、その背景にアプローチしながら、通常の刑罰とは異なる方法で解決を目指してく裁判所がアメリカでは設置されています。この問題解決型裁判所については以下の回で説明しています。
「ハームリダクション」とは
番組の中で触れている「ハームリダクション」とは、薬物の問題使用について刑罰とは違った形でアプローチしていく政策です。詳しくはこちらの回からお聞きください。
(※ #22 2023年11月28日配信)
番組フォローお願いします!
「ご質問」「ご感想・ご意見」「出演者へのメッセージ」「解説してほしいエンタメ作品」などみなさんからのメッセージをお待ちしています。メッセージフォームよりお送りください。
・メッセージフォーム
「丸ちゃん教授のツミナハナシ-市民のための犯罪学-」
・一般社団法人刑事司法未来
https://cjf.jp/