【やや酷評】ロボット・ドリームズ 感想【微ネタバレ】
こんにちは。つめけんと申します。
ロボットドリームズ見ました?絶賛ムードですねぇ、いや〜どうですか?あなたは。賛否で言うと。
私のスタンスを最初に言っておくと…やや否です。
全然好みじゃない。正直つまんなかった。
今からその理由を書いていくので、一回その振り上げた拳を下ろしてくださいね。賛否で言うと否だけど、嫌いってわけではないのでね。
簡単なあらすじ
孤独な犬と、その友達のロボットの話。
タイトル通りロボットの夢と現実が交互に語られる。
わけあって離れ離れになった友達同士がなんやかんやあってそれぞれ生きていく という大筋。
良かったところ
キャラに対して「コイツら生きてるな」と思わされる緻密な描写力を誇るアニメーションの出来は凄まじいと思う。そこに文句はない。
普段全裸で生活してる犬が泳ぐ時は水着履いてて、尚且つ水着脱ぐ時何故か腰にタオル巻いてたのと、アイスクリーム頭の不気味な奴が車運転してるシーンが良かった。何気ないシーンではあるけど、すごく心に残った。
良くなかったところ
ストーリーが…。心情的な違和感がずっと付き纏って、情緒が動かされることがほとんどなかった。
離れ離れになる展開
そもそも離れ離れになる展開がイマイチ釈然としない。あんな目立つロボが思っくそ転がってんのに放置してビーチ封鎖するか?とか犬がビーチから撤退した次のシーンで封鎖されてたってことは最終日のあの時間まで管理側に何も言われることなく一組でビーチ居られたんか?とかそれならなんで翌日以降は立入許可出ねぇんだよとかそんなに厳重警備ならクズ拾いはどこから湧いたんだとか家帰った瞬間に911かけろやとかとか。
嘆願書出したり侵入強行してしょっぴかれたりと、犬なりに頑張ってる描写はあったけど状況自体にやや無理があるからあまり効いてこない。
犬について
コイツにイマイチ感情移入できなかったことが、私の今作への評価を決めた最大の要因だったように思う。
楽しい夢とは裏腹に、良いことも悪いことも起こって時には生きづらいと感じることもある、それが人生。ってそれは良いんだけど、孤独に苦しむ犬がそれを解消しようと動いた結果得たものが新しいロボットだけで、しかもそれは店で買ったものでしかないってのがだいぶ引っかかる。
すごい意地悪い言い方をすると「お前みたいなもんは一生ロボットとだけ関わってろ」ってな話だよね、コレ。
最初のロボットのことは会えなくなってからも一年以上は思い続けたみたいだけど、結局その後替わりを見つけてルンルンハッピーなんだもんな。
一生思い続けろなんてことは言わないけど、なんかこう…半端に感じてしまう。
替わりを見つけると言っても、たとえば他の動物と仲良くなってロボットのことは段々忘れていくとかって話ならまだわかるんだけど、結局どこのコミュニティにも馴染めずに諦めて別のロボット買って替わりにしてるからねコイツ。穴埋めにも程あるだろ。
新ロボットに錆び止め加工をするシーンとかの「元恋人にこれやって失敗したから新しい人にはこれやらんとこ…」みたいな、過去に何かがあったから今はより良い行動を取れるっていう描写はまあ良いんですけど、ちょっと見る側が好意的に取りすぎかなとも思う。あんなことがあった海によく連れて行けるよなとか思いません?その前に。
新しいロボのことを思ってて過去から学んでるなら海にだけは連れて行くなよそもそも。なんでどうしても海に行きたいんだよ。
あなたは元恋人が死んだリゾート地に現恋人を連れて行きますか?私なら近づきたくもないですけどね。
鴨川で気持ちいいくらい取り憑く島もなく思いっきりフラれた日以降、鴨川に近づいたらあの日の匂いや気温や風量まで思い出しますけどね、私は。その後別の人と京都に行ったときも鴨川河川敷にだけは降りなかったですけどね、私は。あの日からずっと。君が何か伝えようと握り返したその手は僕の心の柔らかい場所を今でもまだ締め付けますけどね。
ロボットについて
大前提として、コイツは生き物じゃないわけですよ。
ロボットだからこそ生きる描写はあるけど、反対にロボットだから違和感のある描写もあってうーんとなった。アライグマによって復活したロボットは私のロボット倫理からするともう別のロボットなんですよ。別人。いやそんな細かい話は置いておくにしても、ロボットが過去をありありと想起して未練…みたいな話に、どうしてもイマイチついていけなかった。お前はもう生まれ変わったんだよ。今はアライグマから一心に愛されてやりなさい。お前はロボットであって人間じゃないんだよ。元カレなんか見てんじゃないよ。ロボットなんだから。
小噺について
間に挟まるロボットと犬それぞれの小噺も、なんかイマイチ乗りきれなかった。ボウリングしたりスキーしたり鳥が来たりね。「うんうん、そんなことがあったんだね…それで?」ってなっちゃう。現実に起きることとして扱われてるからドラマチックさがないのは自明なのかもしれないけど、いくらなんでも地味で…。もっと良くも悪くも劇的なことが起きてくれた方が良かった。退屈だった。
意地の悪いやつのせいでスキーが楽しくなかった…だの、良い感じの子ができたけど引っ越しちゃった…だの。半端に辛気臭いよ。お前もっとちゃんと喜んだり悲しんだりしろよ。
Septemberについて
ビバリーヒルズコップのメインテーマくらい何度も何度も繰り返し流れるアースのSeptemberも、そこまでうまく使えてるとは思わなかった。
もちろん下手な使い方ではなかったよ?ゴジラ×コングのKISSとかソー4のガンズみたいな「制作者が好きだからなんの必然性もなく流した」みたいな考え無しな使い方ではなかった。
とはいえ、薄ぼんやりと「思い出の曲」として扱われてただけ。元々すごい良い曲だから良い感じに見えるけど、実態そこまで本編の雰囲気と噛み合ってはなくないか?と思いましたけどね、私は。