瀬戸ツクルスクール&瀬戸プラクティカルカレッジ見学記 5人目
2024年11月14日(木)に上越から5名の大学院生が見学に来てくれました。それぞれの振り返りです。5人目です。
見学記 5人目
瀬⼾ツクルスクールの⾒学をする中で,来年から公⽴学校の教員としてどのように⼦どもたちと関わっていくのかを考えさせられました。
「学習者主体で〜」,「探究的に〜」など,⼤学の講義では綺麗な⾔葉として多く聞きますが,学校現場とのギャップは⼤きく開いていることを体感しています。
教室で⽇常的に流れる光景といえば,授業時間ごとの達成課題(教師が定めたもの)が⼀律で決まっており,それに逸れてしまった⼦どもは教師からの叱責を受けるのです。果たしてそれは学習者主体で,⼦どもたちの探究⼼は担保されるのでしょうか。
⼀⽅,ツクルの⼦どもたちの様⼦は・・・今の私では⾔語化することがとても難しいのですが,⾃⼰選択・⾃⼰決定の繰り返されているという印象です。しかし,「⾃由」や「好き放題」ともまた違ったものです。⼦どもたちが「⾃律」に向かって他者とのつながりを持ちながら,⾃⼰選択・決定を繰り返して⽇々を過ごしている。というのが私の感じたものに近い表現です。
その環境を保証するのが瀬⼾ツクルスクールという場であり,⼀尾さんの考えであるということに対し,単純ではありますが「すごいなぁ」と頷きが⽌まりません。
午後の質問タイムでもお話しさせていただきましたが,午前中の観察で印象的だったエピソードを綴ります。
・ ⾷堂?を経営して,販売/仕⼊れ/調理までを⾃分たちで⾏なっている。それだけでなく,⾃主的に仕事に従事する⼦どももいる。もちろん味も美味しい!(ごちそうさまでした)
→ ⾃分の好きを⾃由に表現するだけでなく,スーパーごとの値段の⽐較や商売をするという社会体験という点も保証されているな、と。
・ 「わたし卵解くね!」「わたし炒めるね!」と,それぞれが役割を持ち,計画的に進めている。
→ 公⽴学校の調理実習は,積極的に活動に取り組む⼦,何もしない⼦が現れる。すると,教師はその活動においてのフリーライダーに対して注意を⾏う。注意された児童は適応感が低下する。という流れが⾒られる。
これまでの教育実習や学校⽀援プロジェクト等の現場体験においても当たり前のように⾒られ,教師という⽴場として注意していた⾃分もいる。もちろん,注意することが悪であると⾔い切ることは出来ないが,トップダウンの教育活動で児童のやる気が出ないのも納得がいく。⼀律で同じことを求め
るため,いわゆる「気になる⼦」が出てきてしまうのではないだろうか。ツクルの⼦どもたちに関しては「気になる⼦」が⽬⽴たない,というかいない。それも選択の⾃由が保障されていることが要因のひとつであると考えた。
・ 昼⾷時に近隣の飲⾷店を利⽤する⼦どもたちがいる。
→ どうやら 100 円でラーメンを⾷べることができる店があるらしい。1 ⽇の持ち込み⾦額の上限が 300 円であるため,彼らにとっては絶好の場所だろう。「⼀緒に来てよ」と誘ってくれた⼦どもたちに案内してもらう。通⾏⼈からの不思議そうな⽬線を感じながら 15〜20 分ほど歩いただろうか。⽬的地にたどり着いた。カウンターが良いのか,それともボックス席が良いのか,⼊⼝の前で議論を重ねる⼦どもたちの姿から頼もしさを感じた。300 円という限られた⾦額の中で,最善策を考え,選択する。それも実際に地域社会に繰り出すという形で。彼らの最年⻑は4年⽣だった。頭の中で⻄川先⽣が出てきた。「⼦どもたち集団は有能である。」といつもの声が聞こえた。
・ 「こっち(ツクル)の⽅が良い!」と話した⼦ども。
→ ラーメン屋に向かう道中は⼦どもたちと様々な会話をした。前の学校よりツクルが良いという4年⽣にその理由を聞いた。「前の学校では⾔葉の暴⼒を受けていたし,ツクルで趣味の合う友達ができた。反対していたお⽗さんも今では喜んでいる。」話を整理していると,友達というつながりができたことがこの⼦にとって⼀番⼤きいのだろうと感じた。ツクルスクールでは互いの年齢・学年を知らないことがある。意識せずに⾃然と異年齢での取り組みが可能である。社会的なコミュニケーションスキルも⾃ずと磨かれていくのだろう。
午前中の⼦どもたちの様⼦を⾒たり話を聞いたりして感じたこと,考えたことを中⼼に述べていきました。⾃⼰決定・⾃⼰選択が保障され,彼らがより主体的に活動できる環境がそこには広がっていました。公⽴学校の教員として,それも新任という⽴場で,⼦どもたちに裁量権を与える環境をどれだけ設定することができるのでしょうか。瀬⼾ツクルスクールがこれまでの学校教育の常識を覆すことができた。その要因や核をつかみ,そのエッセンスを初任の公⽴学校教員としてできる最⼤限の取り組みへと落とし込んでいきたいです。
変化の激しい時代に,公⽴学校は⼤きな変⾰が求められていると思いますし,間違いなく必要です。現状を変えていくにはリーダーとなる層が決断をしなくてはなりません。しかし,消費者意識で指⽰を待つのでなく,当事者意識持つことが重要です。本当に⼩さな⼒かもしれませんが,⾃分の担当するクラスだけでも⼀⼈⼀⼈が思い描く「幸せ」の達成に向かっていってほしいです。