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「マジやべぇ 命あやうし パクれよつくね」の話
こないだ私が体験した、少し怖い話。
心霊系ではないですが、一人暮らしの(怖がりな)方はアレかもしれません。
ある朝。
いつも通り、とあるワンルームマンションの一室にて清掃を始めた。
しばらくすると隣からドスドスした音がし始めたんだ。
なんとなーく
(隣の人……怒ってるっぽいな。フローリングの張替えとかもあったみたいじゃし、さぞうるさかったろう。数日前からうるさかったんでイライラしてるんだろうな)
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と気配で察したものの、私はフツーに(割と静かに)仕事してるので、これ以上静かにするのは無理……
(スンマセンなぁ。出来るだけ静かにしますけん)
と、思いながら掃除をしていると
ドンドン!!
ドガッ!!!
結構な音が玄関から聞こえた。
ザッザッザッ
……バタン。
隣の住人の立ち去る足音とドアの閉まる音。
(え……)
玄関からうっすらと光が差している。
先ほどまで照明をつけていても薄暗かったのに……
(あんな所に……あんなのあったっけ?)
玄関ドアを見ると……
真ん中辺りにあるハズのないモノが。
穴!
穴があいとる!!
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(……あなや。穴だけに。フフッ、古文。イヤイヤイヤイヤ……)
ドアスコープから外を覗くと自転車が倒れていた。
(マジでか……あー。取り敢えず状況を記録しよう)
誰もいないのを確認し、写真を撮る私。
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この時点で、恐怖よりも驚きよりも
何か他人事。
(いやぁ……どうしたもんかな)
時間は9:50。
諸々の判断を仰ぐセンター的な所が
10時にならないと電話が繋がらないので
仕事をしながら10分ほど待つか……
と考えながらイスに座る。
ふと。
駐車場に面した窓(型板ガラスなのでぼやっとした輪郭しか分からない)からこちらの気配を伺うかのように、ヒトが歩いていた。
金髪の黄色い服を着た……
ヤンキー系の男だ。
(やべぇっ!)
呑気な事を言ってる場合じゃない。
(110番するしかない)
つくねはいよいよ腹をくくった。
トイレにこもり社員さんに電話で状況を説明する。
「このような状況なので……警察呼びます」
「実の危険を感じたんなら、そうして下さい。一段落したら連絡もらえます?社長と副社長も向かうって言ってるんで」
1……
1……
0……
手が震えている事に気づいた。
「事件ですか?事故ですか?」
「……事件です」
それから10分程で外にパトカーが来た。
待ってる間は
(まだか……頼む!はやく来てくれ!!)
とあの時の、時間の進み具合の遅さとパトカーを見た時の安心感と言ったらなかった。
私は自分の車で待機となった。
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ぼーっとして仔猫の動画等を見て、癒される事にした。
社長は
「警察の人も来たし、掃除をしてくれてても……」
と言ったが、冗談ではない。
私はそんな腹が据わったタイプじゃない。
こんな所に一秒もいたくない。
即刻立ち去りたい。
しかし。
警察の人が
「帰って頂いてもいいんですけど、事情聴いたり、警察署に来てもらう事になるので……」
って言うから
「そんなら車で待っときます」
って、しゃーなしなんだ。
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しばらくするとパトカーに呼ばれ、事情聴取だ。
「夜勤明けで帰ってきて……うるせぇなって思ってやったみたいです」
「あぁ……なるほど」
「本人も認めてるし、注意とかで終わるんですけど……マンションの管理会社の方が事件にするって事で……」
ええ感じのおっちゃん警察官が言う。
(眼光の鋭さはつくねには隠しきれない)
「あー……なるほど。怒ってんですね」
「そういう事です」
一通りの聴取が終わり……
「まあフツー、うるさいからっていきなりドアを壊したりはしないですよね……」
と言うので
「確かに……ヤンチャな感じでしたけど、前科とかがある人なんですかね?」
と何も考えずに尋ねると
「それは答えられないです」
「や……そりゃそうですよね、スミマセンっ」
と、そんな事があった。
一段落したので社員さんに報告。
「疲れたのでこのまま帰っていいすか?」
「そりゃそうですよね」
「後、ここにはもう来たくないです」
「そりゃそうですよね」
昼前だったけど、早く帰宅してゴロゴロしようと決めた。
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かっちゃんが帰宅して、ソッコーしゃべり倒す。
「大変だったね〜……お疲れ様。ゆっくりしなよ〜」
「うん、そうする」
「全然話変わるけど……HuluでTheHEAD観てて。これは流石につくねも誰が犯人かわからんと思うよ」
「そうなん?私、最近(?)ポンコツじゃし、ニッポンノワールも全然犯人分からんかったし……犯人探しとか卒業かなぁ……」
「えっ!犯人探してガンガン当てに行くつくねが大好きなの!」
「えっ!?そうなん?」
「皆、そうよ!」
「えっ……皆?」
「そう!皆!!」
ウッフフフフ……
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つくねのHP、MPが回復した。
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