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私なりの「軸」を見つけたかもしれない

軸、芯、モットーのような、私の行動の指針となる何か。

2年前の春。普通よりちょっと長い受験生生活を終え、晴れて大学生になったあの頃から、ずーっと探し求めてきたもの。

「大学で、そしてその後の人生で私は何をしたいの?」
「私はこれをするために生まれてきたんだー!的な何かってなんだろう」

そんな問いを、何度自分に問うたことか。答えを出すのは簡単じゃなくて、揺れ動いて、一歩進んでまた戻ってを繰り返して。

でも、ずっと言葉にできなかった「それ」が、今、なんとなくぼやっと見えている気がして、今なら言葉にできそうな気がして、だから書いてみることにした。また変わっちゃうのかもしれないけど、それならそれでいいや。長くなるけど、読んでくれたら嬉しいです。


高校生の頃から、いろんなきっかけで、ぼやっとだけど将来は世界の貧困や格差をどうにか減らしたい、ちょっとでもいい世界にしたいって思ってきました。

貧困や格差に立ち向かうには大きく2つのアプローチがあるんじゃないかと考えています。

1.貧しい地域で必要とされる支援をすること、問題解決を図ること
2.豊かな地域で、貧困地域を生むような社会構造を減らすこと

一般に「国際協力」と言うと、貧困地域で活動する国連やNGOなどをイメージすると思います。1番目が指すのがそれです。

2番目は、「構造的暴力」を解決する、と言い換えることもできるかなと思います。

構造的暴力:
ノルウェーのガルトゥングJohan Galtung によって用いられた概念。発展途上国の農民や労働者の置かれている貧困や抑圧的状況を,内部的な要因よりも国際経済構造に求め,そうした外部要因が社会の構造的な歪みをもたらし,その結果として不当な権力の発動による生活や権利の剥奪が生み出されているとして,そのような構造的な剥奪状況のことをさす。
(コトバンクより)

例えば、
・私たちが食べるチョコレートやコーヒーの原材料となるカカオやコーヒー豆を作るために義務教育も受けずに働いている子供がいたり、またそれがが不当に取引されていたりすること

・ファストファッション会社の下請けの工場で人権侵害ともいわれる劣悪な環境と驚くほど少ない賃金で途上国の労働者が働いていること

・先進地域の人たちが使う工業製品(パソコンやスマホ)に必要な金属をめぐって、途上国で紛争が起きていること

・全世界で生産される食糧が、全人口を賄うのに十分な量であるにもかかわらず、先進国で毎日まだ食べられるものが大量に捨てられたり、多くの水や資源を必要とする肉類をたくさん食べることができる一方で、途上国では貧困、気候変動、紛争などの理由で食料が足りなくなるという「食の不均衡」が起きていること


…挙げればきりがないがないですが、つまり、たまたま豊かな国に生まれただけの私たちが、安くて良い物を簡単に得たり、美味しい物がいつでもどこでも手に入れることができる、という社会の構造が、実は弱い立場にいる人達を苦しめていて、途上国の発展を妨害していることがある、ということです。

問題は、私も含め、先進国で生きる多くの消費者たちは、自分たちのこのライフスタイルが格差を生んでいるということに気づいていない(あるいは気づかないふりをして”豊か”に暮らし続けたい)ことじゃないかなと思います。

現在の格差は、「どんな社会階級の家庭に生まれるか」よりも、「どの国に生まれるか」に起因するという研究があります。封建時代でいう武家生まれが今でいう先進国、農民の家庭が途上国、というイメージです。

たまたまラッキーな国に生まれた人たちが「まあ私たちがラッキーだから、このままでいっか!」だと、どんなに途上国で頑張ったって、いつまでたっても根本的な社会の構造は変わらないんじゃないかと思います。

無意識のうちに、そんなにひどい「構造的暴力」をふるっていながら、世界の貧困や途上国の課題をどこか”遠い”国の”遠い”人たちのことで、時に見下したりして、「私たちには関係ない」と思ってしまいがちなことに、私は、先進国に生まれた一人として、すごく責任を感じるし、ある種の「怒り」のようなものを覚えます。


上で述べた1、2のアプローチは、どっちの方が正しいとか、重要だとかはなくて、どちらも貧困・格差の課題解決のためには必要なことじゃないかと思います。

ずっと1の選択肢しか頭になくて、でもそれが自分にはしっくりこなくて、悩んでいました。もちろん資金や資源、人材などを本当に求めている貧困地域はあって、そういう「現場」ですべきことはたくさんあるし、不可欠だと思う。だけど、何をもって豊かだというんだろう、とか、開発って本当にいいことなのかな、とか全然違う境遇で生きてきた私が、心から歓迎してもらえるのかな、とか。私はいわゆる貧困地域にまだ行ったことが無いから、そういう言い訳が先行してしまうだけなのかもしれないけど。

でも、私は、2番のアプローチに気づいてから、こっちに対しての方が「私が何とかしなきゃ」という感情が強く芽生えました。もともと考えていたことではあったけど、留学先で暮らしているうちに、特にその想いは強くなりました。安さだけじゃない、便利さだけじゃない、選択肢の多さだけが「豊かさ」じゃない。経済至上主義じゃなくたって、豊かに暮らすことはきっとできる。自分と社会のつながりを少しでも感じながら、自分だけじゃなくてもっと広い範囲での幸福を喜ぶことができるはずだ。


日本は、グローバル化の恩恵を受けてる国のひとつです。国内産業や技術を輸出したり、海外でも国内でも日本人以外の労働力にも頼って生産を行っている。また、多くの物を輸入している。食品だけで言っても、約6割が海外からの輸入に頼っている。

「人は一人では生きていけない」と言いますが、国のレベルでだって同じだと思うんです。「日本は、もはや日本だけでは生きていない」。グローバル化に恩恵を受けている私たちだからこそ、グローバル化によって生まれた「負」の部分にもきちんと目をむけて、責任を取っていかないといけないと思う。

そういう意識をもつ人を日本で増やしたい。きっと、日本人の中には、自分たちの行動が格差につながることを知らずに、でもそのライフスタイルがあまりにもあたりまえだから、なんの疑問も持つことなく暮らしている人が多いと思う。そんなふうに、無知が構造的暴力に加担してしまっている状況をどうにかしたい。

もちろん、日本の中にも解決しないといけない課題はいっぱいあって、国内にも格差はある。そういうことを差し置いて、とは言わない。でも、社会問題をじぶんごとにする、弱い立場の人への影響を考えて生活する、ということは、国内での課題を解決するうえでも大事なんじゃないかな。


じゃあ具体的に何をするの?日本人にどうなってほしいの?
「フェアトレード商品しか買わないで、ファストファッション買わないで、今からベジタリアンになって、スマホ使うな」っていうの?
…そんな極端なことを言うつもりはありません。

便利で何でも豊富にあって、安く物を手に入れることができる生活を知ってしまっている私たちが、ちょっと不便な方向に変わるのは、簡単なことではないと思います。

だけど、少しずつ生活に取り入れることは可能だと思います。3回に1回は、フェアトレードのコーヒー豆を買ってみる、古着屋さんでお気に入りを探してみる、ファストファッションブランドでどうしても買いたいものがあったなら、1シーズンで終わらせてしまわないで大事に着る、とか、毎週2回は全く肉を食べない日を作ってみる、今までは賞味期限の長い物をと思って陳列の後ろから買っていたけど、すぐに食べるから手前からとる、とか。

そういう中で、消費の裏側にまで思いをはせることができる人が増えてほしい。だんだん、こだわりのある消費ができる人が増えてほしい。そういう仕組みづくりとともに。それで、そういうことを考えて行動できる人が「イケてる」っていう社会になってほしい。

小さなことに見えるかもしれないけど、思っている以上に消費者の力は大きいと思う。今の日本じゃ特に、「民主主義社会における選挙権をもった国民」よりも、「資本主義社会における消費者」としての方が意思表示力や、社会を変えるパワーがある気がする。

そんな広い視野を持つ消費者を増やすために私ができることで、今思いついているのは
・質の高くて信頼度も高いジャーナリズム(知らせる仕事)

・エシカルのハードルを下げる仕組みづくり
(エシカルが節約にもつながる、、とか)

・無意識のうちに、普通の人の問題意識への関心を高める仕掛けづくり
(ジャーナリズムではなくあくまで作品として評価されるノンフィクション映画やドキュメンタリーを通じて、とか、商品やサービスとして十分魅力的だけど実はエシカルだった、、、とか)


「なにを非現実的な、そんなのユートピアだ」と思う人も多いと思います。正直私も自信は無いです。でも、間違ってないと思う。この軸からブレずに生きたいなって思うんです。

最近、いろんなきっかけに恵まれて、実は私が知らなかっただけで、日本でも社会問題に対して何かアクションを起こしている会社や団体、個人もたくさんいるんだということに気づきました。エシカルに気を遣っている人や、ベジタリアンやヴィーガンを実践している人がいることも知りました。

私の考えていることも、万人に受け入れられて共感されることではないだろうということは分かっています。でも、少しでも共感してくれる人がいるなら、まずはその人たちと一緒に、一人では作ることのできない大きなインパクトを社会に与えられたらいいなと思っています。同じようなビジョンを持っている方、何かアクションを起こしている方などと繋がりを持てたら嬉しいです。



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ゆうか
最後まで読んでくださってありがとうございます!