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映画『ジュディ 虹の彼方に』

ジュディ・ガーランドの人生がこんなに過酷であったなんて。世界中から今も愛され続ける名曲「Over the Rainbow(虹の彼方に)」の裏側にあった実話です。この作品でジュディを演じたレニー・ゼルウィガーが第92回アカデミー主演女優賞を受賞しました。歌唱シーンはすべて吹き替えなしでレニー・ゼルウィガーが演じています。ルパード・グールド監督。2019年製作。イギリス映画。

ストーリー

1968年。かつてミュージカルの大スターとしてハリウッドに君臨したジュディは、度重なる遅刻や無断欠勤によって映画出演のオファーが途絶え、子づれの巡業ショーで生計を立てる日々を送っていた。住む家も無く借金も膨らむばかりの彼女は、幼い娘や息子との生活を立て直すため、起死回生をかけてロンドン公演へと旅立つ。映画.com参照

この作品のレニー・ゼルウィガーには「ブリジット・ジョーンズの日記」や「シカゴ」のふわっとした様子は全くありません。痩せすぎた、アルコールと薬に侵された、下り坂のスターそのものでした。それでも、カリスマ性も魅力も感じられ、レニー・ゼルウィガーという俳優の強い気迫を感じました。

1939年、「オズの魔法使い」でスターダムを駆け上がったジュディ・ガーランドは17歳。当時のハリウッドの子役の扱いは酷く、太りやすい体質であったジュディは厳しい食事制限をうけ、撮影の進行が遅れないように睡眠も十分に取ることができませんでした。与えられたのは、興奮剤。それで不眠になると、今度は睡眠薬を与えられ、10代でもう薬漬けの状態でした。

人がそのような状態で、まともに仕事ができるわけがありません。彼女はオファーが減ってもアルコールと薬を手放なすことはできませんでした。

1968年の冬、ジュディは生活を立て直すために5週間連続のロンドン公演に臨みます。ロンドンではジュディはまだ人気があり、チケットは完売でした。

フィクションの部分ですが、ジュディの大ファンであるカップルとの交流も優しく描かれていました。ジュディはLGBTQのコミュミティを認め、それを公にしている著名人は当時ほとんどいなかった事から、監督はこのエピソードを取り入れたそうです。

度重なる失態の結果、ロンドン公演の期間途中で、ジュディは去ることになります。子供と一緒に暮らすこともできず、何もかも失うのですが、最後に一回だけ「トーク・オブ・ザ・タウン」の舞台に立って歌います。

そこで素晴らしいパフォーマンスを見せるジュディ。最後に観客にジュディは愛されていることが良く分かり、胸がいっぱいになるシーンです。

1969年、ロンドン公演の半年後にジュディは逝去します。まだ47歳でした。

ジュディを診察した医師が「オズの魔法使い」のドロシーに夢中だった、と彼女に打ち明けるシーンがあります。何回も同じ事を言われてきたジュディが「男の子はおさげ髪の女の子が好きだから」とそっけなく返すと、その医師は、

「ドロシーが犬を大切にしたから」と答えるのです。

そしてジュディに対し「自分を大切にして」とも。

劇中の優しいエピソードが事実であってほしい、と願わずにはいられません。


Judy Garland

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