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藤井月
2016年4月5日 03:03
バス停に続く遊歩道に出たら、春の草の匂いがした。ヨモギの香りだ。思わず立ち止まり草むらを見つめてしまう。小さな頃はみんなで、土手に這うようにして、ヨモギやノビル、そしてツクシを摘んだものだ。ヨモギは両手に余るほど摘んで母に渡す。母はすぐに火を通しスリコギでスって、粉と水と混ぜてお団子にしてくれたものだ。ノビルはエシャロットみたいに、サッと茹でて酢みそで食べる。父の晩酌の友だ。ヨモ