例のゲームについて書かなければ、怒られそうな気が…この辺りで書いていく【1】

これまで色々なゲームをプレイしてきたが、「すごい」と感じるゲームは非常に少ない。
とにかく、「すごい」と感じられるかどうかが、僕の感動につながっている。「楽しい」はもちろん楽しいし、生活の中にそういうコンテンツがあると調子が良い。でも、それは深い感動とは少し違う。まぁ、どちらも素敵であることに違いはないが。
僕にとっての感動は、「楽しい」よりも、しみじみと「これはすごいな」と言葉をこぼしてしまうような感じだ。「すごいなあ」という溜め息が出る。
ちなみに、僕は生活の中であまり溜息を吐くことはない。

今回、ゲームの話を何回かに分けて書こうと思ったのは、久しぶりに「すごい」と感じるゲームをプレイすることができたからだ。それが「INSIDE」というゲーム。
メインのクリエイタが誰かまでは知らないが、このチームが作るゲームはこれからも無条件にプレイしたいと思えるほど、すごいゲームだった。
と同時に、「やはり、海外の人間はすごいな」と久しぶりに感じた。こういうものを作っても、おそらく日本ではあまり売れないし、評価されないだろう。
そもそも、この手のものを作ろうと思う人が、あまりいない気もする。

このゲームの何がすごいかを一言で表現することは難しいが、あえて挙げるなら、やはりその「抽象的な表現」だと思う。
その最たる例として、このゲームには「INSIDE」というタイトル以外に、言語が出てこない。誰も言葉を話さないし、世界を説明するための文章も無い。
画面に見えている自然の風景や光、水、木々、建造物、主人公やその他の生物の「視覚的な効果」と、人間が踏ん張るときに出すような言葉にならない声や、その他の生物の声、風や雨、泳ぐ音、走る音、機械音などの環境音、演出上のちょっとしたBGMなどの「聴覚的な効果」以外に、具体的に表現されていることは無い。
しかし、驚くべきことに、今までプレイしたどんなゲームよりも「リアル」で、極めて強い没入感が得られた。終わるのが寂しい、と感じたのもまた、何年ぶりだろう。

言語表現が無いので、どういう物語かわからない。画面を見ていても、その場所がどこで、主人公が何者なのか、それもわからない。
あまりネタバレはしたくないので書きたくもないが、主人公が「子供」であり、何かから逃げている、あるいは、抜け出そうとしている、ということだけはわかる。
ただ、それも説明があるわけでは無いので、それが正しいかはわからない。そこがとても良い。
世界設定を抽象的に表現して、想像の余地がある、というゲームは、他にもたくさんある。
しかし、ここまで説明をしないのは、珍しい。作る側の強い思想を感じる。僕は制作者側から具体的に「意味」を与えられたりする系の作品が苦手なので、とてもマッチした。
「こういうふうに感じてくださいね」という主張のようなものが強いと、それに合わない人にとっては、そのゲーム内で起きていることは「どうでもいい」ことだ。
そもそも、興味がない。でも、どうとでも捉えられるような抽象的な表現なら、こちらで自由に楽しめる。感動そのものよりも、感動の種を与えてくれるような感じか。

具体的に「この世界はこうです」「この主人公のバックボーンはこうです」と説明されたからといって、それで作品への理解が深まるか、没入感が高まるかと考えると、そうとは限らない。
単純な好みもあるとは思うが、僕はゲームで描かれている世界や物語を、さほど楽しむ方ではない。
なんといか、別にどうでもいい。一番大事なのは、プレイしていて楽しいと感じるかで、そのレベルが高いと、結果的に世界や物語にも興味が出てくる。
だから、どれだけ世界を練って創作されても、「プレイ感」が良くなければ、やろうとも思えない。
ゲームは小説や映画と違って、何よりもまず物語を知らなければならない、というわけではない点は、優れている。
例えば、戦闘や謎解き要素自体が楽しければ、物語を理解しなくても遊べる。
そういう意味では、非常に敷居が低い娯楽だと言えるだろう。

もうすでに有名なゲーム会社は日本を含め世界に多数あって、ことあるごとに「大作」が発表されている。発売する前から、「売れる」「面白い」ことが約束されたメジャなゲームが、たくさんある。
近年のゲームは「面白い要素」をどのように足し算、引き算をするか、ということを念頭にデザインされているから、プレイすればほとんど楽しめるようになっている。でも、実際に、ここ10年ほどで「心底、面白かった」と思えるゲームは、

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10分もかからず読める。つまり、なんか読書した気になれます。「気になれる」ということが大切。この世の全ては「錯覚」ですからね。

最低でも、月の半分、つまり「2日に1回」更新します。これはこちらの問題ですが、それくらいのゆとりがあった方が、いろいろ良いかと。 内容とし…

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