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活字中毒者として生きる[1~10]

物心ついた頃から、ずっと活字に囲まれてきた記憶がある。

常に何か文字を目にしていないと気が済まない。
本はもちろん、新聞とか、取扱説明書とか、食品の裏の原材料とか。
そこに特に意味は見出してはいないけれど、文字という人類最大の発明(と思っているもの)に浸ってきた人生であった。

自称“活字中毒者”。

今回はそんなわたしの半生を、「本好きへの100の質問」で暴いてみよう。


ネットで検索するといくつもの「100の質問」なるものがヒットするが、その大元はたどれなかった。
とりあえず今回はこちらのウェブサイトを参照する。

で、そんな100個も一度に答え切る体力はないので質問10問ずつ答えていく。今回は1〜10。


1.本が好きな理由を教えてください

特にない。
未知の世界を旅できるから、現実から逃避できるから、没頭できる居場所、他人の人生の追体験…。そのようなものは本を読んだことの結果として現れるのであって、わたしにとっては目的ではない。

活字を追うこと、本を読むことは、食べる/寝る/呼吸をするレベルのものである。生きる上での必要不可欠な行為。1日の消費カロリーの中に「文章を読むこと」が組み込まれている。だから、別に「本が好き」ではないのだ。結果的に好きなのかもしれないが、なぜ寝るの?なぜ食べるの?呼吸をするのが好きなの?と聞かれているように、「そういうもの」、でしょ。

しかしこの質問に優しく答えてあげるとするならば、わたしは本を読むことをバーチャルリアリティであると捉えているから、である。(「世界に没頭できるから」と似てるかもね。)
確かに本を手にして読むわたしはこの世に存在しているが、それを飲み込み解釈し消化するプロセスは全て自身の脳内で行われる。
この電気信号がわたしを構成している主要素であるとしたら、わたしの実存的な存在意義は更に複雑になる。
そんなややこしいことを考えられる世界として自身の思考ワールドがあり、その補助としての「本」なのである。

2.記憶に残っているなかで、最も幼い頃に読んだ本は?

『わたしのワンピース』

これ、大好きだった。
何度も何度も頭がおかしくなるまで読み返した。
今となってはなぜそこまで気に入っていたのかはわからない。

おそらく、それまでは両親が読み聞かせをしてくれていたのだろう。両親との絵本の時間を作らなくてもセルフで読める!という発見があったのかもしれない。
自主性の芽生え、とは言い過ぎだろうか。
読み聞かせはテレビと同じだ。いくら抑揚があっても目が文字を追っていても、耳から入ってくる情報に上書きされるイメージがある。
だから感覚の刺激が強すぎないスタイルで、自分のペースで読めるようになった時はうれしかった。

3.はじめて自分のお小遣いで買った本を教えてください。また、その本を今でも持っていますか?

ずっとお小遣い制じゃなかったから、自分で稼いだお金で買ったのは大学入ってからかも。
細かくは覚えてなけど、湊かなえか伊坂幸太郎かの小説。

我が家、本や学術的なものに限りお金を出してもらえる制度がある。これは本当にありがたい。金銭的な理由で購読を諦めることだけはしたくない。
親という偉大なスポンサーがいるため別に自腹をきる必要性はないのに、地腹を切った本たちがいくつもある。

そうだ、古本屋で買ったんだった。
近所に今にも潰れそうな 趣漂う古書店がいくつかあり、いつもついつい2時間ほど滞在してしまいがち。
定価でない本たちには大量生産されているイメージがないから、ますます強い所有意識が生じる。
だからこそ、自腹で買うことに意味がある。

4.購読している雑誌はありますか?

ない。基本雑誌読まない。
中2くらいまではニコラとかセブンティーンとかをパラパラと読んでいたけど、購読はしたことない。
何より雑誌のあの「ごちゃごちゃ感」が苦手なのだ。
旅行雑誌も同様。大体の目的地で括られたグルメやら体験やらお土産やら、写真と文字がこれでもかと詰め込まれた紙面は整然とは程遠い。

思考の煮凝りのようなものが好きだ。
フィクションにしても、ノンフィクションにしても。
筆者が苦しんで掘り出しなんとか形にした一冊の本に価値を見出しているわたしにとって、雑誌にはそこまで魅力を感じない。

文章は既存の情報の中から編み出された単なる情報の塊にすぎない。
けれど筆者なりの解釈と切り取り方で世界は180度違うものに感じられる。
筆者の追体験ではない。自分とは異なる世界の見方があることを認知することそのものに文学の魅力がある。

ただ雑誌というところで言うと、文芸誌の世界にはまだ入れていない。
文学の最先端、実験的な場。興味がある。
(ただでさえ積読が溜まりに溜まっているのに、定期購読なんてしたらとんでもないことになるの、間違いなし☆でも購入した本の安心感はそこよね、いくら積んだところで消えることはないから。積読への愛とか諸々、どこかで語りたいなあ。)

5.贔屓にしているWEBマガジンはありますか?

ない。雑誌読まないし。
紙に印刷されていない文字はあまり得意ではないから電子書籍はほとんど読んだことがない。のっぺりとした文字列に酔いそうになる。
美容院でカラー中に雑誌を読めるIpad渡されるけど、あれ結構辛いかも。

クリーム色と濃いグレーのコントラストが好き。
印刷の熱を閉じ込めた紙の匂いが好き。
ページをめくる時の、直方体を展開していく感覚が好き。
こんなところか。

一見ただの直方体であるが、切れ込みが薄く薄く入れられ、そこに文字列が並んでいる。
これ、非常にロマンを感じる。
ただの物体なのに、そこから読み取れる情報があることにワクワクする。

6.書籍関連のHPの、どんなところに注目しますか(書評や感想文等々)

他人の書評や感想文は全く見ない。こだわっているわけではない。
Amazonで購入する際に価格を見比べる程度。
小説も専門書も同様。興味がないのかも。

本との距離は自分で取りたいタイプ。

この機会に5億年ぶりに思い出したのだが、中3くらいまで「読書メーター」というSNSを利用していた。
めっきり使わなくなってしまったが久々に登録した。レイアウトが何も変わっていなくて謎に安心感を覚えた。

7.最近読んだ本のタイトルを教えてください。

『喜嶋先生の静かな世界』

森博嗣、2013年10月16日、『喜嶋先生の静かな世界』、講談社。

半年間お世話になったTAの院生の方に勧めていただいた。

森博嗣先生、大ハマり!
彼は理系研究者出身の小説家でらっしゃる。
論文の書き方を教えてくれるわけでも、研究とはこういうものだと導かれるわけでもなく、ただただ研究者として生きる人間が主人公であることにのめり込んだ。

具体的な感想(?)はまた今度。

8.ベストセラーは読む方ですか?

読まないねえ。
9番にも書いたけど、「有名ですよ!」「みんな読んでますよ!」と言われると読む気がなくなる。作為的な売り方に、疑問がある。

「自分が買うべき本が光ってる」

YouTubeチャンネル「ブッコローの知らない世界」又吉直樹ゲスト回 7分13秒

これ、衝撃的な言葉だった。
非常に近い感覚がある。
装丁やテーマだけでない、存在そのものがわたしを引き寄せてくる。

本との出会いは一期一会。
本棚に埋もれている子たちを掘り起こしてあげるのだ。
「売れてますよ〜」と光らせられている本に苦手意識がある理由は、おそらくこれだと思う。

9.ご贔屓は、どんなジャンルですか?

大衆文学。日常の謎とか、ミステリーとか。たまに時代物も。
伊坂幸太郎、辻村深月、東野圭吾、湊かなえ、夢枕獏+森博嗣。
(こういうとき敬称迷うよね。略でいきます)

自己啓発本やビジネス書とは縁のない人生を送ってきた。電車広告によくある「人は〇〇が9割」だの「〇〇する勇気」だのなんだの。
自分の生き方を人に決められてたまるもんか、他人に啓発なんてされるもんか!という反骨精神、大アリ。
最近ではついに「むしろそこまで話題になる本なら、わたしを満足させてみい」とばかりの態度を取りはじめた。
寧ろそのような本が売れる社会の方に興味がある。

大学に入ってからは勧められるまま専門書に(ほぼ初めて)手を伸ばした。
初めはテキストに指定されていたから渋々。
大学生の会話あるある、「テキスト指定って先生が印税稼ぎたいだけなんじゃない!?」をちゃんと通過したこともある。

最近では今教わっている先生方の著作が現在進行形で出版され続けていることに衝撃を受けている。
我々学生は先生方の研究を享受する立場に(基本的には)いるが、その研究と自分の生きている世界が繋がっているんだ!と謎の親近感を覚えてしまうのだ。
学問の最先端の議論から置いてけぼりにされているわけではない。
そんな安心感が、学術書を読んでいるとある。

10.あなたは活字中毒ですか?(それはどんな症状としてあらわれていますか)

タイトルを決めてから書き始めたから、まさか10問目でこれがくるとは思っていなかった。

うん、おそらく活字中毒。
でも自称するようなもんじゃないとも思う。

常に活字を見ていないと気が済まないタイプで、原材料名の項目とか取扱説明書とか、しょうもない文字列を無意識的に眺める。
だから読書家や本の虫と同系列で並べるようなもんじゃない。「中毒」というインパクトのあるネーミングの通り、病的なものだと思っている。
ただしなぜか紙の文字でないといけなくて、デジタルの文字はあんまり好きじゃない。Twitterも文字を眺める目的で利用していない。


「本好きへの100の質問」、第1回目。
こんなところでいいだろうか。
自分のこだわりや癖がなんとなく分かりかけてきた。

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