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トーキングブルーズちゅうのを聞いていけ
久々に、なんのはなしをしようとしたかったか忘れてしまった。
毎回毎回、新曲を初めて耳にするたびに、五感のみならず心の芯という芯まで驚かせてばかりである。
ましてや今回に至っても、タイトルにしろ歌い出しにしろ「どこが一番良かったですか?」と質問を訊かれた際、要点を絞ってまで人にあれやこれやと説明するのが難しいほどに。
というよりも「つべこべ云ってないで、まずはいっぺん聴いてみろ!」と口を滑らせてしまいたくなる。最早「ここが良かったです」「あれが心にきました」なんて説明は不要の次元だと、個人的には思ってしまう。
もっと欲を云えば、ミュージックビデオにひとり映っている演者のように、仕事で疲れ切った体と溜まりに溜まったストレスを、ジャンキーなフードやウイスキーなどといったアルコール度数の高い飲み物か何かで溶かしながら、誰もいないカラオケボックスの一室で歌い上げる…とか。
たぶんもしかしたら、いや間違いなく私は今後…眠りを知らない夜の街に繰り出しては、時に訳もわからなく叫びたくなる怒りや勢いに任せて、大都会の波に突っ込んでしまうのかもしれない。
踊り狂ったかの如く不協和音を前面にゴリ押し気味なハーモニカが心地よいと思いつつ、全盛期のデヴィッド・ボウイやジャミロクワイ、あるいはフランク・ザッパみたいな語り口調っぽい歌い方も悪くないと感じつつ。
支離滅裂な人生だったとか、これより先の未来が破滅しか見えないとか、この演奏の前じゃ何もかもどうでもいいと思ってしまう。ロックンロールな日々なんて、実は案外とこんなふうにして、後ろへ後ろへと過ぎ去っていくのだろうと。
誰かに愛されたかった、素敵な人と出会いたかった、お金に悩まされない日々を過ごしたかった、学生の頃にちゃんと勉強しておけば良かった、もっと順風満帆な人生を送りたかった…なんて。
すっかりぬるくなってしまったビールの味に、何の意味が残されているのかって、おそらく誰も知らないし知りたくもない。むしろこれに限らず、知らない方がいいことばかりだ。
けれど知らないままで轍に沿って進む人生って、意外とつまらないものじゃないだろうか。生まれたところから遠く離れた場所で、いったい何のために生きてきたんだっけ?って、思いもしないところで後悔してしまったりするような事の顛末を目の当たりにした日には。
それでもいずれ、突然自分の目の前に天使みたいな君が現れて、いずれ「良い人生だった」と思いながら瞳を閉じて旅を終えるのも悪くはない…。
What are you talking about?
(なんのはなしですか?)
半年ぶりにリリースされた、GRAPEVINEの新曲「天使ちゃん」を聴きながらビールを片手に、思うがままに言葉を綴ってみたくなりました。
たまには何も考えずに、走り書きみたく文字を羅列してみるのも、良いものだと思います。それでもって唐突に「なんのはなしですか」と叫んでみたりするのも。ただそこにどんな意味を含んでいるのかは、伝えようとしている自分ですらわかりませんが…。
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