夏の嵐は恵みの雨へと形を変えて
外はおよそ何週間ぶりに、雨が降り始めていた。
先月あたりまで降り続いていた雨は、夏の季節特有の台風や雷などが相まって、まるで辺り一面を叩きつけるかのように激しく降っていた記憶しかない。
特にその雷においては、住んでいる自宅もしくは周辺に、いつ落ちて停電してしまうのかと終始ビクビクしていたものであった。閉め切ったカーテンの隙間から、稲光が差し込んだ途端に「ドーン!」という轟音が鳴った時の緊張感は計り知れない。
そのたびに、パソコン周りの電源をほぼ全て引っこ抜き、早く落ち着いてくれないかと願っていた。そうしながらも、熱中症だけはなんとしてでも避けなければと、エアコンを常時稼働していたものである。
外は前述のように荒れ狂っているにも関わらず、ある意味で矛盾した行動をとっていた。下手すれば稼働しているエアコンも、落雷の影響を受けては故障してしまう恐れだって、十分にあったはずだ。
幸いなことに、私の住んでいる地域では一度も停電が起こることはなく、危機を免れることができた。怪我の功名だとはいえ、来年も同じようにして不足の事態に陥ってしまった時の対処法を、今一度考えておかなければならない。
けれど今日の雨は、これまで保ち続けられた一つの緊迫感から解けるように、しとしとと降り続いている。その様子からにして、雷が鳴るような気配は以前と比べて然程感じられない。
そろそろ空模様も、落ち着いてきた頃合いなのかもしれない。
思えば今年の夏は、世間が異常気象だのと騒ぎ立てる程に、嵐を乱発しすぎていた。その反動のおかげで、今頃はエネルギー切れを起こしては疲弊していることだろう。
悪いことは云わん。これ以上、なりふり構わず暴れるに暴れ過ぎたら、身を滅ぼすだけだ。来年もまた同じ季節が訪れるまで、とりあえず今はゆっくり休みなさい。
…なんて何気なく思いついたメッセージを、いったい誰に伝えようとしているのか。そう考えた時、自分も夏の季節に振り回された挙句、あちこちで疲労が蓄積しているのかもしれない。
ひとまずは、間もなく訪れようとしている一つの季節に向けて、休息を入れるべきなのだろう。いい加減に、天候に弄ばれるのは勘弁願いたいと思いつつ、恵みのものと思わせる雨音に情緒さを感じるのである。
ちなみに自宅の湿度は相変わらず、一日を通して6、7割を記録している状態である。朝の時間帯には、窓を開けて空気の入れ替えをしているが、思うように風が入ってこないせいか、なかなか下がる傾向にない現状だ。
だが、あと少し日が経てば、日本各地でこの時期にふさわしい乾いた風が吹き込んでくることだろう。それでもって、今も部屋中に鬱陶しさがまとわりつく湿気を、一日も早くどうにかしてほしいと思う。