重い荷物を外して身軽になったら
整理整頓をおこなう余裕がほとんどなかったとはいえ、この量を改めて見返すと、いくらなんでも放置しすぎだと思うのであった。
これは先月ごろ、要らなくなった様々な用紙を断捨離していた時の話である。私は、家中に散らばっているかのように置かれた紙の山を、片っ端から処分をおこなっていた。
やっとの事で就職先が決まってから入社する日までの間、しばらく期間が空いているため「今のうちに」という機会を利用して、今後一切使わないであろう用紙を一気に捨てることにした。
最初に目をつけたのは、つい最近までハローワークを介して出してもらった求人票や、書き損じとなってしまった履歴書や職務経歴書の山だ。その中には、面接における対策なるものとして、乱雑に書いたメモなども含まれていた。
求職活動を開始した当初は、クリアファイル一枚で全ての紙を収納できるほどの量であった。だが活動が長引くにつれ、その用紙たちは片手だけで持ち運ぶどころか、一冊のファイルにすら入りきれないほど、徐々に山なるものと化していったのだ。
改めて一連の活動を終えた後でそれらを目にした時は、家中がA4サイズの用紙だらけとなってしまっていた。まるで、一つの山脈が無造作に連なってしまっているかのような光景に「今からこの量を処分しなきゃいけないのか」と、思わず肩を落としてしまったものである。
私は整理整頓に関しては、苦手ではない部類だと思っている。だがしかし、足の踏み場に困るまでに散らかってしまうようでは、自分以外の誰かに対して言い訳も弁明も何もしようがない。まさにその時の自分が、どれだけ切羽詰まっていたかを証明しているようであった。
そしてようやく重たい腰を据えて臨戦態勢を取るも、今後取っておく必要のある書類か否かを一つ一つ確認をおこなっている最中は、心その底から堪えるものがあった。
何せ、山と化している求人票のうちの一枚を除いたら、すべて選考落ちという忌々しい結果に終わってしまったものだから。ただ逆を返せば、ほんの一社でも内定をもぎ取ろうと、必死に積み重ねてきた努力の証だと云えるのかもしれない。
とはいっても、もう少し真面目にかつ積極的に、わずかな量と期間で勝ち取ることができるように活動していたら…と、考えていないわけではない。
それはともかく過去となった今となっては、それらの用紙を保管しておく必要であったり、ましてやこれまでにおこなってきた求職活動を一から振り返る必要もない。
いつか再びつまづいてしまう時の対策として、忘れないように取っておくのも一つの手なのだろう。それよりも、目を向けるべき事柄は、転ばぬ先の杖を気にすることよりも案ずるより生むが易しをという意思をもって進んでいくことなんだと思う。
そしてこの断捨離は、一からリセットするというものではなく、己の可能性を信じて動くための、数多の負担を外して身軽になっていくものだと信じたい。
さて…なんのはなしだったかと今一度指差し確認しなければならないくらい、だいぶ逸れてしまった。
その日はおよそ半日かけて、ほぼ全ての用紙をまとめてシュレッダー送りにしてやった。数枚分をまとめて裁断する作業と、塵芥なるものをゴミ袋にまとめる作業を交互に繰り返すのは、さすがに骨が折れるものがあった。
ちなみに今回、大いに活躍してくれたシュレッダーも、そろそろ寿命が近づいてきているサインを発しているように感じた。こちらにおいても、私が一人暮らしする前から使用している、十年来の選手なのだから。