やさしい物理講座ⅴ103「クラゲのような銀河」
宇宙の観測のデータを積み重ねることにより薄っすらと宇宙の全容が見えてくる。ビックバン理論やインフレーション理論などで宇宙を語るより、「論より証拠」である。これらの映像を見て、人類は「井の中の蛙」であると痛感する。
今回は映像で紹介された報道記事を紹介する。
皇紀2684年7月11日
さいたま市桜区
理論物理研究者 田村 司
これらの銀河は、おとめ座の方向、約7億7000万光年の距離にあります。この天体を初めてみたHSCの関係者が「くらげ銀河」と形容したとのことです。くらげの傘にあたる銀河がUGC 9327、口腕内にある銀河がUGC 9326です。このような衝突・合体を繰り返すことで、銀河は徐々に成長してきたと考えられています。
すばる望遠鏡は、ハワイ島のマウナケア山頂付近に設置されている、口径8.2mの巨大望遠鏡です。すばる望遠鏡は、1999年1月のファーストライト以来、2024年で25周年を迎えました。25周年を記念して、国立天文台は2024年4月から毎月2枚ずつ、すばる望遠鏡が撮影した天体画像を紹介しています。くらげ銀河をとらえたこの画像は、2024年7月3日に、すばる望遠鏡のウェブページで紹介されたものです。
Image Credit: 国立天文台
(参考記事)
すばる望遠鏡25周年記念画像(参照)すばる望遠鏡
6億光年先のクラゲ銀河「JO204」 触手のような構造の正体とは
2023-04-14
こちらは「ろくぶんぎ座」の方向約6億光年先にある渦巻銀河「JO204」です。JO204は銀河団「A957」を構成する銀河のひとつ。中心部分とその周りを取り巻く渦巻腕(渦状腕)が明るく輝くJO204を、私たちは真横に近い角度から観測しています。
よく見ると、JO204から画像の下方向へと流れていく斑(まだら)模様の連なりのような構造が、幾つも写っていることがわかります。触手を伸ばしたクラゲの姿にも見えることから、このような銀河は「Jellyfish Galaxy(クラゲ銀河)」と呼ばれています。
欧州宇宙機関(ESA)によると、こうしたクラゲ銀河の“触手”は、銀河からゆっくりとガスが剥ぎ取られたことで形成されたと考えられています。銀河の集合体である銀河団では、銀河と銀河の間が銀河団ガスで満たされています。銀河団の中を移動する銀河がこのガスから動圧(ラム圧)を受けて自身のガスを少しずつ剥ぎ取られた結果、“触手”が形成されたのではないかというわけです。
この画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」で取得したデータ(近紫外線・可視光線・近赤外線のフィルター合計6種類を使用)をもとに作成されました。ESAによると、ハッブル宇宙望遠鏡によるJO204の観測は、クラゲ銀河の“触手”にみられる星形成活動に関する研究の一環として行われました。こうした“触手”は極端な環境における星形成の一例を示しており、宇宙の他の場所における星形成の過程を理解する上で役立つ可能性があるということです。
剥ぎ取られたガスが触手のよう。クラゲ銀河「JW100」
2023-03-22 sorae編集部
こちらの画像の、中央やや右下に位置するのは「ペガスス座」の方向約8億光年先にある渦巻き銀河「JW100」(IC 5337)の姿です。
JW100は銀河団「A2626」を構成する銀河のひとつで、周囲には左上の巨大な楕円銀河「IC 5338」をはじめ、同じ銀河団に属する他の銀河も写っています。
中心部分とその周りを取り巻く渦巻腕(渦状腕)が明るく輝くJW100を、私たちはほぼ真横から観測しています。よく見ると、JW100から画像の下方向へと流れていく斑(まだら)模様の連なりのような構造が幾つも写っていることがわかります。
画像を公開した欧州宇宙機関(ESA)はその様子を、銀河円盤から滴り落ちるペンキのようだと表現しています。
同じような構造を持つ銀河はJW100の他にも見つかっていて、触手を伸ばしたクラゲの姿にも見えることから「Jellyfish Galaxy(クラゲ銀河)」と呼ばれています。
こうしたクラゲ銀河の“触手”は、銀河からゆっくりとガスが剥ぎ取られたことで形成されたと考えられています。
銀河の集合体である銀河団では、銀河と銀河の間が銀河団ガスで満たされています。銀河団の中を移動する銀河がこのガスから動圧(ラム圧)を受けて自身のガスを少しずつ剥ぎ取られた結果、“触手”が形成されたのではないかというわけです。
この画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」で取得したデータ(近紫外線・可視光線・近赤外線のフィルター合計6種類を使用)をもとに作成されています。
ESAによると、ハッブル宇宙望遠鏡によるJW100の観測はクラゲ銀河の“触手”にみられる星形成活動に関する研究の一環として行われました。
こうした“触手”は極端な環境における星形成の一例を示しており、天文学者が宇宙の他の場所における星形成の過程を理解するのに役立つ可能性があるということです。
冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として、ESAから2023年3月20日付で公開されています。
Source
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, M. Gullieuszik and the GASP team
ESA/Hubble – Portrait of a galactic jellyfish
文/sorae編集部
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“クラゲ銀河”のひとつ「JO201」
2023-02-28
こちらは「くじら座」の方向約7億8000万光年先にある銀河「JO201」の姿。JO201は銀河団「A85」を構成する銀河のひとつです。
明るい中心部分を取り囲む青い渦巻腕(渦状腕)や渦巻腕を彩るように分布する星形成領域の斑点がみられるJO201は、一見すると普通の渦巻銀河のように思えますが、よく見れば画像の下方向へと流れていくような筋状の構造も幾つか写っていることがわかります。触手を伸ばしたクラゲの姿にも見えることから、このような銀河は「Jellyfish Galaxy(クラゲ銀河)」と呼ばれています。
欧州宇宙機関(ESA)によると、この“触手”は移動するJO201からガスがゆっくりと剥ぎ取られたことで形成されたようです。銀河の集合体である銀河団では、銀河団ガスと呼ばれるガスが銀河と銀河の間を満たしています。銀河団の中を移動する銀河は、銀河団ガスから動圧(ラム圧)を受けることでガスが少しずつ剥ぎ取られていくと考えられています。
この画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」で取得したデータ(近紫外線・可視光線・近赤外線のフィルター合計6種類を使用)をもとに作成されました。ESAによれば、ハッブル宇宙望遠鏡によるJO201の観測はクラゲ銀河の“触手”にみられる星形成領域の大きさ・質量・年齢に関する研究の一環として行われており、“触手”を形成するガスの剥ぎ取りと星形成の関係性を理解する上での突破口を開くことが期待されています。
冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として、ESAから2023年2月27日付で公開されています。
Source
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, M. Gullieuszik
ESA/Hubble – Galactic Seascape
文/sorae編集部
参考文献・参考資料
すばる望遠鏡がとらえたクラゲのような銀河 | アストロピクス (bookbright.co.jp)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?