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やさしい法律講座ⅴ54「『子の認知』:小説家志望の若き執筆者へ」

前回のブログ作成のとき、民法の条文「嫡出推定」の次に「認知」の条文を目にした。民法の「認知」に関するブログも以前掲載した。
『やさしい法律講座ⅴ19 副題 認知|tsukasa_tamura|note』
今回は相続や親族の財産争いの盲点として小説志望の作家への題材のヒントにしていただけると嬉しい限りである。

皇紀2682年12月12日
さいたま市桜区
政治・法律研究者 田村 司

再掲載内容

今回は法律の面白さについても、若干、解説する。推理小説のネタにしようと暖めていたものを公開する。
吾輩は、ものぐさもあり、小説にするほどの文才がないので、ブログ読者に(法律)推理小説に活用することを容認する。良い作品が出来たら、教えて欲しいものである。 

はじめに

「子」を虐待して死亡させる事件に,酷い親がいるもんだと憤慨している。
子を売る親も存在するのであろうし、子の財産を充てにする親もいるのであろう。そして、「子」を扶養せずに「子」が成長したら、「子」に養ってもらおうとする不心得の親もいる

表題の「認知」の規定は、その親の悪事の片鱗を垣間見せてくれる内容である。昔から悪質な親の犯罪はあったようだ。。「子」を親の奴隷のように働かせて、学校にも行かせず、教育は無用だと主張する馬鹿な親もいた。「子」には無償の親の「愛」が必要である。「子」に見返りを求めたり、「子」の財産を搾取しようとする輩はいたのです。

1,認知

ここで取り上げるのは、法律の「認知」であり「認知症」ではない。念のため。

2,成年の子の認知

民法782条「成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない。
これは、親が未成年の間には子を放置しておきながら、その子が成年になった後に認知することで自己の利益を図ろうとするのを抑止する趣旨である。民法730条の濫用防止である。

3,胎児又は死亡した子の認知

民法783条「父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。
2 父又は母は、死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り、認知することができる。この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならない。」

解説:

死亡した「子」の相続権は、直系卑属「子の子や代襲相続で孫」になる(第一順位)。直系卑属がいない場合は、認知した親(第二順位)が相続権を取得する相続権目的の認知は認めない趣旨の規定であり、直系卑属がいる場合は「扶養義務を負うか否か」の選択を直系卑属に判断を委ねた規定と解釈する。なお、直系卑属が複数いる場合の承諾とその効果の及ぶ範囲については学説に対立があるが、吾輩は、「複数人が各々判断して、祖父母を誰が扶養していくか」の程度の議論であり、学問として論じるに値しない。何故なら、規定した目的と趣旨は、相続権を取得して財産を略奪することを防止することであるからと吾輩は解釈する。

4,相続に関する胎児の権利能力

民法886条 「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。」この規定と民法783条で、胎児を認知することにより父の相続開始のための推定相続人となり、権利を確保することになる。

5,親族間の扶け合い

民法730条「直系血族及び同居の親族は、お互いに扶け合わなければならない。」

6,「認知」の結論

以上からのアドバイスとして、成人後の認知は「相続関係図」を作成するなど、弁護士などの専門家を交えて、あらゆる可能性を慎重に検討されたい。

7,成年後見制度

この制度が始まる前は「禁治産者」、「準禁治産者」、「無能力者」などと侮辱的に使われたり、戸籍謄本に記載されるなどにより、弁識能力の衰えでも戸籍に掲載されることを忌避して活用できない法律でした。平成12年4月から、戸籍には掲載されず、登記制度になり、任意後見制度と併せて活用がされるようになりました。

8,小説の題材には面白いと思う。

・・・「死亡した子」の認知で財産を奪おうとして、最終的には、優秀な弁護士が登場して悪巧みを暴くストーリ・・・まだ先を越されていないと思う。
吾輩の知っている限りの、相続ネタは「遺言がらみ」「同時死亡の推定」「殺人による相続人欠格」「胎児の権利能力」「認知症を持つ家族の苦悩」などは記憶にある。
しかし、「子の認知」の頭脳犯の小説ストーリの記憶にはない。
小説家志望者には是非チャレンジいただきい。
丁度今、TVerで「ゴーストライター」を視聴している。
もし、吾輩のブログからヒントを得てプロットして、著作する場合はアイデア料・著作権侵害の主張はしませんので、どんどん名作を完成させてください。完成した著書は購入しますので発売の時はお知らせください。
貴方の喜びが吾輩の喜びである。Your pleasure is mine.
どんとはれ!

参考文献・参考資料

当該の法律規定

民法7条(後見開始の審判) 、民法8条(成年被後見人及び成年後見人) 、民法9条(成年被後見人の法律行為) 、民法10条(後見開始の審判の取消し) 、民法11条(保佐開始の審判) 、民法12条(被保佐人及び保佐人) 、民法13条(保佐人の同意を要する行為等) 、民法14条(保佐開始の審判等の取消し) 、民法15条(補助開始の審判) 、民法16条(被補助人及び補助人) 、民法17条(補助人の同意を要する旨の審判等) 、民法18条(補助開始の審判等の取消し) 、民法19条(審判相互の関係) 、民法20条(制限行為能力者の相手方の催告権) 、民法21条(制限行為能力者の詐術)

やさしい法律講座ⅴ19 副題 認知|tsukasa_tamura|note

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