政治(物理)講座ⅴ474「ウクライナの原発研究者拘束? 核兵器の保守管理か?」
個人的な推測であるが、ロシアはソ連崩壊後に原発研究者や核兵器の研究者が不足しているのではないだろうか。
以前のブログでも論じたが、核兵器の劣化・老朽化が進む。
旧ソ連時代に開発した核兵器の性能確認は核実験が禁止されている現在にとっては、保守管理は大変難しい問題である。
「劣化した三重水素やウラン235の核兵器保守管理のために人材確保か?」と推測した。
皇紀2682年10月22日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
はじめに
今のロシアの核兵器は恫喝には使えるが、核分裂の臨界状態を発生させて核爆発を起こす威力を出せないと推測している。
核爆発を起こす性能を保持しているかは作動させないと実際の性能は確認できないので、ウクライナの国土を使って実用実験を試みようとしているのではないだろうか。
核爆発に必要な触媒としての三重水素の劣化により、電子部品、触媒劣化とウラン235の色々な半減期の原子が混在するならやはり爆発を引き起こす性能には劣化が進みつつあると見るのが妥当であろう。
ICBMなどに搭載される核弾頭は、旧式だと、中性子源となる「イニシエーター」にはポロニウム210とベリリウムが使用されていました。ポロニウム210は半減期が約210日ですから、古くなると定期的に交換する必要があります。北朝鮮などだと、まだこの方式かもしれません。現在、ほとんどの核兵器では中性子発生装置として小型の「重水素加速器」を用いています。これは数センチメートルほどの長さの真空管内にイオン源とターゲットが内蔵されており、パルス電流を加えると生じた重水素イオンが生じてターゲットであるトリチウム水素化合物に衝突しD-T反応を引き起こさせて中性子を作る”静電核融合”と呼ばれる原理を用いています。これによりほとんどの核兵器では、イニシエーターの保守が必要ありません
核兵器としての「核弾頭」には有効期限が有る。 それは使用されている電子部品や、核爆発に必要な触媒としての三重水素などには使用出来る期限が有るためです。 三重水素(トリチウム)の半減期は12年程度なので、最大でもそのくらいで交換する必要が有る。(Tainaka Shigeruより参照)
ザポリージャ原発でウクライナ職員50人が拘束下に…ロシアが「国有化」強行か
読売新聞 2022/10/21 01:04
ウクライナの国営原子力企業エネルゴアトムのペトロ・コティン社長は19日、AFP通信に対し、ウクライナ南部ザポリージャ原子力発電所のウクライナ人職員約50人が、原発を占拠しているロシア軍の拘束下にあると明らかにした。ロシアは一方的に宣言した原発の「国有化」を強行しようとしているとみられる。
コティン氏は、原発の所長が9月末に拘束された際、「地下室に3日間監禁され、頭には袋をかぶせられ、イスに座らされていた」と説明した。所長は数日後に解放され、辞意を表明した。
これまでに露軍側に拘束された原発職員は150人以上となっているという。
ウクライナ軍、南部でロシア軍から武器奪取 ゼレンスキー氏
AFPBB News 2022/10/22 09:56
【AFP=時事】ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は21日、同国軍が反転攻勢を強めている南部ヘルソン州でロシア軍の武器を奪取している事態を歓迎した。
ゼレンスキー氏は動画演説で「ヘルソンで上々の戦果を収めている第60独立歩兵旅団の兵士諸君に感謝する」と表明。
今月初めから同旅団はロシア軍から装甲車30台以上、戦車用の砲弾数千発、火砲3門を鹵獲(ろかく)しており、こうした武器は「領土解放に役立つ」だろうと述べた。(c)AFP
【翻訳編集】AFPBB News
補足解説(参考)
原子爆弾の出力増強剤(ブースト型核分裂兵器)原子爆弾のエネルギ―を重水素-トリチウム水素の混合ガスに照射してD-T反応を起こし、それで生じた中性子で核分裂反応を促進し核爆弾の威力を増強したもの。爆弾1個当たり2 g程度のトリチウムを使用し、壊変で消滅して失われる分を補給するため8年に1回トリチウムガスを交換する。また、アイビー作戦マイク実験においては、核融合装置(水素爆弾)内の液体重水素を核融合反応させるために、テラー・ウラム型デザインの一環として、セカンダリーにトリチウムとプルトニウム製のスパーク・プラグが用いられた。
D−T reaction.核融合は、軽い核同士の融合反応でエネルギーを取り出すもので何種類もあるが、実際に利用可能なものは5ケース程度で、特に現在世界で研究の対象としているのは、このD(重水素)−DとD−T(三重水素)核融合反応である。原材料として放射性元素はTだけで、Dは海水中に豊富に存在する。また反応生成物はヘリウム、T、中性子で、Tは再び燃料になる。中性子による構造材の放射化を管理する必要がある。D−T反応では、電荷の反発力に打ち勝って衝突させるためには、1000km/秒以上の速さが必要で、加熱温度1億度以上に相当する。
形状と配置
一端が丸い円筒形や回転楕円体をした弾殻内の丸い側や焦点に核分裂装置、つまり原子爆弾が置かれる。円筒部分か、もう一方の焦点には、外層にタンパーとしてウラン238(238U)、中間層に核融合物質としての重水素化リチウム、中心に更なる核分裂反応源としてのプルトニウム239(239Pu)よりなる3層の物質が置かれる。弾殻は放射線の反射材として機能させるために、ベリリウム(Be)、ウラン、タングステン(W)などが使用され、特にこの部分に238Uやウラン235(235U)を分厚く使用したものが3F爆弾と呼ばれるさらに発生エネルギーを高めた核爆弾である。核融合部分と弾殻の間はポリスチレン等が詰められる。
第1段階:原子爆弾の起爆と核分裂による放射
原子爆弾が起爆されると、その核反応により放出された強力なX線とガンマ線、中性子線が直接に、または弾殻の球面に反射して、もう一方の核融合部分に照射される。照射されたX線は核融合物質周辺のスチレン重合体などを瞬時にプラズマ化させ、高温高圧となって円筒部の中心に位置する3層の核融合装置を圧縮する。ウラン238(238U)が促進効果で核融合物質としての重水素化リチウムを中心へ圧縮する。中心軸のスパークプラグのプルトニウム239(239Pu)も圧縮され、239Puが核分裂反応を開始することで中心部からも重水素化リチウムを圧縮する。
第2段階:核融合反応の発生
超高温超高密度に圧縮された重水素化リチウムはやがてローソン条件(英語版)を満たし、核融合反応を起こす。加えて、核融合によって放たれた高速中性子がウラン合金製のタンパーに到達し、さらなる核分裂反応も発生する。これらの反応により、核爆発が発生する。核融合装置を多段化することにより、核出力の拡大が図られる。
核反応物質
核融合爆弾の主なエネルギー源となるのは重水素と三重水素である。重水素は自然界の水の中に5000分の1の割合で含まれており抽出が比較的容易であり、三重水素の原料となるリチウムも入手が容易である。水爆では、まず起爆薬としての原爆により高温高圧の環境を作り、中性子によるウランの反応も関与して、重水素とリチウムの混合物の核融合を導くという2段階の方法をとる。この水素爆弾で使われる核融合物質は熱核材料と呼ばれる。
重水素と共に用いられるリチウムが、原爆から発生する中性子により三重水素に核種変化するので、重水素化リチウムを使用した水爆では三重水素は不要になる。リチウムの原子核に中性子を当てるとヘリウム4(4He)と三重水素の原子核が形成される。
核反応の疑問点
原爆から発したX線は光速度で熱核材料に達して加熱圧縮するので、中性子の到達までに核融合が始まってしまってリチウムが三重水素に変化する時間がないのではないかという考えがある。加熱圧縮の材料に密度の極めて低いスチレン重合体を使う点に答えがあるかもしれない。あるいは、原爆からの中性子ではなく融合燃料の慣性圧縮から生じるD-D反応より生成した中性子を元にD-T反応が誘発されるので、融合燃料の点火自体には三重水素は不要ではないかという意見もあり真相ははっきりしていない。
参考文献・参考資料
ザポリージャ原発でウクライナ職員50人が拘束下に…ロシアが「国有化」強行か (msn.com)
ウクライナ軍、南部でロシア軍から武器奪取 ゼレンスキー氏 (msn.com)
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