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やさしい法律講座V59「知的財産とAIの問題」

最近Bingという検索アイコンが画面に現れたので遊んでいる。まだまだ役に立たないという感想をもった。AIやChat GPTは人間のように人格を持ち、意思を持ち、創作活動ができるかと言うと、否である。
 その基本はアルゴリズムという作業や仕事をさせるプログラムである。そのプログラムを作ったのはプログラマーである。
 どのように理論構成にするかはプログラマーの手法のアルゴリズムの作成次第なのである。
 AIやChat GPTが人間のように勝手に理論構成するかというとアルゴリズムの手順プログラムがなければ論文が作成できないのである。
 学習技能があるAIはつまりは何を(どのような情報)に対して、情報として蓄えて、どのような情報を必要とする場面にその情報を提供するかと言うアルゴリズムというプログラムで指示されているのである。
 細かい指示がなければ、勝手な判断・結論はAIは出せない・出ないのである。
 自己学習・自己判断するAIの行動はアルゴリズムというプログラムによって作動するのである。プログラマーのアルゴリズムの出来、不出来が効果を持つ部分である。故に、その不法行為の責任の帰属はプログラマであると考える。

以前掲載したブログもご参照あれ!
政治講座ⅴ1059「AIによる自動運転の事故の責任とChat GPTの論文の著作権と参考文献の著作権侵害」|tsukasa_tamura (note.com)

今回も報道記事から選別して紹介する。

     皇紀2683年5月12日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司


AIは著作権を持てるか……中国でバーチャルヒューマンの「権利」を巡る初の判決

3 時間前


バイドゥのバーチャル手話アナウンサーは、通常速度で話すアナウンサーの声に応じて手話を行い話題となった(出典:Baidu Inc.公式You Tube)© ITmedia NEWS


 ChatGPTの登場によって生成AI技術に注目が集まるなか、AIを巡る知的財産権の法的枠組みの整備も急務となっている。
 AIを活用したバーチャルヒューマンの普及が進んでいる中国では最近、バーチャルヒューマンの権利侵害を巡る訴訟で国内初の判決が下され、社会に一石を投じている。

●商業利用広がるバーチャルヒューマン
 中国では既に、数百万人のフォロワーを持つバーチャルヒューマンがSNSで活動し、企業がインフルエンサーとして起用する動きも活発化している。
 有名なところでいえばアリババグループが他のIT企業と共同開発した「AYAYI」は、2021年にアリババに「入社」し、中国初のバーチャルインフルエンサーとしてルイ・ヴィトンやバーバリーなど30以上の高級ブランドと提携した。
 22年の北京冬季五輪時には、テンセントとバイドゥがそれぞれ手話で実況を届けるバーチャル手話アナウンサーを投入した。
 23年に入るとChatGPTの登場で、生成AIが一気に大衆化。対話型AIとバーチャルヒューマンを組み合わせた利用シーンの広がりも期待され、テンセントクラウドは4月に実在の人物が話している3分間の動画と100の音声素材だけで、モデルそっくりのバーチャルヒューマンを生成する技術を発表した。
 マイクロソフトから独立した中国AI企業「シャオアイス(小冰公司)」も、スマートフォンで3分の動画を撮影し、数時間のトレーニングで生成できるバーチャルヒューマンの開発を進めている。
●バーチャルヒューマンは芸術作品
バーチャルヒューマンは芸術作品
 AIが制作したコンテンツは法の保護の対象になるのか。
 日本を含む各国で議論が続いているが、中国では最近、バーチャルヒューマンを制作した企業が、その動画を勝手に編集して宣伝目的で使用した企業を訴えた訴訟の判決が下され、「バーチャルヒューマンの知的財産権を巡る初めての判決」として注目を集めている。
 着目すべきは、人の代わりに商品を宣伝したり接客をするバーチャルヒューマンが、著作権法の保護を受ける「人間」と同等の存在なのか、その位置付けにまで踏み込んで定義した点だ。
事案
 上海のAIスタートアップ「魔●科技(●は王へんに去、以下、Xmov)」は19年10月、AIを駆使して制作したバーチャルヒューマン「Ada」をリリース。Adaの応用シーンを紹介する動画と、Adaを動かすための人間の徐(Xu)氏によるモーションキャプチャの動画を公開した。
 杭州のIT企業B社は22年7月、Xmovが制作した2本の動画の最初と最後に示されたロゴを自社のものに差し替えた上で、自社が提供するバーチャルヒューマン関連講座の宣伝情報を加え、中国版TikTok「抖音(Douyin)」で配信した。
 XmovはB社を相手取り、動画の削除や損害賠償を求める訴えを杭州インターネット法院に起こした。17年に設立された同法院は、ネットの普及を背景に主に知的財産を巡る紛争を解決する全国最初の裁判所として知られる。
 B社は、Xmovの公開した動画が法律で保護される権利を有しておらず、かつXmovが動画の公開によって収益を得ていないことから、権利侵害に当たらないと主張した。
裁判の争点
 裁判所は
1.Ada、つまりバーチャルヒューマンは人間と同じように著作権や著作隣接権を有する存在か
2.Xmovが公開したAdaの画像と動画が著作権法で保護される対象物であるか、Xmovが動画の実演権を有しているか
3.著作権侵害および不正競争が認められるか
 の3点を主要争点とし、審理した。
裁判所の判断
1.バーチャルヒューマンは「人」か
 Xmovは当初からAdaを人だとは主張していなかったようだが、裁判所はバーチャルヒューマンが人として著作権を持つのかという論点から審理し、Adaがデザイナーの関与と選択によって、AI技術の集合体としてつくられた「ツール」であり、自然人が持つ著作権を有しないと判断した。
 また、Adaが動画で行っているパフォーマンスは徐氏の動きをデジタル技術で再現したものであるため、Adaは実演権も有しないと結論づけた。現行の著作権法の枠組みでは、バーチャルヒューマンは著作権や著作隣接権を有する存在ではないということだ。
2.Adaの画像と動画は著作権法で保護されるか。Xmovは動画の実演権を有しているか
 裁判所はAdaをデザイナーが制作し、商業的に利用される「芸術作品」と認定。Adaの画像や動画は視聴覚著作物、動画作品に該当し、Xmovは著作物の財産権と動画製作者としての権利を有していると判断した。
 また、Adaの動きの原型になった徐氏はXmovの業務としてパフォーマンスをしていることから、著作権法の実演者に合致しており、その実演権は雇用者のXmovに属するとした。
3.B社の行為は権利侵害に相当するか
 裁判所はB社による2動画の公開が、視聴覚著作物のネット配信権を侵害したほか、映像制作者と実演家の芸術作品のネット配信権も侵害したと判断した。
 また、SNSアカウントで「バーチャルヒューマン関連企業」を標ぼうしているB社が、Adaの動画に示されるロゴを自社のものにすり替えて講座を宣伝する行為は、消費者の理性的な決断を妨げ、市場競争の秩序を撹乱し、Xmovの商業利益を侵害すると認定。虚偽宣伝など不当競争にも該当するとした。
 結果、裁判所はB社に12万元(約230万円)の支払いを命じた。
●学習し、成長するバーチャルヒューマンの扱いは?
 今回の判決はバーチャルヒューマンの創作から使用に関わる複数の当事者の権利関係を初めて定義した点で画期的と評された。
 ただ、AI技術やバーチャルヒューマンはAdaがつくられた19年と比べると飛躍的に進歩している。
 例えば中国のトップ大学である清華大学が21年に開発し、IT専攻の学部生として大学に「入学」させたバーチャルヒューマン「華智氷(Hua Zhibing)」は、テキストや画像、動画などから目的に合ったパターンを絶えず学習し、子どもが周囲を観察したり経験して行動パターンを学ぶように成長していく。
 開発チームは当時、「華智氷の知的レベルは6歳程度だが、1年後には12歳程度になる」と説明したほか、華智氷が将来的に詩を創作したり絵を描くようになり、プログラミングも行える知性を持つ計画を明かした。
 Adaを巡る判決で、裁判所がAdaを「人」ではなく「芸術作品」と認定したのは、人間が技術的に創り出したもので、本物の人間そっくりなパフォーマンスも、実在の人間の動きをデジタル化したに過ぎないとの判断によるものだ。
 バーチャルヒューマンが世の中にあるデータから学習し、オリジナルの創作物を生み出していくのであれば、今回の線引きは当てはまらなくなる。技術分野では法が現実に追いつかないことはよくあるが、AIの技術革新は人々の予想を上回るスピードで進んでおり立法側も早期の対応を求められそうだ。
●筆者:浦上 早苗
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37。

参考文献・参考資料

AIは著作権を持てるか……中国でバーチャルヒューマンの「権利」を巡る初の判決 (msn.com)

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