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政治(株式)講座ⅴ1882「カマラ・クラッシュ!岸田・植田クラッシュ!失政で始まる恐慌」

 日本で始まったブラックマンデーの世界株価急落!これをトランプ氏は「カマラ・クラッシュ」と命名した。日本も大暴落に大慌てである。金融・証券の世界は薄氷の上を歩くようなものであるが、余りにも為政者が市場を甘くみたせいであり、失政のそしりは免れない。証券・株式を所有していない者も循環経済の世界では無縁ではない。最近始まった新NISAや年金資金運用など株式は将来の年金受給などで、我々の生活には大いに影響ある。証券運用の金持ちなどの富裕層だけではなく、そのような保有していない者にも回りまわって影響が及ぶのである。色々な議論があるが一般的には、世界恐慌1929年の株価大暴落により引き起こされたと信じられている。第二次世界大戦の原因はアメリカの世界大恐慌が他国に波及した。そして、ドイツ、日本、イタリアは経済的に苦しくなった。ドイツは第一次世界大戦で背負った賠償金200兆の負債で首が回らなかった。そこで、ヒトラーはポーランドの奪還を図り、イギリス・フランスと対立した。そして、ABCD経済包囲陣ABCDライン: ABCD line)とも呼ばれる米英蘭中諸国による経済的な対日包囲網作り、中国に触手を伸ばす米国はハルノートによる日本虐めが始まるのである。これにより第二次世界大戦が勃発した。今、戦争前夜に世界経済状況が似てきているのである。
今回はそのようになりそうな株式暴落の報道記事を紹介する。

     皇紀2684年8月7日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

なお、以前のブログも参考にされた。

政治(経済・金融)講座ⅴ1881「岸田政権の大失策か」|tsukasa_tamura (note.com)
政治(金融)講座ⅴ1880「(緊急速報)日本の株式バブル崩壊の再来か?ピンチはチャンス」|tsukasa_tamura (note.com)

トランプ、世界の株価急落を「カマラ・クラッシュ」と命名

Sara Dorn によるストーリー

トランプ、世界の株価急落を「カマラ・クラッシュ」と命名

トランプ前大統領は8月5日のトゥルースソーシャルへの投稿で、世界の株式市場の急落がカマラ・ハリス副大統領の大統領選への出馬によるものだと決めつけ、「カマラ・クラッシュ(Kamala Crash)」と名付けた。彼はまた、この急落がバイデン政権の失策によるものだとも非難した。

トランプは、ハリス副大統領が当選すれば大恐慌や第三次世界大戦が勃発するかもしれないと警告した。彼はまた、バイデンとハリスによる政権を「非常に愚かな人々」と呼び、「私が全てにおいて正しかったことを忘れてはならない!」と支持者に伝えた。

トランプは、予想を下回る7月の雇用統計に端を発した5日の株価急落を、カマラ・クラッシュと呼びハリス副大統領とバイデン政権に責任があると非難した。「カマラは曲者のジョーよりもさらに悪い」とトランプは書いた。

トランプは、4日のトゥルースソーシャルへの投稿で「株式市場が暴落している。言っただろ! カマラは何も分かっていない。バイデンはぐっすり眠っている」と書いていた。米国市場の株価は、2日の雇用統計の発表直後にも大きな下落を見せていた。

トランプは、しばしば、株式市場のプラスの動きを自分の手柄とし、マイナスの動きを対立候補のせいにしている。1月に株価指数が史上最高を記録したとき、トランプはその上昇を自身の世論調査の結果と結びつけ、「この株価の上昇は、トランプ効果だ。投資家たちは私が勝つと予測し、それが市場を押し上げている」と書いていた。

forbes.com 原文

NYダウ急落、終値1033ドル安…米景気悪化の懸念強まりFRBが利下げ急ぐとの見方も

読売新聞 によるストーリー

 【ニューヨーク=小林泰裕】5日のニューヨーク株式市場は米景気後退への懸念から売り注文が膨らみ、ダウ平均株価(30種)の終値は前週末比1033・99ドル安の3万8703・27ドルと急落した。下落幅は2022年9月以来、約1年11か月ぶりの大きさだった。

ニューヨーク証券取引所© 読売新聞

 下落幅は一時、1200ドルを超えた。3営業日連続の値下がりで、この3日間の下落幅は計約2100ドルとなった。IT企業の銘柄が多いナスダック総合指数の終値も、576・08ポイント安の1万6200・08と大幅に下落した。

 2日に発表された米雇用統計で就業者数が市場予想を大幅に下回り、米景気の悪化への懸念が強まっている。市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月に予定している連邦公開市場委員会(FOMC)を待たずに、臨時のFOMCを開いて利下げを決めるとの見方も出ている。

米株「恐怖指数」が過去最大の上昇、市場急落でさらなる混乱に警戒

Saqib Iqbal Ahmed によるストーリー

投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)が5日の取引時間中に過去最大の上昇を記録した。写真はニューヨークで2020年10月撮影(2024年 ロイター/Mike Segar)© Thomson Reuters

Saqib Iqbal Ahmed

[ニューヨーク 5日 ロイター] - 投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)が5日の取引時間中に過去最大の上昇を記録した。終値は2020年10月以来の高水準。

米リセッション(景気後退)懸念からリスク回避の動きが世界的に広がる中、市場のボラティリティーに備えるヘッジ需要が高まった。

VIXは一時65.73まで上昇。前週末2日終値を約42ポイント上回った。その後は押し戻され、38.57と約4年ぶりの高水準で引けた。

5日の米株市場は大幅続落し、S&P総合500種は一時4%超安となった。

VIXの上昇は、S&Pが1日に10%以上下落した20年3月の新型コロナに関連した大量売りなど過去の市場急落時の変動幅をはるかに上回った

ラショナル・エクイティ・アーマー・ファンドのポートフォリオマネジャー、ジョー・ティゲイ氏は米株の3日続落を受けたVIXの動きについて、「非常にまれ」と指摘。「先週、(市場で)何かが壊れたことは間違いなく、このダメージを修復するには時間がかかりそうだ」と語った。

【速報】円相場が1ドル141円台まで上昇 アメリカ景気減速への警戒感から利下げペース早まる見方が一段と広がる

FNNプライムオンライン によるストーリー

【速報】円相場が1ドル141円台まで上昇 アメリカ景気減速への警戒感から利下げペース早まる見方が一段と広がる© FNNプライムオンライン

外国為替市場で円相場は一時、1ドル=141円台まで上昇した。

アメリカで景気減速への警戒感から利下げのペースが早まるのではないかとの見方が一段と広がっている。

円高の進行により、輸出企業の業績悪化の懸念も高まっていて、5日の東京証券取引所・日経平均株価は、史上最大の下げ幅となる4451円28銭下げて取り引きを終えている。

株価急落、「貯蓄から投資」に冷や水か…政府・与党が脱デフレへ影響懸念

読売新聞 によるストーリー

 政府・与党は、5日の東京株式市場で日経平均株価が過去最大の下げ幅となったことについて、岸田内閣が進める「デフレ脱却」に向けた戦略への影響を懸念している。岸田首相が訴えてきた「貯蓄から投資」の流れへの冷や水となりかねないためだ。


岸田首相© 読売新聞

 林官房長官は5日、記者団の問いかけに対し、「冷静に判断することが重要だ。緊張感を持って内外の経済・金融市場の動向を注視し、経済・財政運営に万全を期す」と強調した。

 日本銀行は7月31日に政策金利の引き上げを決定しており、首相周辺は「株価が一時的に下がることは織り込み済みだ。国内経済自体は好調で底堅い」との見方を示した。

 首相は2022年5月に「資産所得倍増プラン」を打ち出し、個人金融資産を投資に振り向けることで、経済成長の好循環を目指してきた。今年1月には、NISA(少額投資非課税制度)を大幅に拡充し、個人投資家の裾野を広げた。株価は7月に史上最高値を更新し、政府内からは「海外投資家が日本の政策を高く評価している成果だ」(高官)との声も出ていた。

 今回の急落に対し、自民党幹部は「政府の政策への不信感につながると困る」と危機感を示した。立憲民主党の泉代表は5日、X(旧ツイッター)へ投稿し、衆参予算委員会の閉会中審査で「政府・日銀総裁の説明が必要だ」と指摘した。自民、立民両党は国会対策委員長会談を6日に行い、日程を協議する見通しだ。

突然の株大暴落、個人投資家が損切り危機直面-NISAにも試練

佐野日出之、グラス美亜 によるストーリー

(ブルームバーグ): 日本株は7月に史上最高値を更新するなど、順風満帆の相場の中で今年に入り信用取引や少額投資非課税制度(NISA)を通じて持ち高を増やしてきた個人投資家。しかし、突如訪れた暴風雨のおかげでわずか3営業日の間に状況は一変した

Japan’s Topix, Nikkei Stock Gauges Tumble 20% From July Peaks© Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg

  5日の日本株市場で日経平均株価は12%安と大幅続落し、終値ベースの下落率としてはブラックマンデーのあった1987年10月以来の大きさを記録した。市場関係者の間では、信用取引で買っていた個人投資家の含み損が急拡大し、追加担保の差し入れ義務(追い証)が発生したことで処分売り圧力が増し、株価の下げが拡大したとの見方が広がっている。

【日本市況】日経平均下げ幅史上最大、米景気懸念で質逃避-債券上昇

  ピクテ・ジャパンの糸島孝俊ストラテジストは「個別株を見ると、証拠金取引の投げと見られる売りが出ており、個人投資家が傷んでいる」と指摘。短期的には、売りの最終局面であるセリングクライマックスを迎えている可能性はあるものの、まだ確証はないと話す。

日本株急落、信用買い残の強制整理が拍車か-個人に打撃の公算大

  東京証券取引所によると、個人投資家の信用買い残高は7月26日時点で4兆9809億円と3週連続で増加。国内外の経済やテクノロジーセクターを中心とした企業業績に対する楽観的な見方から18年ぶりの高水準に膨らんでいた。その後、労働関連統計の低調などから米国景気の先行きが不安視され始めたほか、日本銀行の追加利上げ決定で流動性相場の変調も意識され、日本株相場は一気に崩れている。

  信用取引の買い方にとって株価が予想以上に下げた場合、追加で担保を差し入れられなければポジションを解消せざるを得なくなる。7月26日時点の信用買い方の評価損益率はマイナス9.4%。個人が好んで買う値がさ半導体関連株などのパフォーマンスが7月中旬以降さえず、今年最悪にまで落ち込んでいたが、さらに悪化している可能性は高い。一般的に、マイナス10%を下回ると追い証が発生すると言われる。

信用買い残と評価損益率の推移© Bloomberg

  暴落した日本株市場では高配当利回りが人気で、相場の急変動に対し耐性がある低ベーター株のJTが一時700円(17%)安と制限値幅いっぱいのストップ安。個人投資家の保有比率が4割近くあり、知名度の高い孫正義社長が率いるソフトバンクグループも19%安と過去最大の下落率となったことは日本株に対し長期的な先高観を持っていた多くの個人投資家にもショックを与えた。

  今回の暴落は今年に入り投資枠が拡充され、順調に利用者を増やしてきた新NISAの先行きにも影響を及ぼしそうだ。日本証券業協会が6月に公表したリポートによると、3月末時点のNISA口座数は2323万口座と昨年12月末から8%超増え、1-3月のNISA経由の買い付け額は6兆2000億円だった。貯蓄から投資の流れを加速させようと目論んでいた政府の期待も裏切られる可能性がある。

なかのアセットマネジメントの中野晴啓代表は「新NISAと日本株の円安バブルが重なり、相場が上がる環境しか経験していない投資家も多い」と指摘した。

リテール証券、株価急落受け緊急顧客対応-個人マネーの動き憂慮

  資金の半分弱を日本株で運用するという個人投資家の鶴田健太郎マイケル氏は、日銀の利上げ時に「いくらか株が落ちると考えていたが、ここまで急激に下がるとは考えていなかった」と振り返り、「調整は少しだろうと高をくくり、楽観的にマーケットを見過ぎてしまった」と反省している。

  長期的な視点で市場を見たいと考える鶴田氏は、いずれ相場は回復すると見て投資を継続する考えだが、「ナイフを空中でつかむのではなく、地面に落ちた後に拾いたい」とし、買い増しは急落による混乱が収まるのを待ってからにしたいと語った。

1月以来の円高水準

  5日の東京外国為替市場の円相場は世界的な株安によるリスク回避の円買いや米長期金利の低下を材料に対ドルで一時3%以上上昇し、141円70銭と1月以来、7カ月ぶりの円高水準に振れた。

  急激な円高は半導体をはじめとしてテクノロジー株や自動車株など輸出関連セクターの利益を押し下げる要因となるほか、円安の可能性に賭けていたFX投資家(外国為替証拠金取引)にとっては大きな損失を被る値動きだ。

  三井住友DSアセットの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは「投資経験の浅い人たちは、このような大きな下落を経験したことがなく、ショックはかなり大きいかもしれない」と言う。記録的な下落が日本株相場に与えた影響は大きく、「市場が安定するにはもう少し時間がかかる」との見方を示している。

「日本株大暴落」戦犯たちの憂鬱と個人投資家の阿鼻叫喚…なにが「日本版ブラックマンデー」の引き金を引いたのか

鷲尾 香一(ジャーナリスト) によるストーリー

大暴落を招いた「ダメなやつら」

日経平均が過去類を観ない下落幅を記録した8月5日、多くの個人投資家が悲惨な目にあったことだろう。その責めを負うべきは、日銀・植田和男総裁に他ならないが、日本の金融政策の稚拙さは今に始まったことではない

余計な口出しをする政治の思惑も絡み、岸田文雄首相や植田総裁は「日本版ブラックマンデー」を演出した戦犯として歴史に刻まれることとなった。

今回の利上げで日銀は大きな「3つの間違い」を犯した。

歴史を塗り替える暴落劇だった…Photo/gettyimages© 現代ビジネス

岸田政権は「資産倍増計画」を打ち出し、新NISA(少額投資非課税制)の利用を奨励しているが、SNSなどでは株価の大暴落で損害を被った国民の“怨嗟の声”で溢れかえっている。

7月の金融政策決定会合で日銀が犯した間違いの第一は、利上げと量的金融緩和策として行われていた長期国債の買入額の減額を同時に発表したことだ。

日銀が「利上げ」をあせったワケ

筆者は7月26日に寄稿した「日銀・植田総裁の「次の一手」を大胆予想!それでも「円安バトル」は終わらない…次の日銀会合で浮かび上がる「2つの政策」に注目せよ!」で、同時発表に強い懸念を示した。

長期国債の買入額の減額については、現在の月6兆円程度の買入れから26年1〜3月に3兆円の買入れに減額することを決めた。原則、四半期ごとに4000億円ずつ減額することになる。これは筆者の予想通りの結果だった。

だが、利上げについては、筆者は否定的な見解を持っていた。

長期国債の買入額の減額は間違いなく、長期金利の上昇を促す。それに加え、利上げを実施すれば、短期金利も上昇し、長期・短期の両方が上昇することで、国民生活に大きな影響があると指摘した。

日銀は同日発表の7月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、24年度と25年度の物価見通しを「上振れリスクの方が大きい」と分析、25年度の生鮮食品を除く消費者物価上昇率の見通しを前年度比2.1%に上方修正した。

さらに、「企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある」との見解を追加した。利上げの公表文では、「輸入物価は再び上昇に転じており、先行き物価が上振れするリスクには注意する必要がある」との認識を示している。

政治家からの利上げ要請

植田和男総裁は記者会見で利上げの理由について、「経済や物価のデータがオントラック(想定通り)だったことに加え、足元の円安が物価に上振れリスクを発生させている」と述べた。

これは、日銀が2%の物価目標を達成するために、「円安による輸入物価上昇が賃金上昇を通じて持続的な物価上昇につながる」というこれまでの“良い円安説”から“悪い円安説”に転換したことを意味していた。

岸田文雄首相。植田総裁は政治の思惑に踊らされたか…Photo/gettyimages© 現代ビジネス

この背景には、物価高を引き起こしている円安に対しての政府から強い円安阻止要請があったものと推測される。

7月17日、河野太郎デジタル大臣が外国通信社のインタビューで、「円の価値を高め、エネルギーや食料品のコストを引き下げるために政策金利を引き上げるよう日本銀行に求めた」と報じた。また、7月22日には、自民党の茂木敏充幹事長が日銀に対して、「段階的な利上げの検討も含めて金融政策を正常化する方針をもっと明確に打ち出す必要がある」と発言している。

これら政治の要請が、日銀が同時に利上げと長期国債の買入額の減額に踏み切ったのであれば、目も当てられない

第二に、植田総裁がさらなる利上げに言及したことだ。

展望リポートでは、「当面は緩和的な環境が続く」との文言が削除され、「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている」と明確にさらなる利上げの可能性を打ち出した。植田総裁も会見で、「データが見通しどおりに出てきて、ある程度の蓄積になれば当然、次のステップに行く」と述べている。

これは、マーケットは予想だにしなかったことだろう。まさか、同時に利上げと長期国債の買入額の減額に踏み切った上に、さらなる利上げを示唆するという間違いを犯すとは思いもよらなかった。

米FOMC前の「勇み足」がまねいたパニック

第三に米国の動向を読み間違えたことだ。

筆者は7月30~31日の日銀金融政策決定会合と同日にアメリカのFRB(米連邦準備制度理事会)によるFOMC(米公開市場委員会)が行われることで、その結果が大きな影響を与える危険性を指摘していた。

会合後の会見で、FRBのパウエル議長は「9月の利下げ開始もありうる」と明言したことで、日銀の利上げに加え、米国の利下げによる日米金利差の一段の縮小観測に拍車がかかり、為替相場は大きく円高に進んだ。

阿鼻叫喚の「株価暴落」は岸田政権の大失策 株式アナリスト・山本伸氏は〝7・11ショック〟と指摘

東スポWEB によるストーリー

株式アナリスト・山本伸氏© 東スポWEB

岸田政権の大失策となってしまった。日経平均株価は5日終値で、前週末比4451円安の3万1458円となり、1987年のブラックマンデー翌日を超える過去最大の下げ幅を記録した。「資産所得倍増」を掲げた岸田文雄首相の看板政策はもろくも崩れ去り、投資家の怒りの矛先が向けられている。

2日に2216円の下落で、阿鼻叫喚となっていた株式市場は週明けの5日にさらに拡大した。下げ幅4451円はブラックマンデー翌日の3836円を上回った。為替もドル円は午後3時過ぎに141円まで円高が進み、こちらも今年7月3日に年初来高値の161円から20円も動いたことになる。信用取引組は追証(追加保証金)発生で、一気に地獄に転落する人が続出している。

岸田政権は2022年5月に「資産所得倍増計画」を打ち出し、当時2万7000円台だった株価は昨年から上がり始め、今年7月11日には過去最高値となる4万2224円をつけた。ところが以後、下降線をたどり、この日で1万766円も下げ、東証の時価総額でいえば、200兆円近くが1か月で失われたことになる。

株式アナリストの山本伸氏は歴史的な株安背景をこう指摘する。「岸田政権の『資産所得倍増計画』では、PBR(株価純資産倍率)1倍割れ解消の東証改革や新NISAの導入を行った。これは円安&超低金利での円キャリートレードでメインだったが、その前提条件が崩れたことで、ヘッジファンドや投資ファンドがみんな投げ捨てする事態になった」

転機は最高値をつけた7月11日だという。政府、日銀は行き過ぎた円安を警戒し、11~12日に大規模な円買いドル売りの為替介入に踏み切った。

山本氏は「今回の下げを私は〝7・11ショック〟とみている。政府、日銀が為替介入した直後にトランプ氏の銃撃事件が起きトランプリスクが1か月前倒しになった中で、日銀は市場が予想していなかった利上げに踏み切り円高に転換した円安、企業業績回復、株高がこのまま続くという投資家の幻想は打ち砕かれ、見限られたともいえる。さらにブラックアウトといって、決算発表終了まで自社株買いができない期間でもあり、売られても買いが入らない。岸田政権はここまで株価が崩壊するとは想定していなかったはず」と指摘し、政府の失策を追及する。

一方、ネット上で〝神〟扱いされているのは経済アナリストの森永卓郎氏だ。かねて新型NISAを勧める政府の姿勢やバブル相場に警鐘を鳴らしていたが、的中した形となった。

5日、ニッポン放送の「垣花正あなたとハッピー!」に出演した森永氏は、「今すぐ(持ち株は)全部売れと言い続けてきた世界の景気が落ち込み、悪化する方向に動いている米英が金利を下げる中で、日本だけが逆噴射し、利上げで首を絞めにいった。(主導した)岸田、河野(太郎デジタル相)、茂木(敏充幹事長)は3大悪人。岸田首相は貯蓄から投資へと新NISAを使って、一種の投資詐欺だと思っている」とぶった切った。

森永氏は今後、1ドル=90円、株式バブルのさらなる崩壊を予想し、日本経済の立て直しには時間がかかるとも指摘した。山本氏は「円高が止まらないと輸出関連企業の業績不安が増し、不安定要素になってくる。海外勢は本格的に日本の〝失われた30年〟が終わって、成長路線に戻ると期待していた部分もあったのにデフレ逆戻りの可能性すらもある」としばらくは見極めの局面とみる。

資産形成のために新NISAを始めた新規投資組にとっては初めての急下降をたどる〝ナイアガラチャート〟に、卒倒した人も多い。山本氏は「新NISAは長期投資で、短期でやるのではないので、じっくりと待つのが基本現物の人は戻るチャンスがあるが、信用の人はバクチだから仕方がない」と投資にリスクは伴うとあって、慌てないことが肝要だとした。


日本株を襲うもうひとつの「不都合な真実」…日銀利上げで「円高デフレ大逆流」が招く「日経平均2万8000円台」の悪夢のシナリオ

2024.08.06 鷲尾 香一

植田・日銀が犯した「3つの過ち」

8月5日の日本株の大暴落で、岸田文雄首相や植田総裁は日本版「ブラックマンデー」を演出した戦犯として歴史に刻まれることとなった。

史上最大の大暴落だった…Photo/gettyimages

ひとつは、利上げと量的金融緩和策として行われていた長期国債の買入額の減額を同時に発表したこと。次に植田総裁がさらなる利上げに言及したこと。そして、米国FOMCの動向を読み間違えたことだ。

これによって、日本株は過去最大の下げ幅を記録したのだった。

このように日銀が犯した3つの過ちが円高を加速させ、日経平均株価の大暴落を招いたのだ。

それでは、日経平均株価はどこまで下落するのだろうか

しょせんは円安による株高だった…

直近の経過を振り返ろう。日経平均株価の終値は、日銀が利上げを発表した7月31日の3万9101円から翌8月1日には3万8126円に975円下落した。

しかし、米国の経済統計により、景気減速観が強まると、米国株の大幅な下げと相まって、8月2日には日経平均株価の終値は前日比2216円安の3万5909円と、下げ幅はブラックマンデー翌日の1987年10月20日(3836円安、14.9%安)以来およそ36年10ヵ月ぶりの大きさで、史上2番目の下げ幅となった。

さらに、8月2日発表の米国の7月雇用統計が非農業部門雇用者数11万4000人増と予想を下回り、失業率の前月比が21年9月以来約3年ぶりの高水準となる4.3%に上昇したことで米国の景気減速懸念が強まり、週明けの8月5日の日経平均株価は前週末比4451円安の3万1458円と史上最大の下げとなった。

7月31日に1ドル=153円台だった為替レートは8月5日には141円台まで円高が進行。わずか4営業日で10円以上という急激な円高となった。

日経平均株価の上昇は、円安進行を背景に進んできたといっても過言ではない。1ドル=136円台前半だった23年2月の日経平均株価は2万7446円だった。その後、円安の進行とともに、日経平均株価は上昇を続けたのである。

となれば、どの程度、円高がすすめば株価がどうなるかは見えてくる。

日経平均は正念場「2万8000円台を覚悟せよ」

今回の日銀の利上げを受けた為替相場、日経平均株価の動きを見ると、日経平均株価が3万6000円に下落した8月2日の為替レートは148円だ。そして、日経平均株価が4000円を超える史上最大の下げとなり、3万1000円台に下落した8月5日の為替レートは142円付近だった。

これは、多少のブレはあるものの、過去の日経平均株価の水準と為替レートの水準の関係に非常に近い。

筆者作成

植田総裁が「次のステップに行く」と明言したように、さらなる利上げがあるとすれば、パウエルFRB議長の「9月の利下げ開始もありうる」との発言と相まって、日本の利上げ、アメリカの利下げにより、円高はさらに進行することになる。市場では、すでに次の日銀の利上げ時期を12月との見方が強まっている。

となれば、円高が140円まで進めば、日経平均株価は3万円割れとなる可能性が大きい。場合によっては、2万8000円台まで下落する可能性すらある。

「物価高」は落ち着いてきている

問題は、実は日銀が利上げの根拠とする「物価の上振れリスク」には、すでに陰りが見えていることだ。

為替レートの動きと生鮮食品を除く消費者物価指数を並べてみると、見事なまでに円安進行が輸入物価の上昇を通して、国内物価高を演出していたことがわかる。

筆者作成

23年2月の為替レートが136円だった時、消費者物価指数は103.6だった。それが、24年6月に160円まで円安が進むと、消費者物価指数は107.8まで上昇している。この点では、確かに円安を止め、円高にすることで物価高を抑えることができる可能性は高い。

しかし、生鮮食品を除く消費者物価指数が前年同月比で上昇に転じたのは、21年9月からで23年1月には4.2%という高い伸びとなったが、その後は伸び率が低下基調をたどり、直近の6月には2.6%にまで低下している。

その上、上昇要因となっているのは、円安を踏まえたエネルギー価格の上昇だ。
生鮮食品およびエネルギーを除く消費者物価指数は、23年4~10月の半年間は4%台と高い伸びだったが、直近の6月には2.2%まで低下している。


筆者作成

日銀は物価上振れリスクの要因のひとつとして、エネルギー価格の上昇に対する政府の補助が終了することをあげているが、エネルギーを除けば、輸入物価上昇ペース鈍化の影響から物価上昇は収まりつつあり為替円高が進めば、日銀が掲げる2%の物価目標の達成は危ういものとなる。今回の急激な円高進行により物価が下落に転じた場合、日銀は果たしてどのような金融政策を選択するのであろうか。

やっぱり露呈した「稚拙な市場との対話」

そもそも、生鮮食品を除く消費者物価指数が前年同月比で4%を超える上昇となった23年初めには、日銀は利上げを強く否定していた。それが、物価高が落ち着き始めている今になって、根拠の薄い上振れリスクを理由に利上げに踏み切ったのは、不可解ほかならない

物価上昇が厳しかった時から、緩やかに小幅な利上げを行っていれば、今回のような日経平均株価の大暴落という事態を引き起こすことはなかったはずだ

以前から筆者は、日銀はフォワードガイダンスが致命的に下手だと指摘している。

アメリカでは、FRBがFOMCで9月の利下げを示唆するなど市場が利下げに対して用意周到な準備ができるようにしている。日銀も利上げの方針を事前に市場に浸透させていくことができたはずだ

日経平均株価の史上最大の下落は、日銀の稚拙な金融政策が原因にほかならない。

「植田不況」の始まりか? 繰り返される日銀の失敗…植田総裁の「仰天発言」の中身とは

FRIDAYデジタル によるストーリー

マーケットを驚愕させた植田和男日銀総裁の記者会見

8月5日、日経平均株価は4451円28銭下落。1987年のブラックマンデーの翌日に記録した下げ幅を上回る過去最大の暴落となった。7月11日の高値からは1万円以上下落したことになり、世界的な株安につながっている。この下げの主因は日銀の利上げだが、マーケットを驚愕させたのは、植田和男日銀総裁の記者会見だった。専門家が解説する。

植田日銀総裁の「仰天発言」とは

7月末に開かれた金融政策決定会合で、日銀は政策金利を0~0.1%から0.25%へと引き上げた。このタイミングでの利上げ自体、金融市場の想定外であったが、本当のサプライズは会合後の記者会見での植田総裁の発言だった。「(日銀の)経済・物価の見通しが実現すれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げる」と述べたのだ。

なぜ、これが〝問題発言〟なのか? それは、日銀の経済・物価見通しを読むと分かる。記者会見と同時に、日銀は『経済・物価情勢の展望(’24年7月)』を公表。そこに、「2024~2026年度の政策委員の大勢見通し」という資料があり、日銀の政策委員の実質GDPと消費者物価指数の予測値(対前年度比)が並んでいる。

実質GDPの予測の中央値は、 ’24年度+0.6%、’25年度+1.0%、’26年度+1.0%。消費者物価指数は’24年度+2.5%、’25年度+2.1%、’26年度+1.9%となっている。これらの予測値は、特段、変わったものではない。主要なシンクタンクの経済予測をみても、ほぼ似たり寄ったりの数字が並んでいる。だが、それ故に大きな問題となる。

なぜ完全な〝タカ派〟に転向したのか……(PHOTO:アフロ)© FRIDAYデジタル


「2024~2026年度の政策委員の大勢見通し」(『経済・物価情勢の展望(’24年7月)』日銀より)© FRIDAYデジタル

植田総裁の〝タカ派〟転向で政策金利は「来年末に1%へ」

先の植田総裁の発言は、「この平均的な予測どおりに日本経済が推移すれば、利上げを続けていく」という宣言になっているからだ。利上げの発動条件のハードルは極端に低くなってしまった。しかも、過去30年間、超えることのなかった政策金利0.5%という水準を〝壁〟とは考えていない、とも述べている。

金融政策当局が将来の金融政策の方針を事前に表明することを『フォワード・ガイダンス』というが、とんでもないフォワード・ガイダンスをブチ込んできたといえる。

これを受け、株式市場や債券市場の金利見通しは、大幅な修正を迫られることとなった。現状のシナリオは、’25年末までに0.25%の利上げを2~3回実施するといったもので、2回であれば政策金利は0.75%に、3回なら1%に到達することになる。

金融政策当局者に関して、金融緩和に積極的な人を〝ハト派〟、金融引き締めに積極的な人を〝タカ派〟と呼ぶことがある。植田総裁は、これまでハト派だとマーケットは受け止めていたが、完全なタカ派に転向したようだ。

インフレ目標は「現状維持で達成可能」だった……

日銀のスタンスが大きく変わったことで、金融政策の齟齬も目立つようになった。日銀は、「インフレターゲット政策」を導入している。物価の安定を政策目標とするもので、具体的には、消費者物価の前年比上昇率2%がターゲットだ。改めて日銀の物価見通しをみると、このままいけばインフレターゲットを達成できることになる。であるならば、現状の金融政策を維持すれば良い、ということになる。

なぜ、金融政策が上手くいっているにもかかわらず、いま利上げをしなければならないのか。しかも、このまま日銀の見通しが実現すれば、さらに政策金利を引上げるというが、その場合、インフレターゲットから逸脱するリスクはないのか。残念ながら、こうした点について、植田総裁から整合性のある説明はなく、質疑応答で記者からの質問も出なかった。

景気の「ダウンサイドリスク」を軽視する日銀

利上げの理由について、記者会見では、「持続的・安定的な2%の物価目標をちゃんと実現するという観点からは、少し早めに調整をしておいたほうがいい、というのが一つ大きな理由」と語っている。だが、やはり、なぜ早めに調整をすべきなのかについて、明確な根拠は示されていない。

一方、何の問題もないのに利上げを急ぐことのリスクについては、「実質金利は、依然として大幅なマイナスなので緩和的な金融環境は維持され、景気への影響は大きくない」と繰り返している。名目金利から期待インフレ率を差し引いたものが実質金利で、実際、大幅なマイナスとなっていることは事実だが、景気のダウンサイドリスクを軽視し過ぎてはいないだろうか。

会見では、物価上昇を招いた円安への懸念に何度も言及し、今回の利上げの強い動機になっていることを伺わせた。本来、為替政策は日銀の管轄外であるにもかかわらず、円安への対応を金融政策に担わせたことになる。そもそも、円安は日本経済のデフレ脱却の原動力だった。政治家からの圧力や世論への配慮があったのかもしれないが、リスクが高い措置といえよう。

「植田不況」の始まりか……

こうした一連の動きは、’00年8月の日銀のゼロ金利政策解除を否が応でも想起させる。日銀は、’99年2月にゼロ金利政策を導入したが’00年8月に解除した。だが、そのときはすでにITバブル崩壊が始まっており、主要国の株価は暴落過程にあった。そのため、半年後の’01年2月には、日銀は再び利下げを余儀なくされることになる。

実は、現在、米国株式市場にも暗雲が垂れ込めている。足元で発表された米国の経済指標が急速に悪化しており、米国経済のリセッション懸念とともに、「AIバブル」あるいは「EVバブル」が崩壊する可能性が取り沙汰されている。

00年8月のゼロ金利解除は明らかな失敗だった。以降、深刻な円高不況を招き、「失われた20年」が続くきっかけとなった。7月の日銀の利上げは、その二の舞になりはしまいか。奇しくも、’00年8月のゼロ金利解除に反対した2人の日銀審議委員のうちの1人は、現在の植田総裁だった。デフレに逆戻りする「植田不況」にならないためにも、過去の教訓を生かし、日銀は迅速な軌道修正を図るべきだと考えられる。

取材・文:松岡賢治

マネーライター、ファイナンシャルプランナー/証券会社のマーケットアナリストを経て、1996年に独立。ビジネス誌や経済誌を中心に金融、資産運用の記事を執筆。著書に『ロボアドバイザー投資1年目の教科書』『豊富な図解でよくわかる! キャッシュレス決済で絶対得する本 』。




参考文献・参考資料

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ABCD包囲網 - Wikipedia

「植田不況」の始まりか? 繰り返される日銀の失敗…植田総裁の「仰天発言」の中身とは (msn.com)

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