「小さいという自由」
人はそれぞれ心に聖書がある。
それは哲学とも、信念とも言う。
その聖書を信じてる。
信じたいと思う。
待ち続けたいと思う。
僕の中にも聖書がある。
僕が作った聖書がある。
その聖書が正しいと思う。
その聖書をみんな信じればいいと思う。
でも僕が自由になったのは、
この聖書を手放した時だった。
信頼できる人のくれた聖書に、
身をゆだねた時だった。
盲信とは違う。
思考停止とは違う。
憧れとも違う。
違うと思う。
僕の中の僕の聖書を持ち続けてた僕が、
僕の信頼する人の前で、小さく小さくなった時、
僕の肩から重い荷物がなくなって、
少し自由になれたんだ。
その人の聖書と、僕の聖書に、
違いはさほどなかった。
僕の聖書はそんなに、間違っていなかった。
だけど今の僕は、
あの頃よりも、自由だ。