20240923 イラストエッセイ「私家版パンセ」0052 創造的であれ!
「創造的であれ」とよく父がぼくに言いました。
フランスの哲学者アランも、「創造的で意味のある仕事をすることが人間を幸せにする」と言っています。
創造的とは、自分で何かをつくることですね。物語でも、音楽でも、絵でも、DIYでも。ぼくは読書も創造的だと思っています。文字という図形を意味に変換して、書かれている事柄をイメージにするのはとても創造的だと思います。
創造的の反対語は模倣的と言われています。
でもぼくは、あえて「消費的」としたいと思います。
「消費的」とは、自分でつくるのではなく、人が作ったものを消費することと定義します。
例えば、ディズニーランドに行ったり、テレビゲームをしたり、映画館に行ったり、レストランで食事をしたり、買い物をしたりすること。最近ではYoutube を見ることもこれに入るかな。
創造的なことを好きになること。そしてそれを仕事にすること。
これが人生を楽しく生きる最高の生き方だとぼくは思います。
もちろん、消費的な楽しみも否定しません。でも、消費的な楽しみはお金がかかるので、他に仕事をしなければなりません。
ゲームをするより、作ったほうがいい。レストランに行くより、料理が上手になった方が良い。もちろん、味の研究のためにレストランに行くことは必要ですけれど。
子どもの頃、父はぼくが漫画を読んでもほめてくれませんでしたが、漫画(絵)を描いているとほめてくれたものでした。
きっと誰しもそう思うでしょう。自分の子供が何かをつくることに熱中していたほうが、お金を使う楽しみしか知らないよりずっと嬉しいはずです。子供の幸せを願うなら、その方が良いと分かるからです。
人間は、自分の好きなことをしている時が一番幸せだし、一番うまくやれると思います。
仕事でも学問でも、義務感でやっている人は好きでやっている人には絶対に勝てません。
仕事が趣味、という人がいます。こういう人は必ず出世するし、起業したりします。金曜日の夜になると嬉しくなり、日曜日の夕方になると憂鬱になるのは、これが普通ですけれど、まあ普通のサラリーマンで一生を終えます。
だから好きなことを仕事にするのが一番いい。しかも創造的なことを。
消費的なことは仕事にはなりませんから。
でも好きなことを仕事にできない場合はどうすればいいのでしょうか?
仕事の他に創造的な趣味を見つけるか、消費的な楽しみで発散するか。
それにしても、仕事は一日8時間、一生やるものですから、仕事が好きではないという状態は好ましくありません。
そんな場合は、その仕事が何とか好きになるように努力することが幸せになる道だと思います。義務的な仕事は、魂をすりへらすだけです。
仕事を好きになる最も良い方法は自分の仕事に創造的に取り組むことです。たとえマニュアルのある接客でも、自分らしい工夫(創造性)を発揮する余地はたくさんあると思うのです。
そもそも仕事を創造的にするためにどうすればいいのかと考えること自体がとっても創造的なことですよね。
ぼくは教師を30年やりましたけれど、日々の仕事を義務的にこなす先生より、どうしたら良いクラスになるか、どうしたら良い授業ができるか、どうしたら部活が強くなるかと研究している先生の方がずっと幸せそうでした。
教師の働き方改革がかまびすしい昨今ですけれど、ようするに教師が自分の創造性を発揮できるようなゆとりが必要だということだと思っています。