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「スーパー熱血教師」の功罪


「スーパー熱血教師」以外は教師にあらず(?)

日曜劇場「御上(みかみ)先生」がおもしろいです。

以下、ネタバレ注意です。
第2話では、御上先生(松坂桃李)が、同僚の是枝先生(吉岡里帆)に対し、こんな話をします。

とある有名な学園ドラマの新シリーズが始まるたびに、日本中の学校が荒れて学級崩壊を起こす

そのドラマが
生徒のために奔走するスーパー熱血教師以外は教師にあらず
という空気を作ってしまったために、いわゆるモンスターペアレントが大量発生した、という主張です。事実かどうかはわかりませんが、なるほど、と思いました。

ちなみにそのドラマとは、御上先生が「以来40年間、...」と言ったこと、また是枝先生の部屋にあったコミックのタイトルから、同じTBSで放送された「3年B組金八先生」(1979年~2011年)であると推測されます。
ドラマ「御上先生」の飯田和孝プロデューサー自身が教育学部出身で、金八先生に憧れていたと述べていますので、ほぼ間違いないでしょう。

ちなみに私は、「金八先生」よりも「熱中時代」(1978~1981年)に憧れた記憶があります。他にも、GTO、ドラゴン桜、ごくせん、古いところで言えばスクールウォーズやゆうひが丘の総理大臣など、学園ドラマの熱血教師に憧れて教師になったという人は多いはず。その意味では、学園ドラマが教員志望者の増加に一役買っていると言えそうです。

話を戻すと、御上先生は、
全国の高校教師は約25万人、その人たち全部が『スーパー熱血教師』になるのと、よい教師像自体を考え直すのと、どっちが現実的だと思いますか
と是枝先生に問います。

休職・退職する教員の増加

昨年度、うつ病などの精神疾患で休職した教員は初めて7000人を超えて過去最多となったことが文部科学省の調査で分かりました。

ちなみに富山県においては、精神疾患を理由に休職したのは前年度比2人減の41人、病気休職者は62人だったそうです。

若手教員の退職者数も増えているようです。原因はいろいろあるでしょうが、学園ドラマの熱血教師、もしくは自分の恩師のようになりたいと思い、理想をもって教師になったものの、「教師として完璧でなければならない」という思いが強すぎて現実とのギャップに悩み、結果として休職や退職に至ってしまうというケースもあるような気がします。

教師のウェルビーイングの実現に向けて

近年、「ウェルビーイングの実現」が叫ばれています。教師のウェルビーイングの実現のためには、教師自身の自己肯定感を高めることが大切だと考えます。そのためには、教師として自分に課しているハードルを下げることが必要なのではないでしょうか。

確かに、教師に求められていることは多いですが、すべてを完璧にこなすことは不可能です。特に若い先生方には、確かに苦手なこと、不得意なことをある程度克服することは必要かもしれませんが、多少のマイナス面には目をつぶり(薄目ぐらい?)、むしろ長所や強みを最大限生かし、できないところは他の先生に協力してもらったり、外部人材を活用したりして、「自分らしい」教員生活、日常生活を送ってもらいたいと願っています。もちろん、学校現場での働き方改革の一層の推進が不可欠です。

加えて、保護者を含め、社会全体が教育現場の現状を理解し、みんなで教師を支えるような雰囲気が醸成されることを切に願います。


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