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ぼくの腰はどうやらやばいらしい。【1000字と1枚】

「辻さんの腰、固いです。すごく固いです。こんなに固い人なかなかいませんよ」

うつ伏せで寝ているぼくの腰を指圧しながら整体師の先生は言いました。ぼくの腰はどうやらやばいらしい。

1月6日、人生ではじめてのぎっくり腰になりました。その日は朝から腰にたしかに違和感があったんです。でも午前中に新年の初売りで20%オフで買ったでっかい観葉植物が家に届いた嬉しさで、その違和感が頭から吹っ飛びました。受け取りのサインをして、さて、2階へ運ぶぞと鉢を持ったとき、ビキキキッと腰に激痛が走ったのでした。

ショックでした。ぎっくり腰になるなんて。ぼくは子どものころから体を動かすのが得意だったし、今も走っているし……ぎっくり腰とは無縁の人生だと思い込んでいました。でも、じぶんの肉体を過信していた。ぼくの体は知らないうちにかくじつに老いてるのでした。

そういえば最近、体の不調が多くなってる。去年の夏はふくらはぎの肉離れ。体の柔軟性もめちゃくちゃ落ちてる。高校のときには膝を曲げずに手がペタッと余裕で地面につくくらい柔らかかったのに、気づいたら指先がギリギリ地面に届くかどうか。地面に座った状態で開脚しても40度くらいしか足が開かなくなってる。いよいよやばいかもしれない。

おととい、床屋さんで髪を切ってもらうときも、しぜんと体の不調の話題に。理容師さんがまえに体を壊していたことを覚えていたので、なにかケアをしているのか聞いてみると、「ぼく週1で整体行ってますよ。こうやって辻さんが髪の毛切りに来てくれるのと一緒ですね」と教えてくれました。

ハッとしました。そうか、整体に行くのは、髪の毛を切りに行くのとおなじなのか。床屋にも、歯医者にも当たり前のように行くのに、整体に行こうなんて思ったことはなかった。それはやはり確実に、じぶんの肉体を過信していたからです。慢心していました。理容師さんとそんなやりとりをして、よっしゃ整体通ってみるか、という気持ちになっていました。

そしたらきのうの朝。

かなり回復したと思っていた腰がまた痛くなってるではありませんか! 痛い。けっこう痛い。とにかく会社へ行って、午前中のMTGに出席したけど、やっぱりぜんぜん痛い。だめだ、これは整体だ。すぐに最寄り駅の整体院を予約。会社は早退。

整体師の先生は若い男性でした。緑色の医療ベッドにうつ伏せに寝かされて、施術がはじまります。腰の指圧がいきなりめちゃくちゃ痛い。

なんでいきなりそんな強く押してんだよ……と思って、「そこめちゃくちゃ痛いです!」とやや強めに言いました。すると先生は「ここ痛いですよね。でもぜんぜん強く押してないんですよ」とおっしゃる。「いまこのくらいの力で押してます」と体の違うところを同じ強さで押してもらうと、たしかにぜんぜん強い力じゃない。

辻「え、ぼくの腰どんな感じですか?」
整「かたいです。めちゃくちゃかたい。こんな人なかなかいません(笑)」
辻「え」
整「この腰はやりがいあります。S級です。辻さん、伸び代しかないですよ」

「S級」とか「伸び代」の使用方法がなんだかちょっと不快でしたが、整体師の方の言っていることは感覚的に信頼できました。指圧されてみて、じぶんの体がどうやらやばそうだ、ということはじぶんでもわかりました。

またいつぎっくり腰になってもおかしくないらしい。そのほかにも、首とか肩とか背中とか太ももとかふくらはぎとか、ぜんぶ固いらしい。首とか肩はじぶんでは凝っている感じはしていなかったけど、めちゃくちゃ固いらしい。そのことにじぶんで気がついていないのも変らしい。

とりあえずそこに通うことにしました。ぼくの腰はこれからよくなっていくのでしょうか。

今はアスパラガスのようなシャキッとした姿勢を意識しています。姿勢を正そう。

「1000字と1枚」というマガジンを去年からはじめました。いまのところ月2〜くらいの更新予定です。読んでいただけるとうれしいです。


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