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172回芥川賞をガチで予想する


新年といえば、そう!芥川賞ですよね!🤤笑
今回も無事、候補作を全部読むことができました!ので、今回も受賞予想をしてみようと思います!

今回は面白い以上に、どれも好みの作品ばかりで予想に困った……。


まずは各書の講評!最後に受賞予想を載せています!
*読了した順です。他意はありません。


① DTOPIA / 安堂ホセ

編集された物語には必ず他者の“目線”が入る。その“目線”には意識的・無意識的に関わらず“作為”が宿る。それが誰かを傷つけた時、“暴力”に変わる。でも、それが社会なのかも?皆が皆、意味を押し付けあって混ざり合ってる。物語を二人称で描いてるのも矛盾してる感じを残して良きでした。

140文字の読書感想文

〈講評〉
恋愛リアリティ番組《デートピア》。読者は〈視聴者〉の観点で、物語を読み進めていきます。一人称、二人称、三人称を使って、「他者によって編集される他者」を巧みに描いていたと思います。他者から勝手に押し付けられる“その人のアイデンティティ”。その暴力性と社会の仕方なさみたいなものを感じさせられました。内包するテーマが豊富で、それが飽和してしまっていないかが争点になりそう。ホセ作品の中で一番好きです。


② ゲーテはすべてを言った / 鈴木結生

“ゲーテはすべてを言った”のか?紅茶の袋に書かれたゲーテの名言の出典を求めて、言葉の探求と思索が始まる。一見高尚な物語が、後半一気に身近になる展開に鳥肌。届くか分からないという点で、言葉は祈りに似ている。意味が身体に溶けたなら、それはきっと善い言葉。

140文字の読書感想文

〈講評〉
ゲーテの研究者である主人公が出典不明のゲーテの名言を求めて、言葉を巡っていく物語。数多くの哲学書、文芸書が参考文献に用いられており、それをひとつの物語にまとめた著者の筆力は圧巻。一見高尚な物語は、後半につれて訂正可能性、意味、捏造に及んでいきます。テーマが一気に身近になる構成がとても素晴らしかったです。ページ数が277枚と最も多く、それが冗長と捉えられるか、必要十分と捉えられるかが気になります。候補作の中で最も賛否両論のある作品です


③ ダンス / 竹中優子

入社3年目になっても会社に馴染めない“私”と、同僚に彼を奪われても馴染もうとする下村さん。社会や誰かと協調したダンスも大事かもだけど、2人がそれぞれのペースとステップで、自分のダンスを踊れていたら嬉しい。読解できる行間が広くて深そうな小説。すこし短歌みがある気がする。

140文字の読書感想文

〈講評〉
3年目になっても会社に馴染めない“私”と、彼を同僚に取られても馴染もうとする下村さんの物語。社会ってダンスのようなものですよね。自分のしたいこと、自分の感情を押し殺して、社会に暗黙に要請されて踊るダンス。物語は十数年に及ぶのですが、2人が自由になっていく様が感動的。コンテンポラリーのように、時には自分の感情のままに、自由に踊りたい。そんな気持ちにさせてくれます。詩も短歌も小説も賞を受賞している竹中さん。芥川賞まで獲ったら、スーパー文芸人です。


④ 字滑り / 永方佑樹

音や感覚、状態から生まれた「言葉」達は、温度を失い、平板上に羅列され、利用される“記号”と化した。ひらがなに開いたり、漢字に閉じられたりする“字滑り”現象。言葉に頼れずに伝えようとする時、言葉と身体感覚、両方の在り方を問い直していく。試すようにルビのない構成も良き‼︎

140文字の読書感想文

文字が滑っていく『字滑り』現象を通して、言葉と身体感覚の両方の在り方を問い直していく作品。私達が生まれた頃から存在する「言葉」や「文字」。言葉を身につけるとき、感覚から言葉を生んだのか? やもすると、私達は「言葉」の方に感覚が吸い寄せられて、「言葉」の意味の中に感覚の方が閉じ込められていたのかも、と思わされます。終盤に不気味で不思議な印象を残す本作。物語が霧散してしまっていないかが議論になりそう(ただそれが狙いのような気もします)。あと、単行本にしてね?


⑤ 二十四五 / 乗代雄介

叔母の死と喪失に向き合う二十四、五の“私”の物語。死は、関係の終わりではなく、その人を固定しない。喪失した人との関係を固定しているのは、実は自分。生者との関わりの中で、“喪失”の形は思いがけず変わっていく。その過程が緩やかで温かい。やっぱり乗代さん良い!前作も読も‼︎

140文字の読書感想文

〈講評〉
さりげなくエモい物語を書かせたらNo.1だと思っている乗代さん。今回も、とっても良きでした。叔母の喪失と向き合う主人公の物語。作中、特別な起伏はないのに、読後にじんわりとしたものを心に残していきます。前回の『それは誠』で指摘されていた“作為”も、今回はあまりなかったのでは? と感じました。問題は、この物語が『十七八より』からの続編というところで、この作品だけでは、主人公の叔母に対する感情を十分には理解できない点でしょうか。


(受賞予想)

私の受賞予想はこちら!

DTOPIA(◯)
ゲーテはすべてを言った(◯)
ダンス(△)
字滑り(◯)
二十四五(◯)

本命…二十四五
次点…ゲーテはすべてを言った
大穴…字滑り

です!!

ほとんど◯やん😂笑

「言葉」に興味があるから、それ関連の純文学はどうしても惹かれてしまう……今回全部面白すぎるし、甲乙つけ難すぎる…もう無理矢理予想するならこれ!半分以上私情も入ってます!笑

希望は二十四五とゲーテの同時受賞!
乗代さん、もういい加減獲ってくれ!
と、思っているけど、下馬評ではDTOPIA強し…!
確かにDTOPIAもめちゃくちゃ良かった…!

『字滑り』が獲ったら、みんなで読書会したい〜!『字滑り』面白いよ〜!

選評会と発表は1/15(水)!
楽しみましょう〜!(いつも誘うけど、173回誰か一緒に予想しましょう〜🤤🤤)

それでは!


★過去の予想

171回

一つは当たり! バリ山行もよかった!
普通に東京都同情塔が強かった
やっぱりハンチバックになりますよね

#芥川賞 #172回芥川賞#172回芥川賞受賞予想

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