間違いだらけの顧客中心主義(12)〜「新規顧客獲得は独立したチームで行うべきか? 後半」
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皆さんこんにちは。通販エキスパート協会事務局です。
当協会は文字通り「通販のエキスパート」を目指す方々に向けた資格「通販エキスパート検定」を実施しています。
前回は「新規顧客獲得は独立したチームで行うべきか?」というテーマの前半として、部分最適が起きている可能性についてお話しました。今回の後半のお話は、独立したチームとしてのPDCAサイクルの速さを全体最適に繋げる方法について考えてみたいと思います。
今回のお話の結論から簡単に言えば「事業戦略」と「顧客戦略」に基づく新規顧客獲得の方針を前提に活動すれば、部分最適に陥るのは相当防げるのではないか、と考えます。
ただし、この新顧客獲得チームは「チャネル毎に分割されていない」のが条件です。
では、順を追って説明して行きましょう。まず「事業戦略」と「顧客戦略」に基づく新規顧客獲得の方針についてですが、例えば事業戦略、具体的には中期3カ年経営計画などで、
1)売上高◯◯億円、営業利益◯億円
2)メインブランドである◯◯のリニューアル
3)健康食品事業への参入
などが決定されたとします。
これに基づき、顧客戦略としては顧客を
1)従来収益を支えてきた最大規模の顧客セグメントA
2)近年顧客セグメントAに迫る規模に成長を遂げている顧客セグメントB
3)高収益だが、すでに売上規模が縮小しつつあるセグメントC
4)健康食品事業参入で新たな収益源として期待する新顧客セグメントD
という4つの顧客セグメントに分けたとします。
そうしたら、この4つのセグメントそれぞれについて、
1)事業計画を達成するために各セグメントの優先順位を決め、売上目標と利益目標を割振ります。
2)さらにそれぞれのセグメントごとに新規顧客と既存顧客へのマーケティング投資計画を立てます。
3)そしてそれらをコミュニケーションシナリオへ落とし、カスタマージャーニーとして可視化します。
この時、新規顧客獲得チームは顧客セグメントA〜Dまでのそれぞれの新規顧客投資計画(シンプルに言えば、獲得顧客数と獲得コスト)に則り、それぞれのセグメント特性と合致する顧客ターゲティングを行い、PDCAを回しながら活動を行います。
さきほど、「ただし、この新顧客獲得チームは『チャネル毎に分割されていない』のが条件です。」と書いたのは、顧客セグメントを行う際の重要な変数の一つが「チャネル選好(使い分けの好み)」だからです。
例えば、
顧客セグメントA:カタログ通販をメインにオンライン通販を併用する
顧客セグメントB:オンライン通販をメインに近隣の店舗も併用する
顧客セグメントC:ほぼカタログ通販のみを利用する
顧客セグメントD:ほぼオンライン通販のみを利用する
といった場合、チームはチャネル横断型である必要が有ります。
オムニチャネルやO2Oが前提となりつつある昨今、チャネル単位の組織は統合される動きが加速しています。代わりに、顧客セグメンテーションの方針策定と投資の優先順決めを行う統括責任者(CCO:Chief Customer Officer)や各セグメントの特性にあったカスタマージャーニー設計や実行を行う組織が求められています。
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