間違いだらけの顧客中心主義(8)〜顧客ポートフォリオを考える
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皆さんこんにちは。通販エキスパート協会事務局です。
当協会は文字通り「通販のエキスパート」を目指す方々に向けた資格「通販エキスパート検定」を実施しています。
前回投稿で、「顧客セグメンテーション変数」についてお話をしました。顧客中心主義においては、購買行動特性に収益性を加味した顧客セグメンテーションを行うのが定石ですが、それは顧客ポートフォリオという発想から来ています。
皆さんはポートフォリオと聞いたときに何を思い浮かべますか?デザイナーやフォトグラファーの方々は「実績をアピールするための作品集」でしょうし、資産運用をしている方々にとっては「分散投資の割合を表した資産の組合わせ表」だと思います。
ここで言っている顧客ポートフォリオとは、「分散投資の割合を表した資産の組合わせ表」の意味で使っています。例えば、自社顧客を購買行動特性の違う4つのセグメントに分類したとします。そのとき、各セグメントが全社利益に対してどのくらいの割合を占めているかを円グラフにすると下図のようなものが出来ます。(数値はダミー)
このようにセグメント別の利益貢献の現状を可視化すると、例えば自社の成長を長年支えていてくれたのはSegment Aだが、利益成長の観点からすると頭打ちなので、これからは成長余力のありそうなSegment Bに注力したほうが良いのではないか?といった議論が可能になります。
そして仮に次の3カ年計画で利益目標を達成するためには、以下のような収益構造を目指そう、という方針になったとします。
この新しく設定した顧客セグメント別利益シェアを実現するには、各セグメント内にいる顧客にどのような価値提供、体験設計をすれば良いのかを考え、実行するというのが基本的な流れです。
つまり、製品中心主義の下でブランドや商品ジャンルで収益目標を構造化するのと同じように、顧客セグメントでも収益目標を構造化し、それを実現するための施策を考える、というのが顧客中心の考え方です。
ここまでの内容で、皆さんは顧客中心主義の実践においては、「収益管理の対象となる顧客セグメントのやり方とセグメント間の投資(マーケティング予算)の優先順位決め」が肝だなとお感じになったと思います。この部分を顧客中心主義では「顧客戦略」と呼びます。顧客中心主義あるいはカスタマー・セントリシティについて論じる時に、決して避けて通れないキーワードです。
次回はこの「顧客戦略」についてお話します。
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