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「通販CX」のマネジメントスキルの高め方

当協会は文字通り「通販のエキスパート」を目指す方々に向けた資格「通販エキスパート検定」を実施しています。

今回は通販/D2CにおけるCX(顧客体験)をマネジメントするスキルの高め方について、当協会で実施している検定試験通販CXマネジメントとも関連付けながらお話したいと思います。

1.CX進化を加速させる3つのD
見出し画像で、通販CXを「Digital」「Direct」「Data」の3つの領域に分けて表現していますが、通販CXマネジメントを考える際に、まずこの3つの「D」に着目する必要が有ります。昨今キーワードとしてすっかり定着した感のあるD2CはDiect to Consumerの略で、消費者に対しダイレクトにマーケティング活動=体験提供を行うビジネスモデルです。その意味では、従来の通販もD2Cと言えるでしょう。

しかし、D2Cが従来の通販とは独立したキーワードで語られることも多いのは、「D2C=デジタルネイティブな起業形態」として、当初は取り上げられていた、という背景が有ります。ここでいうデジタルネイティブとは、スマホをキーデバイスとして、オンラインショップ始めアプリ、SNSなどの活用はもちろん、センサーやAIなどデジタル技術を活用した新たな顧客体験の提供、という文脈で用いられています。

さらに、ダイレクトかつデジタルでコミュニケーションをとるということは、顧客に関するより多くのデータが収集できることを意味します。購買前後の閲覧履歴なども含めた購買行動データ、問い合わせフォームやSNSなどに書き込まれるテキストデータ、アプリやセンサー経由で取得する顧客個々の詳細情報など。それらのデータをもとに個々の顧客ごとに体験設計を最適化する取組みが各社で行われ始めています。

2.通販CXマネジメントの5つの柱
こうした、3つのDで進化する通販CXですが、下記にどのような進化の視点があるか整理しました。
1.データドリブンな意思決定プロセス
2.体験設計の前提としての顧客ポートフォリオ管理
3.施策の投資対効果に対する説明責任
4.施策の精度とスピードを向上させるためのシステム投資
5.人財の確保と育成
これを見て、DXの議論と似ていると感じた方も多いと思います。まさにこれは通販版DXの取組みと言えます。

詳しくは、検定試験教材も是非ご覧になって頂きたいのですが、簡単にこの5つの通販CXマネジメントの柱について説明します。

1つ目は顧客のLTVを実際に測定し、セグメントごとの平均や総合計の増減を見ながら意思決定を行うというアプローチです。マネジメントにおいて「測定できないものは管理できない」という有名な格言が有ります。通販で最も測定、管理すべき対象は顧客のLTV(及びその総合計である顧客資産価値)です。LTVという言葉をよく使う一方で、顧客のLTVを測定していない会社は多くあります。

2つ目は、先程のLTVと関連して「顧客のポートフォリオ」を作成するアプローチです。ポートフォリオとはもともと金融用語で、投資する資産の組み合わせを指します。資産全体を金に何%、株に何%、債券に何%、土地に何%に分散して投資する、といった考え方です。これを顧客に当てはめると、LTVの違いや購買行動などの特性の違いに応じていくつかのセグメントに分け、それぞれにどのような投資を行い、中長期的にはその構成をどう変化させていくか、ということになります。

3つ目はこのポートフォリオごとの方針に基づいた体験設計を行い、実行をしたら、それらの施策が各セグメントのLTVをどう変化させたのかを明確にします。実は、この投資対効果の説明責任を、3つのDが揃っていない企業では明快に果たすことが出来ません。顧客を特定し(Direct)、差別化された体験設計を行い(Digital)、その対象顧客からの反応を測定する(Data)ことで真のPDCAサイクルが回せます。

4つ目はここまで述べてきたようなアプローチをより効果的、効率的に行うためのシステム投資です。3つのDを背景とした通販CX進化の特徴は大量のテストを高速に実行し、最適化を図る点にあります。しかし、これらのシステム投資は多くの予算が必要であり、通販企業側に明確な方針と導入後の教育プランが無ければ、宝の持ち腐れとなります。

5つ目は、システム面への投資とともに必要な、人財面でのアプローチです。近年、顧客の体験=CXとともに従業員の体験=EXが重要視されています。従業員体験が悪い会社で、良質な顧客体験を継続的に提供できるかと言えばそれは疑問です。しかし、この視点が欠けている会社が多いのも現実です。

以上、通販CX進化のマネジメントスキルを向上させていく上で、どのような視点、アプローチが必要かお話して来ました。ご参考になれば幸いです。

また、よろしければ検定試験「通販CXマネジメント」の受験もご検討下さい。今回の内容の詳細を教材で解説しています。更にここでは触れなかった、通販CX進化の取組みを実践するにあたり、ベンダー各社が提供しているデジタルソリューションをどう活用するかについてまとめた「通販CX進化に向けた課題別デジタル技術活⽤」についても、検定試験教材で解説しています。



*お問合せ先:通販エキスパート協会事務局
TEL:03-6228-6486(平日 10:00~18:00)
Email:info@mail.tsuhan-exa.org


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