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クリエイティブな世界にいる人と自然光
「自分で「始めた」女たち(グレース・ボニー【著】) 」という本を読みました。
この本では、自分で会社を始めた112人の女性クリエイターたち(19〜94歳)が下記のような質問に答えています。
質問例:
・駆け出しのころ役立った(または無視して正解だった)アドバイスは?
・自信をなくしたり逆境に陥ったときの立ち直り法は?
・自分らしく好きなことをしようと奮い立たせてくれる座右の銘は?
・ミスから学んで成功につながったことはある?
・1日のよいスタートを切るために、朝いちばんにすることは?
・クリエイティブ系のビジネスを始める人に勧めたい備えは?
・ビジネスのアイデアや自分がやりたいことに気づいたのは、いつ、どこで?
・10〜20年前の自分に教えてあげたいことは?
・世の中にもっとあってほしいものは?減ってほしいものは?
・インスピレーションが必要なときや、スランプから脱出したいときの特効薬は?
・1日があと3時間増えたら何をする?
質問は全部で25種類以上ありました。全員がすべての質問に答えているわけではないですが、読み応えがあります。イラストレーターさんのイラストをまじえた答えは見ていてほっこりしました。
わたしが今回注目したのは、この質問です。
・仕事場のお気に入りポイントは?
この質問に対して、「自然光」と答えている人が多いことに気がつきました。
1. エリーズ・コナック&アナ・ヒエロニマス(シェフ、レストランオーナー)
自然光が入るところ。たいていのレストランの調理場には自然光がまったく入らないから。
2. ハナ・ゲタッチュー(テキスタイルデザイナー)
なんといっても自然光ね。(中略)私がビジネスを始めたのと同時に引っ越しを決めて、今のアパートメントを最初に内見した。私の本拠地はここ、って直感したわ。アトリエは南向きで、家のいちばん明るい部屋。ふんだんにあふれる光が仕事場に生命を吹き込んでくれるの。働きやすくて創造性が素直にあふれてくるの。インテリアデザイナーとして仕事場のデザインをしてきたから、自然光が生産性と健康と幸福感にどれほど大切かはよくわかってる。
3. アミーナ・ムッチオーロ(アーティスト、デザイナー)
すばらしい自然光。すべての窓を全開にすると、空に浮かんでる気分になる。夢のようよ。
4. キャロリーナ・イベイド(詩人・編集者)
この数年は引っ越しが多かったけれど、どの家でも運よく書斎スペースには窓があった。窓と、そこから入る自然光がずっと私のお気に入りよ。
5. カーラ・ホール(シェフ、テレビ番組司会者)
(中略)小さな部屋だけど窓が3つあって、午前中も午後も光が入ってくる。(中略)
6. デミー・ミルマン(作家、アーティスト、教育者、ラジオ司会者)
(中略)光の入り方もすばらしいし、愛している大切なものたちをたくさん、こんな身近に置けるのもうれしい。なんだか奇跡みたいに感じるの。
7. ジェニー・ジウン・リー(陶芸家)
プライバシーと自然光。でもドアを開ければ、木や金属を素材にしている友人のアーティストたちに会いにいける。
8. アリエル・アラスコ(木工作家)
なんといっても窓。最近、二面に窓がある角部屋のアトリエをついに見つけて引っ越した。隙間風の入る大きな、古びた網入りガラスの窓だけど。美しい光が部屋の隅々まで差して、一日中明るいの。
また、これがなくてはやっていけない道具やモノや儀式はある?という問いに対して答えている方もいました。
9. リン・アレン(フォトグラファー、アーティスト、作家)
自然の光。
かつてすごく窓が大きくて、自然光がふんだんに入ってくる部屋に住んだことがあります。それから、わたしも引越しをする際はいちばん日当たりを気にするようになりました。
なぜ自然光に惹かれるのでしょうか。ちょっと考えてみました。
1. せっかくの昼間に電気を点けてしまうのがもったいないと思ってしまう。
2. 蛍光灯の光で頭が痛くなってしまうことがある。
3. 光が入ってくる窓をみてぼーっとできる。
わたしはこの3番目の理由が創造力に大切なのではないかと考えています。
以前、翻訳家である西崎憲さんと金原瑞人さんのトークショーで、起きたてや入眠時にアイディアがでるからあえてボーッとする、というようなことを、お二人のどちらかがおっしゃっていました。人体は太陽光を浴びて朝だと認識し、目覚めていきます。同時に、人にただ見つめさせる(ボーッとさせる)、という特徴が太陽の光にはあると感じました。実際、朝日や夕日を見に行く人は多いと思います。あれは端的に言ってしまえば太陽(光)を見に行っているのです。
また、自分の内で広がっていくクリエイティブな世界と、外の現実の世界を繋げてくれるのが自然光なのではないでしょうか。
【結論】
自然光によって目覚め、ボーッとし、内と外の世界のバランスを保つことで、クリエイティブな生活の質があがるのでは?
クリエイターの方の様々なライフスタイルや考え方を垣間見ることができるオススメの一冊です。