
映画『サブスタンス』を観て思ったこと
2025/1/28
今日もバイト。
結構忙しくてヘトヘト。
友達に会ってから、火曜日は映画が安いってことで、ひとりで映画館へ。
見たのは『The Substance』。
話題の映画やで。
もぎりのおじさんに、「これ今いっちゃんおもろい映画やで、楽しんでな」と言われた。
ワクワク。
まず、これはグロいの苦手な人はちょっと注意やね。
私は結構目を瞑ってしまった。
ルッキズムの闇という感じで、見てるのきつい、悲しい〜。
かつてのスター女優が若い頃の理想の自分を取り戻そうと怪しい薬に手を出す。
その薬にはいくつかのルールがあって…
というストーリーなんやけど、主人公と彼女を演じるデミ・ムーアをどうしても重ねて見てしまうように出来ている。
『ゴースト/ニューヨークの幻』をみんな観たやん。
かわいいかわいいデミ・ムーアをみんなもてはやしたやん。
そして今はどうだろう。
かわいい、若い、かつ実力があるスターはどんどん現れて。
自分のことを棚に上げて、みんな「あーこの人歳とったなー昔はかわいかったのに」とか言うわけやん。
昔と変わってなかったら変わってなかったで「若作りしちゃって」って言われたり。
35年前の自分と比べられるんやで。
メディアに出てる人は、何万人から言われるわけやん。
実際仕事も減るわけやん。
今も昔もそれがずーーーーっと繰り返されてるわけやん!
ハリウッドは歳を重ねた女優に冷たいだろうし、この映画でも主人公は仕事を失ってしまう。
実際歳を重ねた女性が主人公の映画ってめっちゃ少ないと思う。
そしてそもそもそういう映画を観たい!というお客さんも少ないんやと思う。
悲しいことに。
この映画でもプロデューサー的な立場が上の人たち、みんな歳とった男性で。
「若くてかわいい子連れてこい!」みたいなこと言ってた。
この映画は「そんな風に容姿でジャッジされ続ける女性たち、そろそろ本気で怒ってええで!」と叫んでるんちゃうかな。
こんな怪しい薬に手を出すなんて…そこまで必死に外見や若さしがみつくなんて…と言う権利は私たちにはないんよな。
現実的にこの薬に近いのは例えば美容整形かなと思うけど、その他にもいろんなコスメを使って、パックして、ジム行って、髪を整えて、脱毛して、ホワイトニングして、とかそういうことは性別に関わらずやってるやん。
みんなから愛されたくて、自分で自分を少しでも愛したくて。
ずっと今のままでいたい、今より綺麗でいたいって無意識に思ってるし、知らぬ間に容姿をジャッジされる側に立つプレッシャーと戦ってるんちゃうかな。特に女性。
劇場では「オーマイガー」とか「オーシット!」とかみんなそれぞれかなり大きなリアクションをしていて、笑いが起こるところもあって盛り上がっていた。
でもケラケラ笑ってるそこのにいちゃん達、あんた達どっちかというとそのプロデューサーやかわいい子に媚びる隣人男側やで、自覚ある?私は笑えへんで?泣きそうやで?と思ったり。
もちろん私も時にそうやって誰かを自分のエンタメのために消費して生きてる側なんやけど。さ。
結局誰もが誰かを勝手に自分の物差しで測ったり、値踏みしたりして。
特に女性は生きてるだけでミスコンに出てるようなもんやという話もあるやんな。
勝手に比べられて優劣つけられて、心ない言葉をぶつけられて疲れますわな。
いわんや女優をや、である。
若いって本当に綺麗やし、尊いと思う。
マーガレット・クアリーのピチピチぷりぷりのお尻を何度も見せつけられて、うひょーとなったし。
でもそこにしか価値を見出せないのはさみし過ぎる。
みんな一度は若かったし、いつか絶対歳をとる。
そしてそこからの人生の方がなんだかんだ長いから。
それが分かってるから、理想バージョンの彼女も苦しむんよな。
年齢重ねてシミ皺が増えました、体型が変わりました、なんて生き物として当たり前のことがどうしても受け入れがたいのは、個人の問題ではなくて、社会の問題。
年齢を重ねると損をする世の中じゃあかんよな。
その意識、そろそろ変えていく時じゃありませんか。
映画の中でもせっかく手に入れた理想の自分は、結局おっさん達に搾取されるだけ。
使い古したら、きっとまた新しい子を探すだけ。
シンデレラの魔法はいつかとけてしまう。
物じゃないのに、生きてる人間なのに。
悲しいね。
最後の最後はモンスターパニック映画に大変身。
大暴れやしエレファントマンを彷彿とさせるような最後の姿…
ああ、ほんと悲しいわ。
何度も化粧を直すあのシーン、切なかった。
そのまんま、自分を愛せたら。
誰からも比べられず、自分を誰かと比べずに、そのまんまで生きていけたら。
そして、そのまんまの他者を受け入れ、愛せたら。
ルッキズムやエイジズムに振り回されずに生きていけたら。
と、そんなことを思いつつ、私は今日もせっせと化粧水とクリームを塗ってトロントの乾燥した空気にさらされた肌を労るのである。
これってなんのため?矛盾してる?
まあみんなで考えていきましょうよ。
いろんな映画のオマージュが詰まってたので、それも面白かった。
ちょっとおさらいしてから、日本で字幕付きでもう一回見なくっちゃ。
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