【映像の世紀】毛沢東 革命と独裁
なかなかおもしろかった。
海外のバックアップを受けた蒋介石らに追われ、長征、農地開拓。
日中戦争で、国民党と共に闘った共産党。
戦後、両者で袂を分かつと、地主という敵を作り上げて農民を連帯させ、国民党を打ち破り無血開城。
百家争鳴から、独裁体制へのあゆみを始め、大躍進から文化大革命まで、一気にまとめて見せてくれる。
その毛沢東の秘書の手記をめぐって、今アメリカで裁判が行われている模様。
毛沢東が、本の読み過ぎかなんか分からないが、すべて計画できると考え、革命によって共産主義を達成せねばならぬと信じ切ったために、大躍進政策で(いろんな説があるみたいだが)本映像では、4,500万人の餓死者が出たとしている。
中国国内では悲惨なできごとだったはずだが、おそらく中国で毛沢東が破れて国民党が政治をしていたら、日本の高度成長は実現しなかったかもしれないと映像を見ていると思える。
これだけの労働人口が、戦後一気に資本主義的な生活や工業化を目指して低賃金で働いていたなら、おそらく日本の経済復興と熾烈な争いになっただろう。
最後の映像。習近平体制になって憲法改正し、2期10年という国家主席の制限を撤廃した。そして、毛沢東思想、語録を使った個人崇拝の復権を進めている。
戦後の日本は、地政学的には反共の最前線として、対中、対ロシアの防波堤として発展してきた部分がある。ゆえに、近年の米中の緊張が今後どんな展開になるか不透明だが、東アジアのパワーバランスで、今後の展開が大きく変わりそうな局面を迎えるかもしれない。