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気分が乗らない時、それは炎症のせいかもしれない。そしてその炎症は、あなたが太っているせいかもしれない。

歯が痛い時、誰にも会いたくない

面白い本だった。なぜこの本を手に取ったかというと、新型コロナウイルスでの死因のひとつが免疫の暴走による炎症の拡大にあるということが分かっており、炎症に興味を持ったから。

でもこの本のオリジナルの英語版は2018年に刊行されているので、新型コロナウイルスのことはもちろん全く書かれていない。でもめちゃめちゃ示唆だらけだから、ビジネスパーソンの皆さんにはぜひ読んで欲しい。というのも、うつになる理由として太ることが挙げられているからだ。

「うつ」っていうとちょっと目を背けたくなる話かもしれないけど、誰でも気が滅入ることってあると思う。でも、もしそんなブルーな気持ちが体のどこかの炎症が原因で起きているのだとしたら?虫歯がズキズキ痛んだ時って何もかもやる気が無くなったりしないだろうか?歯医者に行って虫歯の治療をして帰ってきたらしばらく誰にも会いたくなかったりしないだろうか?

実はそれは歯の(根っこの)炎症が原因で、菌やウイルスなどの異物から体を守るガードマンであるマクロファージが伝令役として血液中に放出したサイトカインが脳の関門を通過して脳内にあるマクロファージ、ミクログリアを刺激し、それが脳内で暴れることで脳内の神経細胞にも傷がつく。これが気分が滅入る原因なのだ。

太ると脂肪細胞で炎症が起こる

最近の研究では心臓病は動脈に詰まったコレステロールそのものではなく、そのコレステロールが起こす炎症反応で血管が詰まるということが分かってきていて、心臓病になった人の50%が抑うつ状態(うつではないが気分が滅入る状態)になるという。それもこの炎症が原因と思われる。

いやいや、別に怪我もしてないし炎症なんてないし、関係ないよと思う人が多いかもしれないが、実は現代人の多くが体に炎症を抱えている。それは太ることが原因だ。脂肪を蓄える細胞を脂肪細胞というが、その脂肪細胞の組織の60%はなんとマクロファージなのだ。肥満が進行すると、サイトカイン(炎症性アディポサイトカイン)が分泌され、脂肪細胞で炎症が起こる。つまり太る=炎症発生なのだ。もしかしたら、最近気分が乗らないんだよなー、仕事が楽しくないんだよなーなんていう方、最近太り始めてませんか?もしかしたらその肥満の進行、つまり炎症の増大がその気分の原因かもしれません。

肥満とコロナ死の関係

そしてコロナによる死因のひとつが、サイトカインの暴走「サイトカインストーム」だということも分かってきている。ということは、太ってるってことは元々炎症体質なので、仮にそこに異物であるコロナウイルスが入ってくると、さらにサイトカインが放出され、サイトカインストームに繋がる可能性が高くなるんじゃないかという仮説が成り立つ。

実際いくつかのデータを見てもやはり肥満者の重症化率は高い。だからきっとこの仮説はあながち間違ってないように思う。だからやっぱり痩せた方がいい。

この記事にある通り、オクスフォード大学の調査によれば、ボディマス指数が40以上のコロナ死亡率は標準の2.27倍という結果が出ている。

ボディマス指数(体重を身長の2乗で割った指数)
低体重(18.5以下)
標準(18.5~24.9)
過体重(25.0~29.9)
肥満(30~34.9)
高度肥満(35以上)

肥満の話は別にして、この炎症とコロナの話を裏返すと、今開発が進んでいるサイトカインストームを抑える薬は、もしかしたらうつの治療薬としても使えるんじゃないか?そうなるといいな。コロナにもせめてこの世にもたらした何かプラスなことがあって欲しい。

ここにはコロナとの関連で書評を書いたけど、他にもデカルトの二元論の話(これは面白い)など、心と体をどのように医学会が扱ってきたかについて辛辣な分析がまとめられている。まず痩せたいと思ってる人は読んで欲しい!必ず痩せる気になるはず。



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