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sumisumi1102
アルゼンチン経済、不確実性は引き続き高水準で推移の見通し
ハイパーインフレと財政的問題に苦しめられてきたアルゼンチンは新しい大統領に、「アルゼンチンのトランプ」とも呼ばれる独立派で右派ポピュリストのミレイを選出したが、これが何をもたらすのだろうか?
ミレイは選挙期間に規制緩和、歳出削減、年金制度民営化、関税撤廃などを訴えてきた。たしかにこれらの政策は混乱するアルゼンチン経済にとってある種の起爆剤になるかもしれない。
厄介なのはアルゼンチンペソの廃止と米ドルの導入である。これは金融政策の自律性を廃止することで極端なインフレを回避する狙いがあるのだろう。たしかにそれは間違いないし、外国からの投資を引き付けるのにもある程度貢献する可能性が高い。
しかしながら、通貨政策の変更がポジティブな変化をもたらすと考えることも難しい現状がある。アルゼンチンは多くの教育水準の高い国民を抱えているが、生産性の高い製造業やハイテク産業が育っていない問題を抱えている。結局のところアルゼンチンには輸出するものがないという問題を抱えている以上、それらの問題を改善する必要がありそうだ。
一方でアルゼンチン国民は堅実な選択をしたとは言える。それは議会選挙において多くの有権者がミレイ率いる有害な政党ではなく、中道派の政党に投票したことだ。
この先アルゼンチンが再び経済成長を遂げるためにはアルゼンチン国民の出稼ぎを奨励するのが手っ取り早いかもしれない。一方で国内に外国企業が投資し易い環境を整備する必要もある。ミレイのドル化政策や規制緩和はそれを実現するために有効かもしれないが、皮肉なことにそれらの政策を訴える彼と彼が率いる政党自体がアルゼンチン経済の将来性を極めて不確実なものにしているだろう。