魚を釣ってあげる人・魚の釣り方を教えてあげる人
マネジメントのシーンでよくある例え話である。マネージャーであるあなたは、「魚を釣ってあげるタイプ」それとも「魚の釣り方を教えてあげるタイプ」どちらですか?マネージャーの役割を、チームの目標達成と定義した場合、達成の仕方はマネージャー個々人に委ねられるわけである。
会社・組織には評価制度が存在する。その評価制度に則り、役職・給与が決定する。マネージャーの評価制度次第では、どちらのマネージャータイプを評価するかまでをコントロール出来ているケースもあるが、具体長文になるので今回は割愛するものとする。
ここでは、「魚を釣ってあげるタイプ=代わりに自分が脳手足を動かし実行するタイプ」、「魚の釣り方を教えてあげるタイプ=手法を教えてあげて、あくまで手足を動かすのはメンバーに委ねる」と分けてみる。
前者は短期大きく評価され、価値が生まれる。プロセスはどうであれ結果は大きく評価される。また目標達成しているあるいは結果が出ているチームは、基本雰囲気が良いため、良い感じの空気感が流れがちである。一方で、属人的である最大のリスクは個人にチームパフォーマンスが依存してあるという点だ。つまり、この人が倒れたら終わり。魚を釣ってあげる人は魚を連れなくなったら、当然周りの人間は普段、魚を釣ってもらっているわけなので、自分で魚を釣ることができない。つまり、餓死、死ぬということである。
一方で後者は、非属人的なプロセスだ。ひとり(ここでいうマネージャー)が倒れて魚が釣れなかったとしても、個々人も魚を釣ることが出来る、つまり死なないのだ。ひとりが倒れても死なない。チームパフォーマンスにおいて、バランスが取れておりリスクヘッジ出来ている状態である。
しかしながら残念なことに、前者よりも後者の方が100倍難しい。個々人のパフォーマンスを最大化し、チームを目標達成に導くことが出来る、これこそが美しいマネージャーとしての在り方だ。
※ここではマネージャーと表現しているが、メンバーを率いるリーダーも該当します。
マネージャー・リーダー、役職者に今求められているのは「任せる技術」である。全部を自分でやってしまうのもダメであれば、全部を丸投げして押し付けてしまうのもよくない。つまり状況に合わせたバランスが必要なのだ。
飛信隊の将軍李信が戦略を描きたいと言い続けていたら、今頃戦死しているに違いない。大王嬴政が剣士として修行をしていたら、今頃呂不韋に玉座を奪取されているに違いない。
人を率いていくには「任せる技術」が必要だ。そしてその技術の会得にはたくさんの失敗を伴うだろう。個々人のタイプに合わせてコミュニケーションを変えていかなければならないだろう。人を理解し、信じ、時に裏切られたと感じる時もあるだろう。しかしその過程の中で人は成長していくんです。そのプロセスを耐えた者にのみ、人を率いる資格が与えられる。ひとりでは成し遂げられない目標を成し遂げるために、魚の釣り方を教えてあげられる側になろう。