スキルの前に必要なもの〜人材育成の核心は"内なるエンジン"を育てること〜
仕事への情熱を失った日本
13年前、私は毎日重たい足取りでオフィスに向かっていました。「この先もずっとこんな日々が続くのか」という思いに押しつぶされそうでした。
実は、これは私だけの話じゃないんです。最近、ある大手企業の40代管理職の方とお話する機会がありました。その方が言うには、「早く引退できるといいんだけれど、実際は無理だよなぁ...」と。
この言葉に、私は愕然としました。きっと入社するのは大変だっただろうし、実際ものすごく優秀な方のはず。それなのに、まるで自分はもう諦めている、自分は手遅れみたいな語り口。
これが日本の現状なんです。実際、日本の情熱的な社員はわずか5%だそうです。年齢を重ねるほどに仕事への情熱が失われていく。この現実は、私たちの社会にとって大きな損失ではないでしょうか。
"内なるエンジン"の定義
でも、なぜこんなことになってしまうんでしょうか?
それは、多くの人が"内なるエンジン"を失っているからです。
"内なるエンジン"って何よ?って思いますよね。簡単に言うと、"やりたい!"という気持ちです。でも、ただの一時的なやる気じゃありません。
自分の軸があって、かつ世界を広く見渡せる視野。この二つが合わさると、なんとも言えない推進力が生まれるんです。これが"内なるエンジン"なんです。
このエンジンがあれば、人は勝手に動き出す。勝手に学ぶ。そう、まさに全ての始まりなんです。
エンジンが欠けている原因
じゃあ、なぜ日本人にはこのエンジンが欠けているんでしょうか?
その背景には、従来の日本の企業文化や教育があります。「指示待ち」や「受け身」の姿勢が助長されてきたんです。
学校では正解を覚えることが重視され、会社では上司の指示に従うことが美徳とされてきました。こんな環境では、自分で考え、主体的に行動するエンジンが育ちにくいんです。
もちろん、最近はだいぶ変わってきています。「主体性」や「創造性」を重視する学校や企業も増えてきました。でも、長年培われてきた文化はそう簡単には変わりません。まだまだ課題は山積みなんです。
エンジンを育てる方法
「わかった!でも、どうやってエンジンを育てればいいの?」って思いますよね。
実はシンプルなんです。多様な経験を積むこと。これに尽きます。
例えば、私の場合はある偶然の経験が人生を変えました。ベンチャー企業を訪れた時のことです。そこで目にしたのは、生き生きと働く人々の姿。仕事を楽しみ、アイデアを出し合い、時に笑い声さえ上がる。「こんな働き方があるのか」と、目を疑いました。
この経験から、私は大きな気づきを得ました。仕事って本当は楽しいものなんだ、ワクワクするものなんだ、そして刺激的なものなんだと。それまでの私の「仕事観」が、一瞬にして覆されたのです。
なぜ経験が軸をつくるのか?それは、経験すると感情が生まれるからです。毎日同じことを繰り返していたら得られない揺らぎ。この揺らぎがあることで自分の価値観が初めて理解できるんです。
また、視野を広げることも重要です。視野を広げると、今までやりたいとも思わなかったもの、知らなかったものに出会います。そこでエンジンに火がつくんです。
さらに、実際にやってみることで、できる、出来ない感も芽生える。絵空事が急にリアルになる。繋がりも増え、支援者もでてくる。要は「できるかも!」という気持ちが出てくるんです。
この二つの作用によって心のエンジンが生まれる。すると、誰に何を言われることなく、仕事に対して主体性が生まれるんです。
組織でのエンジン育成
「個人ならわかるけど、組織としてどうすればいいの?」
これ、よく聞かれる質問です。答えはシンプル。多様な経験のチャンスを作ること。
従来の座学中心の研修?それじゃあエンジンは育ちません。スキルアップ研修とか、実践経験を積むようなOJTやOFF-JTだけでは不十分なんです。
もっと視野を広げるような、多様な経験ができる何かが必要です。例えば、異業種交流会への参加、社会課題解決プロジェクトへの挑戦、海外インターンシップなど。普段の仕事の枠を超えた経験が、人のエンジンを目覚めさせるんです。
自分の価値観や可能性に気づくきっかけは、意外なところにあるものです。だからこそ、多様な経験の場を意図的に作り出すことが大切なんです。
そもそもエンジン部分を作る必要があるんです。それが先決。いや、むしろそれが全てだと言っても過言ではありません。
異部署との交流、挑戦的なプロジェクト、失敗してもOKの文化。こういったものを意図的に作っていく。
そうすれば、社員一人一人の中にエンジンが芽生え始める。そして、そんな社員たちが組織を動かし始める。素敵じゃないですか?
エンジン育成の効果
エンジンが育つと、驚くべき変化が起こります。
頼まなくても足りないスキルを自ら手に入れようと動くし、多少の困難にだって立ち向かう。そんな人材に変わっていくんです。
エンジンがあれば、人は自然に自ら動き出し、成長していきます。新しいことに挑戦したくなる。困難を乗り越えたくなる。そんな内側からの原動力が生まれるんです。
エンジン育成が人材育成の核心
ここまで読んで、どう感じました?
「うちの会社、エンジンより先にスキル詰め込んでない?」 「自分のエンジン、最近音聞こえてるかな?」
こんな風に思った方、チャンスです!
今日から、自分のエンジンに耳を傾けてみませんか?
新しい経験にチャレンジする。普段会わない人と話をする。そんな小さな一歩から始めてみる。
きっと、あなたの中にも素敵なエンジンが眠っているはず。
さあ、エンジンを目覚めさせる旅に出かけましょう!
だからこそ、エンジンを育てることが大事。曖昧なものだからなかなか着目されないけど、それが全てなんです。
どんな優れた研修でも、まずはエンジンが無いと何も進まない。
あなたも、自分のエンジンを見つける旅に出てみませんか?きっと、新しい自分との出会いがあるはずです。