読書日記『わたしの美しい庭』

本屋大賞を受賞した凪良ゆうさんの小説です。

本屋大賞の方は、まだ読んでいないのですが、『わたしの美しい庭』は、読んでいてやさしい気持ちになれる小説でした。

ライフスタイルをはじめ、働き方も生き方も多様化している時代ではあるけれど、まだ、世間一般にいう普通の生き方が求められています。いわゆる既定路線から外れると生きづらい世の中です。現代は。

この小説に登場する人物も、既定路線からは外れたところで生きている人たち。登場人物の生き方を見ていると結構大変だなと思わなくはない。しんどいし辛いなと感じる部分もあります。

ただ、この小説を読んでいると自分の周りの誰かが、苦しんだり、悲しい時に、そばで見守ることは大切だけど無理をして寄り添わなくても良いのではと感じました。

普通の生き方からはみ出してしまうと元の場所に戻そうとして、色々言ってくる人もいます。相手からすれば良かれと思ってやっていることだから、受け入れられないと面倒なことになったりするわけです。こっちとしても、その親切が辛いということもあるんだけど。

今を生きる人たちの「生きにくさ」が書かれているお話ではありますが、描き方ひとつでこんなにも温かい話になるのだなと思いました。

登場人物に百音と書いて「もね」という女の子が出てきます。タイトルとの関連性を考えると画家のモネからとったのかなぁ思ったりしました。

この半年間、想定が出来ないことが起こって、今まで当たり前だったことが出来なくなりました。だからこそ、この物語が心に染みたのかもしれません。

読む前のイメージと読んだ後に感じたことが全然違っていて、いい意味で期待を裏切られた本でした。本屋大賞を受賞した『流浪の月』も読んでみたいです。

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