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左利きは 個性です

椿えりです

今からもう45年も前の話です。
小学一年生の時の担任の先生(当時60歳)が
家庭訪問の時に母に優しく
諭してくださった言葉です

3姉妹の中で一人だけ
左利きだった私
幼稚園で習字を始めました
理由は「母が」私の左利きを
右利きに「直す」ことでした

母は、私の左利きを
「ものすごく」心配していました

「左利きは悪い」は
母自身が味わってきた
強い思いだと理解します

7人兄弟の中でただ一人左利きで
厳しく矯正されて
書くこととお箸は右になった母でした

だから私も幼稚園の時すでに
私は左利きで悪い
と思う子供でした

あの日
自宅の居間で母の隣に正座して
二人の会話を聞いていました

母は先生に
「どんなに厳しくてもいいです
叩いてでもいいですから
この子の左利きを
直してやってください」
と頭を下げました

先生は
にっこりして母に言いました
お母さん
左利きはね 個性ですよ


それからこう言われました

私には直す理由が見当たりません
左利きでいいじゃないですか

私は先生をじっと見つめて
胸がドキドキしていました

私は悪くないんだ

大人の人に
初めて認めてもらえた気がして
口をへの字にして
泣きたくなったのを
今も覚えています
先生とはお亡くなりになるまで
交流が続きました

今の時代と言わず
どの時代であっても
「左利きが悪い」なんて
カテゴライズされること自体
信じられないことですが

第二次世界大戦時代
アメリカは敵国で
そのアメリカ人には左利きが多い
という勘違い・思い込みから

「左利き=アメリカ人」からの
「左利きは悪い」の中に
おぞましいほどの「憎しみ」の感情も
込められていたとしたら

当時幼い母は
なんと恐ろしく恥ずかしい思いで
いたことだろうかと思いを馳せると

幼い私のために
よその大人にですら
「叩いてでもいいから直してやってほしい」
と頭を下げて回るほどに
守ってやりたかったのかもしれない


切なく歪んだ母の愛を
今ようやく受け取れました

母がもしまだこの世に居てくれたら
お母さん ありがとう
大切にしてくれて ありがとう
愛してくれていて ありがとう

母の細い綺麗な手をぎゅっと握って
母の目をしっかりと見つめて言えたなら

あの小さな私自身にも
そして小さな母にも
心の中でしっかりと抱きしめながら

それはあなたの個性なんだよ
と優しく伝えてあげたいなと
思うのでした


☆あなたがあなたらしく 笑顔で過ごせますように☆

皆さんの心の平安をお祈りしています

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今日の日めくりカレンダーの言葉
経験を無駄にしない
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