アフガニスタンと言えば、忘れられない本
最近毎日のように、アフガニスタンのニュースを目にします。
アフガニスタンというと、私には忘れられない、大切な本があります。
(※今日の読書感想文は、2019年3月にメールマガジンに書いた内容とほぼ同じです)
『カブールの本屋』アスネ・セイエルスタッド著 江川紹子訳
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あまりにも良い本だったので、イギリスのアマゾンで、英語訳も取り寄せて読みました。(原書はノルウェー語です。)
“The Bookseller Of Kabul”
Asne Seierstad(Author), Ingrid Christophersen(Translator)
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この本は、同時多発テロとアフガニスタン空爆の直後の2002年、ノルウェー人の女性ジャーナリストが、
アフガニスタンの首都カブールにある本屋を営む裕福な家族と1年間、生活を共にしたルポです。
(アマゾンの紹介文より)
本書は、彼女の目を通して、アフガニスタンの歴史や政治情勢はもちろんのこと、知られざる市井の人々の日常生活や、いまだに根強く残るイスラム社会の女性差別、
そして一家の家長に逆らうこともできず翻弄される家族の姿を内側から描いた問題作。
私はこの本を読んでいる間中、何度も憤りを感じました。
あまりにも酷い女性差別や、虐待とも言われかねない児童の強制労働などが描かれていたからです。
「こういう国に暮らすのは、きっと大変なんだろうな・・・」
と、同情を感じながら読み進めました。
そして、自分の心の中には
「私は日本のような国に生まれて、恵まれているんだろうな…」
という、一種の奢り高ぶった優越感も、正直に言えば、あったと思います。
ところが、ある場面で、頭を殴られたかのような大ショックを受けました。
それは、アフガニスタン人の少年マンスールが、メッカへ巡礼の旅に出かけ、お祈りをするシーンです。彼は、このように祈りました。
「いつの日か、アフガニスタン人であることを、誇りに思えますように。アフガニスタンが世界に尊敬される国になりますように。」
勉強したくても、親に学校に行かせてもらえず、
来る日も来る日も奴隷のように働かされ、雇い主に搾取され、
「こんな人生、ウンザリだ!」
と苦しんでいた彼が、巡礼の旅で神に向かって高らかに祈ったのが、この祈りでした。
それまでの私は、人生で、ここまで立派な祈りを捧げたことは、一度もありませんでした。
自分のことや、周囲の家族・友人について祈ったことはありましたが、
自分の国家のことを真剣に祈ったことなんて、一度もなかったのです。
この瞬間、
「アフガニスタンの人達は、かわいそう」
という思いは、一瞬にして砕け散りました。
アフガニスタンのことを何も知らないくせに、
何となく「気の毒に」と思っていた自分の浅はかな先入観を、深く恥じました。
そしてマンスールの祈りは、一対一で神に向き合おうとする
真剣な信仰心から来ていることを感じ、尊敬を感じました.
ちょっと話は飛びますが、私はマララ・ユサフザイさんの自伝"I am Malala"も、
人生でベスト10に入るほど大好きです。
マララさんの出身国パキスタンは、アフガニスタンの隣です。
この二国は地理的に近いこともあり、文化が似ているし、歴史的に共に発展を遂げてきたことが、マララさんの自伝を読むと非常に良く分かります。
(マララさんの名前は、アフガニスタン人の女性戦士・マラライに由来しています。これも、マララさんの自伝が始まってすぐ、2ページに書いてあります)
I am Malala (Malala Yousafzai)
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マララさんもまた、イスラム教徒です。
彼女は自分の母国に対して、時に斜に構えてシャープな目で批判しつつも、真剣に自分の国の将来を憂い、祈りを捧げていました。
マララさんの自伝を読んだ時、「カブールの本屋」の中のマンスール少年が祈りを捧げる姿が、心の中でフラッシュバックされました。
一般的に考えれば、
「アフガニスタンのように、自由もない、教育もろくに受けられない国に生まれたら、すごく苦労するだろうな…」
と憶測するのが、普通ではないかと予想します。
しかし、立派な志(こころざし)を持つ若者とは、
「これ以上ないほど、豊かで自由で、恵まれている環境でなければ、育たないのか?」
・・・そうではないことが、「カブールの本屋」そして”I am Malala”を読むと、非常によく分かります。
貧困や悪政権でさえ、決して若者から奪えないものがあります。
それは、祖国への愛であり、困難に立ち向かおうとする不屈の信念。
逆境の中だからこそ、それらは磨かれたのでしょう。
「いつの日かアフガニスタン人であることを誇りに思えますように。アフガニスタンが世界に尊敬される国になりますように。」
私も、マンスールと同じ祈りを捧げずにはいられません。
キリスト教とイスラム教、どの宗教でもそうかもしれませんが、
神に祈りを捧げる時、そこには私自身と神しかいません。
自分の思いを、神様に真剣にぶつけ、吐き出し、祈りなさい!
…と、聖書は教えてくれます。
聖書の言葉を引用して、今日の読書ブログを終わります。
★詩篇145章18~19節
すべて主を呼ぶ者、誠をもって主を呼ぶ者に、主は近いのです。
主はおのれを恐れる者の願いを満たし、またその叫びを聞いてこれを救われます。
★Psalm145:18~19
The Lord is near to all who call on him,
to all who call on him in truth.
He fulfills the desires of those who fear him;
he hears their cry and saves them.
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