男女賃金格差の解消の障害は何か。
A.
フルタイム正規雇用者内の男女の賃金格差と女性に非正規雇用が多いことが賃金格差の要因になっている。正規雇用者間の格差是正には、女性管理職を増やすこと、大卒女性が就労継続しやすい環境整備、一般事務職制度の見直しが必要だ。非正規雇用については、家庭と会社での性別役割分業意識を改善すること、新卒採用を重視する雇用制度の見直しが必要だ。
なぜ男女賃金格差について考える必要がある?
女性の収入が低いことは女性のライフスタイルの選択肢を狭めているから。また、相対的貧困層に女性が多いことにも繋がっているから。
賃金格差は何から生まれるのか。
約50%: フルタイム正規雇用者内の男女の賃金格差
約35%: 女性に非正規雇用が多いこと
フルタイム正規雇用者の賃金格差が生まれる要因
管理職割合の男女差
この差は、教育、勤続年数などの人的資本が同じレベルであっても存在する。特に40歳以降は、職階差の拡大が所得格差の拡大の主要因。
対策としては、正社員男女の昇進機会の平等化が必要。そのためにワークライフバランスを達成できる働き方を浸透させる必要がある。特に、長時間労働を正社員(とくに管理職)の要件とすることをやめる必要がある。
勤続年数の不足 (大卒女性の場合のみ)
正社員大卒女性の場合は、勤続年数の差が職階の男女差と同程度の賃金格差に繋がっている。育児期の継続就業を支え、勤続年数を伸ばす施策が有効。
一般事務職の女性が多いこと
女性事務職者は男性事務職者に比べ数が多いだけでなく、職階も所得も低い傾向がある。女性事務職者の多くが一般職で、もともと昇進・昇給の機会が少なく、もし昇進しても、昇給幅が狭いため、職階が高くなっても格差は埋まりにくいことが課題だ。
対策としては、企業は一般事務職のような専門性を伴わない補佐・補助職は縮小すべき(IT化に伴い、必要性も減っている)。法制度としては、性別と強く相関するコース制度を間接差別に含まれると考えなおし、雇用機会均等法の改正する必要がある。
女性に非正規雇用者が多い要因
性別役割分業
育児や介護が必要になるなど、家庭環境が変化すると、性別役割分業意識のため、女性が離職・転職で対応することが家庭・社会として期待・求められる傾向がある。また、日本女性の離職の主な理由である、仕事・キャリアへの不満や行き詰まり感(コース制度や仕事の割り当てなどからくる)も解消する必要がある。男女の機会の平等理念に反する性別役割分業の押し付けを家庭・企業両輪で解消するべき。(今後のnoteで具体的な対策を書く)
終身雇用制度
終身雇用制度は新卒採用を重視するため、離職者・転職者は正規雇用の機会が乏しい。企業は長期雇用者を中心に考えるのを見直すべき。(今後のnoteで具体的な対策を書く)
参考文献
山口一男。2018。「職場の男女不平等をいかに越えるか」第10回昭和女子大学女性文化研究賞受賞講演。