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アメリカでベースボールママ

野球少年の母をしている。
まだアメリカでしかこの役割を担ったことがないので日本との比較はできないが、野球を支える中で色々と面白いと発見するカルチャーに出会うことがあるので、書いてみたい。

パパ送迎


アメリカの場合、外出するには自分で運転できるようになる年齢までは親が練習や試合に送迎することになる。
だから、だいたい夕方5時から8時、週4回か5回の送迎が発生する。
ここで一つ目の発見は、送迎の8割はパパがしているということ。
ここは地域柄か、共働きで、お父さんが在宅というパターンが多いから特に比率が高いかもしれない。8割と書いたが、うちの子のチームに限るなら、お母さんがメインで送迎しているのは我が家だけだ。
とはいえ我が家もこのカルチャーの影響を強く受けて、今では一家に二人野球少年がいることもあり、夫婦総出で夕方から夜の送迎をこなしている。
パパたちは仕事をどう上手く毎日切り上げるのか、きっちり時間通りに子どもを連れて野球場へ来る。そして大抵は送るだけでなく、2時間か3時間そのまま野球場で子どものプレーを見守る。

勝っても負けてもGood play


次に発見した、というか勉強になると思うのは、声援の送り方だ。

私は我が子がミスをすると、つい「あーそこは取れたのにー」などと口走りそうになっていた。でもこっちのママは決してそんな言葉を口にしない。
マイナスな意味を持つ言葉がこの世には存在しないかのようにとにかく褒める。労う。励ます。
こんな具合だ。
アウトになったとき→Nice try!
ストライク→Good swing!
キャッチミス→Nice throw!
ボールの球をキャッチャーがキャッチ→Nice stop!

もちろん、良いプレーの時はより良い言葉が飛び交う。
Great! Awesome! Way to go!

しかし、ここで気がついたのは上手くできなかったプレーと上手くできたプレーとの間で送られる声援にそう大きな差がないということ。
良いプレーのときに沸き起こる声援は、やや大人しめに感じる。
勝ち負けもそうだ。勝利したから大いに褒める、というようには感じない。勝っても負けても同じようにその日の頑張りを褒めて車に乗せて帰る。

Nice try と言い続けると

以前はミスに対して「ああ今の、、、ナ、 nice try」などと落胆を隠せず口ごもった末のNice tryだった私も、周囲のどっしり構えたママたちのNice try連呼に影響されて、今ではどんなミスを見ても間をおかずNice tryという言葉が何も考えずに出てくるようになった。
そうなってくると、不思議だ。
言葉が、私のネガティブさや、無駄な力みを消していく。
そもそも私はただ送迎をしている父母だ。野球のことなどわからないし、子どもが野球をがんばろうががんばれなかろうか、言ってみれば特に自分とは関係ない。
間髪入れずにNice tryと言える距離感で、家族とも、自分自身とも付き合っていけるとけっこうラクだ。

アメリカの広大な野球場で日焼け止めでは抗いきれない量の紫外線を浴び、弟たちはテレビを観る暇もなく連れ回され、なかなかハードなベースボールママ生活だが、良い面は、こんなところにある。


アメリカは小学生でも硬球

Makiko

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