喜劇のはずが、ハンカチーフを固く握ることに。 ~ 舞台 笑の大学 ~
大河ドラマで三谷幸喜さんが大活躍でしたね。
自分はここ数年で「舞台観劇が趣味」と言ってもいいかしら?な感じになって来ておりますが、三谷幸喜さん脚本の「酒と涙とジキルとハイド」で生の演劇にずっぽりハマった感があります。
ラヴな隆・藤井が出演していたことも大きいところですが。
そして「23階の笑い」はチケットが取れてやっほーい!となり、「日本の歴史」はとにかくチケットが取れず歯ぎしりしたり。
そして来るは「笑の大学」チケット争奪戦。
登録しているチケットサイトの2つの先行抽選に早々に外れ、キーー!!っと地団駄踏んでいるところで2回目の抽選がスタート。
片方のサイトは散り、、クジ運の悪さが出ておる。。
しょんぼりしていたところで別サイトの2次抽選スタート。
強めに念を入魂し応募。
晴れてチケット当選となりました♪
ルンルンで渋谷のパルコ劇場へ。
席は前から三列目でヒャッホーでしたが、舞台に向かって割と右端。
更に舞台を見る左前に座高が高めで頭上の輝く男性が・・。
いんや、ようやく当たったチケットで3列目。わがままはいけません。
しばしホールにあったチラシをめくり、持参の水をちびちび飲んでいる内に開幕。
ここからネタバレを含む感想を書きます。
これから観劇予定の方は観覧後にお読み頂けましたら幸いです!
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時は戦時濃厚な昭和初期。
喜劇の劇団座付作家の瀬戸康史さん扮する椿一(つばきはじめ)は、上演する舞台の脚本の検閲を受けに取調室へ赴きます。
他部署から異動したての検閲担当者は、まごうことない堅物の内野聖陽さん扮する向坂睦男(さきさかむつお)。
内野さんは生まれてこの方、心から笑ったことが無く、異動前はお国のために前線で奮闘していたことを誇りに思っていて、こんな時期に「喜劇」なんて上演するための検閲官なんて・・・と嘆いています。
そんな内野さんの検閲を通すために、瀬戸さんはちょっとした袖の下を持ち込んでみたりしますが、内野さんは跳ね返します・・いったんは。
頂き物のひと言目を「いえいえ、結構です」と言いつつ、ふた言目に「そうですかぁ」と手元に手繰るように、シレっと嬉しそうに持ち帰る内野さん。
ですが物に左右はされません。
なんとか上演許可を貰いたい瀬戸さんは、無理な書き直しを命じられては、どうにかクリアを目指します。
毎日、無理難題な書き直しを命じられて、上演日が迫る中。
徐々に堅物で笑ったことの無かった内野さんの意外な才能が、瀬戸さんの上演許可が欲しい気持ちにより開花して行きます。
何だかんだで内野さんの「検閲」する書き直し箇所は脚本の質をどんどん上げていき、瀬戸さんの筆も踊ります。
そんなある日、とうとう検閲が通ります。
しかし、上機嫌で瀬戸さんが内野さんに打ち明けた本当の気持ちを聞いた内野さんは逆上し、検閲合格を取り下げて喜劇に対する致命的な書き直しを命じます。
翌日、徹夜で書き直して来た脚本は内野さんの指摘に全く沿わない内容。
こんな脚本は通さないと言い放つ内野さんへ、瀬戸さんから思いがけない告白が・・・
いやぁ、もうここまで書いただけで、涙目。
喜劇の舞台を上演するに辺り、期せずして何故か一緒に奮闘し始める内野さん、上手いことそれに乗っかる瀬戸さんに笑いっぱなしだったのですが、終盤はタオルハンカチーフで目頭を押さえずにいられませんでした。
今まで観劇した舞台で涙目まではたくさんありましたが、ポロポロと泣いてしまう舞台は初めてでした。
今の日本や世界情勢が戦時中のそれであったりすることが、ある意味、舞台の物語と重なります。
ただ、舞台の最後のシーンには、一縷の光明が見えました。
それが舞台の中のリアルなのか希望なのかはわかりません。
どちらにしても、希望を持つことで人は変われるものかと思います。
悪いことばかり考えてしまうと、本当にその方向へ行ってしまうもの。
前向きに「こうしたい」「こうなって欲しい」といった思いが、良い方向へ傾かせることもあるんじゃないかと思いました。
自分は前から3列目で青地に橙の妙に派手な色合いのタオルハンカチーフで、眼鏡をズラしては目頭を押さえまくっていたので、目立ったと思われます。
終演の拍手が鳴りやまないカーテンコールの4回目に去る瀬戸さんが、自分に向かって手を振って下さっていたように思います。
気のせいの可能性大ですが、これこそが「良い方向に考えること」なのかも。
まだまだ上演日数がありますので、ぜひぜひ観劇をオススメ致します。
文字通り「笑って」泣かされます!!!