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アグレッシヴ☆現実逃避と、立ち見。 ~ 舞台 桜の園 ~

天海祐希さんが出演されるチケットはとにかく争奪戦です。
抽選大会に参加しまくっては散り・・・
普通の座席が完売となり、補助席の抽選大会が勃発し、神はいる!!っと参戦し、散り・・・
絶望・・と思っていたところに、立ち見の抽選大会が炸裂!
藁をも掴む思いで参戦して、どうにか針の穴を通るが如くチケットをゲット出来ました。

有名なチェーホフの「桜の園」をケラリーノ・サンドロヴィッチさんが演出。と、書きつつ、桜の園のストーリーを知らず、世田谷パブリックシアターへテケケケっと向かいました。

ここからネタバレを含む感想を書きますので、これから観劇予定の方は後日お読み頂けましたら幸いです!


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時は19世紀末のロシア。

長く海外で暮らしている没落貴族の女主人ラネーフスカヤ夫人こと天海祐希さんが、娘のアーニャこと大原櫻子さんと、やたらと手品を見せたがる娘の家庭教師シャルロッタこと緒川たまきさんと一緒に、桜の木々に囲まれた屋敷に帰って来ます。

大原さんは汽車の中で延々緒川さんから手品を見せられまくってゲンナリし、その横で久しぶりの屋敷に懐かしさを激しく感じてやや浮かれ気味な天海さん。

屋敷には天海さんの兄で天海さんと同じく気持ちの上は現役バリバリ貴族のガーエフこと山崎一さん、留守中の屋敷を切り盛りしていた養女のワーリャこと峯村リエさん、相当に老僕なフィールスこと浅野和之さん達が天海さんたちの帰宅を喜びます。

そんな天海さん一行が戻る前に、この屋敷で親が農奴(奴隷に近い感じ)だった息子で、今は商人として大成功を収めているロパーヒンこと荒川良々さんが屋敷の中で、自分が子どもだった頃のことを懐かしんでいました。

没落貴族だけに金銭事情は火の車で、この屋敷は抵当に入っています。
この惨状を子どもの頃にお世話になったよしみでどうにかしようと、荒川さんは出向いて来ています。

それなのに浮世離れしている天海さんや山崎さんは、物乞いがいれば「小銭が無いわぁ」っと金貨を与えたり、高級な飲食にも糸目をつけず。

荒川さんは「庭の桜の木を伐採してこの屋敷も更地にして、成金連中向けに別荘を建てて貸し出せば競売に掛けられずに済みます!!」と天海さんを諭しますが、現実逃避気味な天海さんはどうにかなると聞く耳を持ちません。

天海さんには息子がいましたが、小さな頃に不慮の事故で亡くなっています。その息子の家庭教師だった大学生トロフィーモフこと井上芳雄さんは、純情な男ですがやたらと世に向けた理想像を大原さんに語りますが、大原さんはそんな井上さんの純真具合に心を寄せ始めます。

屋敷で事務員として働いている雑でいい加減、そのことが元で不幸を呼ぶと言われている事務員のエピホードフこと山中崇さんは、やたらとテンションの高い小間使いのドゥニャーシャこと池谷のぶえさんにホの字。
好き好き大好きと求婚していますが、そんな池谷さんは天海さんたちに着いて来た従僕のキザで厭味ったらしく都会の風を吹かしまくるヤーシャこと鈴木浩介さんに夢中で、グイグイとアタックしまくり。

天海さんは天海さんで、外国に残して来た夫が他の女に現を抜かしていたことに心を痛めていました。ところがこの夫が体調を崩し、天海さんへ手紙で「戻って来て欲しい」と懇願してきます。しかし天海さんは夫にプリプリしているため、戻ることに躊躇を感じています。

そんな中、とうとう屋敷が競売に掛けられてしまいます。

荒川さんは「まだ間に合う、別荘の件を真剣に考えて!!」と天海さんに詰め寄りますが、手応えはなしのつぶて。

競売の当日、様々な心配事から気を逸らすかのように天海さんはパーティを開きますが、以前の来賓は貴族的な上層階級ばかりだったのに、今や郵便局長や警察署長といったワンランク下な感じの人ばかり。
荒川さんは山崎さんと競売会場へ出掛けており、パーティに没頭したい天海さんですが、競売の状況が気になって仕方ありません。

そして荒川さんが泥酔しながら帰って来ます。
競売の結果は、「桜の園」の庭はどうなる??


天海さんの浮世離れっぷりがお茶目でしたが、絶好調な暮らしをしていた人が落ち目になるってこういうことなのね?と。

その絶好調を知らない娘の大原さんが案外と地に足を付けている感があり、逆にどん底を知っていて、それでいて今は立場が大逆転した荒川さんが、天海さん達へ恩義と憐れみがない交ぜになった感情を見せるところに、人生って様々な逆転劇があるものねっと思いました。


今回は15分休憩を挟んだ約3時間の立ち見。
初めての立ち見はキツかったっす(笑)
ですが、休憩中に同じ立ち見の方のお一人と「立ち見キツイっすね」とプティ会話の弾みがあり和めました。
微妙な傾斜のある立ち位置だったので、観劇後二日ほど疲れが抜けなかった感がありました、40代ラストイヤー・・・。


人生の浮き沈みがたっぷりで暗くなりそうなところですが、浮世離れや恋愛模様は「金貨あげてる場合じゃないだろう!!」とか、「庭でねんごろになろうとするな!!」とおかしみが散りばめられていました(笑)

あらすじをしっかり読んで行かなかなったので、微妙に分からない部分がありましたが、サイトでストーリーを読んで「なるへそ!!」と理解しました。自分のようにワキが甘くなりそうな方は、ストーリーを読んでおくと楽しさ倍増だと思います。

そして立ち見仲間となった方。
観劇後はお風呂でしっかり疲れを取りましょうね☆




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