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現実と本心とこれからと。 ~ 舞台 台風23号 ~

愛している(ので呼び捨て:藤井)隆が出演のため、外れても外れても抽選に挑み続けて、どうにかこうにかチケットゲッツ!!

元V6の森田剛さんと、間宮祥太朗さんがダブル主演なので、結構な争奪戦だったと思われます。

舞台会場も女性多めの観客で、自分の隣は中国人の女性お二人でした。

会話が中国語でしたが、恐らくお二人の内のどちらかのファンといった雰囲気で楽しそうに開演を待っていました。

自分の席は一番後ろでしたがほぼセンター。

しかしとっても見やすい MILANO-Za で助かりました!

ここからはネタバレの感想となります。

観劇予定の方は後日お読み頂けましたら幸いです!


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舞台は夜に花火大会を控えている、海沿いのやや過疎化した静かな町。

宅配配達員の森田さんは、たくさんの荷物を積んだ台車を押して、配達に駆けずりまわり、「お風呂に入っていたからチャイムが鳴っても受け取れなかった、いまは受取れるから持って来て」などの自己中心的な電話の応対にも明け暮れています。

同じように介護ヘルパーの田辺浩一こと間宮祥太朗さんは、担当している老人こと佐藤B作さんが家にいないため探し回り、町役場に探しにやってきます。

町役場では、佐藤B作さんの娘のやや浮世離れした専業主婦の智子こと木村多江さんの夫の秀樹こと隆が勤務しています。

街には巨大台風23号が到達する予報が出ており、街の内外から花火大会開催の問い合わせが殺到し、開催・中止の決定権が無い担当の隆はゲンナリ。

そこへ木村さんも佐藤さんを探しに町役場へやってきて、佐藤さんと間宮さんと合流します。

佐藤さんはかなり頑固で、反りの合わない間宮さんがイヤで町役場によく逃げ込んで来ているのです。

間宮さんも不自然なほど慣れたもので、怒ることも無く、宥めすかして木村さんと一緒に佐藤さんを自宅へ連れ帰ります。

町役場の前には「カラオケスナックひまわり」があり、ママの秋山菜津子さんが切り盛りしています。
娘の伊原六花さんは秋山さんから「緊急事態」と連絡を受けて何年かぶりに東京から急いで駆け付けて来ましたが、当の秋山さんは何年も帰ってこない伊原さんに業を煮やして大嘘をぶっこいただけなのでピンピンしており、おまけに秋山さんが目下結婚前提で交際中のパチンコ狂いなタクシー運転手の赤堀雅秋さんが店の上の部屋に転がり込んで来たりで伊原さんはイライラしています。

そんな小さなバタバタが進行中の街では、ペット連続不審死事件が進行中で、お巡りさんの駒木根隆介さんが自転車で犯人探しに奔走中。


森田さんはアマ〇ンの荷物がいくら配達しても延々と減らず、不在もてんこ盛り。家族から時折掛かって来る電話にはいつも「仕事中って言ってるでしょ、早く帰れません!!」と返すしか術がありません。

日が暮れて来て、やっとこさ町役場の上役たちは花火大会の中止を決定し、これに伴い隆もようやくどっちつかずの対応から解放されます。

すっかり日が暮れた頃、夕方に家を出たまま帰ってこない佐藤さんの捜索に、木村さんから頼まれた終業時間外の間宮さんが街を探し回ります。


間宮さんは何故終業時間外でも佐藤さんを探すことを手伝うのか?

大嘘をぶっこいて伊原さんを家に帰ってこさせた秋山さんの本心は?

ペット連続不審死事件の犯人は?


小さな町で普通に働いて暮らしている人々の心に、少しずつ積み上がっていた不穏な思い。それがタップタプの満タンになった時、溢れた思いが激しく吹き上がり・・・



「悩みの無いことが悩みかしらぁ~」なんて言い方をするぐらい、悩みの無い人はいないと思います。

他人が見たら些細なことでも、当人にとったら一大事だったり。

我慢していた時間が長ければ長いほど、思い続けていたほど、沸点に到達した時の爆発力は計り知れないことがあると思います。


自分で済ませられること、誰かを頼ること、当たり散らすこと。

鬱憤の晴らし方も人それぞれ。

ストーリーは事件にまで発展しがちな、人間関係、家族関係、老人問題、恋愛関係、健康問題、労働環境、お役所仕事、地方の過疎化など「あぁ、それ、わかるわぁぁぁ!!」っと、誰でもどれかの問題に激しく共感せずにいられないことが目白押し。

特にペット連続不審死事件の犯人の理屈は、猫好きとして「ざけんじゃねぇ!!!」と叫びたくなるような理由ですが、厳しい事情も理解出来てしまうジレンマ。

そんな中で、一時、虚脱するように沸点を見せて受け取って貰えない荷物を地面に叩きつけてしまう森田さん。
その森田さんへ家族からも介護人にも精神的に見捨てられて、それでも自分で終止符を打つことが出来ない佐藤さんから、お前さんはこうはなるな!っと思いを託されたようなエールを送られ、自分は家族から「いつ帰って来るの?」と電話がかかって来る、いつも心配されている、そんな家族を自分も大好き、だからもうちょっと頑張ってみよう!!と、この日最後の荷物を遅い時間でも届けるシーンには胸を打たれました。


社会問題てんこ盛りのように書きましたが、深刻な体の問題を抱えている秋山さんが、自身の過去の結婚・離婚の繰り返しと現在進行中のパチンコ中毒(夢中な台の名前がワンワンパラダイス 笑)な彼を棚に上げまくって「恋愛マスター風」に伊原さんへ「真っ当な結婚」を勧めたり、完全に浮世離れした、ゴリゴリに一方通行な思いの不倫上等な“ヒトコワ”木村さんなど、笑わずにいられない出来事もしっかりあります(笑)

「普通」という薄~い絆創膏をペロっと剥がすと、剥き出しのドロドロな現実が顔を覗かせる。

ふんわり、アハハハ~と笑っていたら、いつの間に生臭くなっている舞台。
それでいて、一縷の希望も感じる舞台。


約2時間、休憩なし。

チケットが取れたら、ぜひ足をお運び下さい!




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