小笑いがあり過ぎます! ~ 「新橋演舞場シリーズ第10回記念公演 東京喜劇 熱海五郎一座『スマイル フォーエバー ~ちょいワル淑女と愛の魔法~』 ~
一昨年にも熱海五郎一座を観に行きました。
この時のゲスト女優は浅野ゆう子さんでした。
任侠物語で、高齢化した組の立て直しというシチュエーションだけに、喜劇の楽しさを満喫出来ました。
今回のゲストは伊東四朗さんと松下由樹さんと知り、松下さんのコメディエンヌは確実に楽しいはずですし、伊東さんの超円熟の笑いも観ておかなければ!!っと抽選合戦に参戦し、無事にゲット出来ました。
土曜日のお昼公演なので、帰りはハイソなところを散策しちゃおうかしら☆なんて思いながら新橋演舞場へ馳せ参じました。
そしてお席が超ラッキーなことに二階席の一番前どセンターで、素晴らしい観劇環境に幕が上がる前からルンルンに御座いました♪
ここからネタバレを含む感想になりますので、これから観劇予定の方は後日お読み頂けましたら幸いです!
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役名を殆んど忘れ気味なので、覚えている名称以外は演者さんの名前そのまんまで書きます、ダジャレばりばりで楽しいお名前だったのに、お恥ずかしい。
舞台は現代のとある銀行内から。
伊東さん演ずる孤独な老人が窓口で順番待ちをしていると、スマホで振込をどうするこうすると言いながら小倉久寛さんが入店してきます。
これは振込め詐欺では?と心配した伊藤さんが、小倉さんに「あなたダマされていませんか?」と話しかけます。
「高齢者に多い詐欺ですよ!」と言いますが「あなたが高齢者でしょう!!」と言い返されたりのすったもんだで、本当に息子さんの事故の件での振込をしないといけないと分かった時には、当日振込の出来ない時間へ雪崩れ込んでしまい、小倉さんはカンカン。
同じタイミングで、銀行の奥からVIP扱いの派手なことが大好きな都知事の松下さんと娘さんとSPが一緒に窓口へ出て来ます。
そこへ二人組の強盗が押し入ってきます。
SPが華麗に強盗を捕獲・・出来ずにあっさり倒されてしまいます。
松下さんへ向かって強盗が拳銃を発砲したその瞬間、実は魔法使いである伊藤さんが時間を止め、発射された弾丸の軌道を天井へ方向転換し、さあ、これで大丈夫☆っと魔法を解いたところ、跳ね返った弾が伊東さんの足の小指を掠めるといったうっかりが発生してしまい、さらに強盗犯は逃走・・
警察で敏腕刑事こと深沢邦之さんと定年後に再雇用された刑事ことラサール石井さんが伊東さんのケガを心配しつつ、現場の状況の確認をします。
この時に松下さんの娘さんが事件をきっかけに笑えなくなってしまったと伊東さんは聞かされます。
なんでも足の小指に弾丸が当たった時の「伊東さんの険しく恐ろしい形相」を見て、その凄まじさが常にちらついて笑えなくなった・・・と。
これを聞いた伊東さんは「自分のせいで笑えなくなってしまった娘さんの笑顔」を取り戻すために、若い時に卒業した魔法学校でより高度な魔法を習得するため定時制へ入学します。
魔法学校定時制では、お調子者の渡辺正行さん、滑舌の悪さを魔法で克服したい生真面目な春風亭昇太さん、何十年も卒業出来ないため定時制に編入してきた小倉さん、やや年増の女学生たち、そして色々な学校でそのスパルタ加減のためクビになり定時制へ流れ着いた教師の三宅裕司さんなど、個性派が揃っています。
そんな定時制を小馬鹿にする全日制の生徒たち。
松下さんの都知事室では、強盗に倒された若いSPの代わりに“老練”な渡辺さんがSPとして最近入り、これまた最近雇われた秘書として三宅さんが、さらに優秀な弁護士に昇太さん、松下さんの心の拠り所の占い師に小倉さんと、魔法学校の先生と同級生たちの表の顔が一堂に会しますが、もちろん魔法を使うことはご法度。
そんな癖のある人に囲まれた松下さんは、税金を懐に入れて好き放題に買い物をしたりなどやりたい放題をしつつ、都知事としてイイ顔もキープ。
そんないけない買い物をする様子を悲し気に見守る伊東さん。
そんな松下さんですが、娘の笑顔が戻らないことに気を揉んでいます。
強盗犯も追いつつ、その松下さんの裏の顔も追う、二人の刑事たち。
娘さんの笑顔を取り戻すために魔法学校に入り直したと知って、何とか協力すべく一致団結する先生と仲間たち。
松下さんの核心に迫りくる刑事たち。
笑顔を取り戻すための魔法は相当なエネルギーを要するため、伊東さんは果たして習得しても使うことが出来るのか?
松下さんの行く先々にいつも伊東さんが現れるのはなぜなのか?
様々な思惑が入り混じる中、習得した魔法を伊東さんは娘さんに使うことは出来るのか・・・??
休憩を挟んだ約2時間半。
小笑い、大笑いが数分おきに発生するそれはそれは愉快な舞台でした。
伊東さんが86歳と思えない絶妙な間を見せて、周囲を「心配」させたり、渡辺リーダーの素晴らしい滑り芸とコーラいっき気飲み。
松下さんの善人・悪人の使い分けの分かりやすさ、昇太さんのハラハラする滑舌具合など、お約束もたっぷり盛り込んだ上に、石井さんの面目躍如なのか結構な風刺ネタがバッシバシ折り込まれており笑いっぱなしでした。
喜劇だけに人情味もたっぷりで、何だかんだで極悪人はいなかった!!という気持ち良いフィナーレに御座いました。
伊東四郎一座からなぜに熱海五郎一座となったのか、文字をしっかり見てやっと分かりました。
なるほど温泉がらみと順番ですね、恐らく(笑)
ド派手な演出はありませんが、演者さんが完全に楽しんでいることもあり、アドリブもたっぷりでとても楽しかったです!
ゆるいようでしっかりした物語、笑ってウルっとなれる舞台。
伊東さんのお疲れが出ない内に、ぜひ足をお運び下さい!!(笑)