落合博満氏という名監督を巡る騒動で考える人事の難しさ
『人事』とは
社会・機構・組織などの中で、個人の身分・地位・能力の決定などに関する事柄。(引用:デジタル大辞泉)
人事院ホームページでの『人事評価』と『人事評価制度』とは
『人事評価』は「任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価」(国家公務員法第18条の2第1項)
『人事評価制度』は、能力・実績に基づく人事管理を進めて行く上での基礎となる重要なツールであるとともに、人材育成の意義を有するもの
楠瀬啓介さんの投稿 國松禎紀さんの投稿 を読んで 評価される立場しか分かりませんが 私なりに『人事』に関して考えてみました
君の立場になれば君は正しい僕の立場になれば僕が正しい
『人事』は
人間に関する事柄。また、人の行なうべき事柄。人生の諸事。(引用:精選版 日本国語大辞典)
それぞれの人の 感情 好き嫌い 思惑 が絡むことは否定できないと思います
【誰もが『納得できる』人事評価制度の策定】が難しいのは当然です
評価される従業員側は
人事評価制度に公平性を求めるのは無理があって不公平と思えることは多い
という前提に立った上で 人事制度への良い意味での”あきらめ感”も必要で
『納得感』 『次の”やる気”に繋がる説明』
を 上司に求める というのがリーズナブルではないでしょうか?
「消えた完全試合」騒動の真相
2007年の日本シリーズ(中日ドラゴンズVS日本ハムファイターズ)第5戦において 完全試合が達成する可能性があった中で 落合博満監督は審判に 山井投手から岩瀬投手への交代を告げました
結果は 岩瀬投手が 9回を3者凡退で締め、中日は53年ぶりの日本一に
優勝を決めた後 落合監督は「きょうの山井は完璧だった」と言って 采配に関する詳細は一切語りませんでした
後日の落合監督や山井投手のインタビュー記事を元に 当日のやりとりを私なりに整理してみました
この流れで 落合監督は 審判に投手交代を告げたんです
「山井のところに岩瀬」
多くの野球関係者が「私が監督だったら、、」と
日本一になって 2投手による完全試合は達成されたのですが NPB史上初の日本シリーズでの完全試合が達成する可能性があった山井投手交代という落合監督采配は 『空気が読めない』 などの賛否両論が巻き起こり 一大論争となっていきました
王貞治さん(賛成意見)
「あの場面で個人記録は関係ない。負けたら札幌(北海道日本ハムの本拠地)だったし、岩瀬でよかったんじゃないか。負けたときにどちらの策が後悔しないか。岩瀬でしょう」(引用:Wikipedia)
江本孟紀さん(反対意見)
「あそこで続投させる監督は、プロ野球界全体のことを考えている監督。完全試合を達成していれば、野球に興味のない人まで関心を持ってくれるチャンスだった。それが野球人気につながっていくのに」(引用:Wikipedia)
星野仙一さん(中立的立場)
「私なら代えない。落合は投手じゃないから気持ちがわからないのでは。勝つことで評価される監督だから。勇気のいる決断ではあるが」 「判断については批判する意図はない。全てを承知した上での落合監督ならではの決断だったろうし、勝ち通すための覚悟であり、結果を見れば批判や非難は出来ない」 (引用:Wikipedia)
詳細はコチラ⇒【2007年日本シリーズにおける完全試合目前の継投】
「私が山井投手だったら、、、」
落合博満ファンである私は 当時 次のように思っていました
① 山井投手に何らかの大きなトラブルがあったので交代になった
② 「冷酷采配」でなく 指揮官として当然の判断
③ 当事者以外の人が 采配に関して批判するのはナンセンス
ファンの間では『右手指のマメの降板への影響』“定説”となっていますが
私だったら
どんなにマメが潰れていたとしても「交代してください」なんて口がさけても絶対に言わないで マウンドに上がっています
9回マウンドに上がって 対戦するバッターが フォアボールorヒットorホームラン という結果が出た段階で 交代を告げられたら 納得してベンチに下がるでしょう
ベンチで「9回は岩瀬投手でいくので お前は交代」と言われたら
「ふざけるな!このボケが! お前ら糞野郎だ!」
と悪態をついて 球場から出て行ったでしょう
例えば?
楠瀬啓介さんの指摘通り
相対評価は人を評価する方法としては邪道です。人間は成長するものです。(中略)個人の成長は、他者との比較を抜きにした絶対評価によってしか、正しく評価できません。
と私は思っています
例えば メンバーシップ型雇用企業の 人事評価制度で
この4人の同点決勝の場合 予想屋としては?
皆さんは どう思いますか?
落合監督の山井投手に対する配慮
山井投手は後日 自身の人を気遣いすぎる性格を
「しんどいです。自分の性格が…」
と吐露しています
山井投手の性格は プロのスポーツ・アスリートとしては 極めて残念な部分でしょうから 落合監督は 「消えた完全試合」騒動の真相 を語らなかった理由は ここにもあるのではないでしょうか?
山井選手のプロ野球人生に関わることで 人事上の事を漏らさなかった
番記者によると 落合博満監督は よくこんなことを言っていたそうです
「たまにベンチが想像する以上のことをやる選手がいるだろう? そういう選手はじつは使いにくいんだ。期待した以上のこともやるけど、とんでもないポカもする。そういう奴はこの世界で長生きはできない」(引用:週刊文春 2021年10月21日号)
山井投手は プロ野球生活通算で62勝と 決して突出した数字ではありませんが 20年間クビになりませんでした
① 山井投手の人柄やチームプレーに徹する考え方
② 「消えた完全試合」の落合監督の覚悟と決断
これが 選手生活が20年続いた理由???
名選手であり名監督であった落合博満氏
2004年から2011年まで中日の監督を務め、全ての年でAクラス入りを果たし、4度のリーグ優勝・1度の日本シリーズ優勝を達成
歴代の中日監督史上 最高の成績
2010年は 143試合目にしてセリーグ優勝(日本シリーズは パ・リーグ3位から勝ち上がってきたロッテに2勝4敗1分で敗れる)
2011年も セリーグ優勝したのですが
シーズン中の9月22日 球団から同年シーズン限りでの監督退任が発表されました
日本シリーズは ソフトバンクホークスに3勝4敗で敗れ 日本一にはなれませんでした
記者会見で監督退任について 落合博満氏は「契約ですから」と淡々と語りました
中日ドラゴンズは 2011年のリーグ優勝以降 優勝していません
この監督人事を行ったオーナー陣(?)は 何らかの責任をとっているのでしょうか?
まとめ
人事制度は 超アナログで 感情 好き嫌い 思惑 が入り混じるデジタル化するのが 極めて難しいものですので 関係者には
難しいことはわかりやすく、わかりやすいことは面白く、面白いことは深く(引用:真島昌利氏名言【ザ・クロマニヨンズ&ましまろギターリスト】)
これが重要
ウェットな人間関係が重視される メンバーシップ型雇用企業である限り
制度内容のアップデートより 経営陣の脳内アップデート
制度の磨き上げより 中間管理職の説明能力磨き上げ
中間管理職は 判断職 であって 判定職 ではない
といった『曖昧な明文化』程度しか 思いつきません
サラリーマン時代の早い時期から 上司からの自分の処遇に関する『腹落ち』する説明を全く期待しなくなって
人事は(ひとごと) 自分には関係のない他人に関すること よそごと。
と 思いこんでいた私には 早期退職 という選択肢しか思いつきませんでした(笑)
「オーバーアナリシス」「オーバープランニング」「オーバーコンプライアンス」といった日本社会の仕組みが 企業間移動の妨げとなっていて
『人材の流動性の低さ』
これが大きな問題であり 大きな壁では?
君の立場になれば君が正しい 僕の立場になれば僕が正しい
You’re right from your side, I’m right from mine