チャーリー・パーカーのような天才がメンバーシップ型雇用大企業にいたらどうなるか?
史上最高のインプロヴィゼーションを創造する ジャズの概念や精神まで変えるほどの 革新的な天才
チャーリー・パーカー
彼が ”ビバップ”を創造して 以降のジャズの発展に多大な影響を与えた 偉大なる人物であることは 誰もが認めることでしょう
『フェイマス・アルト・ブレイク』は ♬チュニジアの夜♬ の失敗テイクなのですが チャーリー・パーカーの演奏が素晴らし過ぎて プロデューサのロス・ラッセル が ボツにせずに聴けるようにしたものです
ビジネス界の天才と言えば スティーブ・ジョブズ イーロン・マスク などが頭に浮かびますが
天才がいないと イノベーションは起こらないのでしょうか?
組織に 天才は 必要なのでしょうか?
ジャム・セッション(Jam session)とは
ジャム・セッションとは? 本格的な準備や 予め用意しておいた楽譜 アレンジにとらわれずに ミュージシャン達が集まって即興的に演奏をすること(引用:Wikipedia)
ジャズ・ミュージシャンは ミントンズ・プレイハウスなどの ジャム・セッションから 演奏スキル・テクニックだけでなく 他メンバーとの関係性(インタープレイ) 即興演奏(インプロヴィゼーションを)に関する思考法を学んでいきました
このジャム・セッションから チャーリー・パーカー も多くのことを学んだ一人で 彼の天才的なテクニックと瞬時のひらめきによって ビ・バップ を創造していきました
この曲は サヴォイ時代のもので トランペットを吹いているのは マイルス・デイヴィスと思いきや ディジー・ガレスピー です
これには諸説あって
マイルス・デイヴィスには難しすぎる曲なので ディジー・ガレスピーに交代した
たまたまその時マイルス・デイヴィスがいなかった
という噂があるほどに チャーリー・パーカーの演奏は凄いレベルだったんでしょう
出る杭は打たれ 出過ぎた杭は排除される
メンバーシップ型雇用の大企業に チャーリー・パーカーのような 「想像すらしなかったこと」を考え付いたり 「そんな方法があったか」と驚くような方法を思いつく 天才的な人 が組織内にいたと仮定します
この天才的な人には 最低限の守ってもらいたいことを提示して 自由にやってもらうのが 組織としても発展すると思うのですが、、、
現実は?
① この人だけを 特別扱いすることによって 組織の調和を乱して 他メンバーのモチベーションを低下させてしまう
② その組織のリーダー自身も 面白くないので 天才的な人以外のメンバーと結託して追い出しにかかる
といった結果にしかならないでしょう
こんな 天才的な人 は 思考法・価値観・行動も 一人だけ別世界なのでしょうから 協調性がないと認識されて 村八分になるだけとしか思えません
スウィング・ミュージックの全盛時代には 若き日のチャーリー・パーカーも ジェイ・マクシャンのビッグ・バンドの一員として 大組織の一員だったことがあります
ステージで居眠りをしてていたチャーリー・パーカーは 自分の出番が回って来ると 誰も創造できないような 素晴らしいインプロヴィゼーションを披露したという逸話が残っています
こんなチャーリー・パーカーのような天才的な人が組織にいる場合
直属の上司(管理者)が 天才的な人の才能を 理解して 各他部門リーダーや経営陣との間に立って 接続というのか?通訳というのか? 素晴らしい才能を 説明して説得 できない限り
天才的な人は その組織に居続けることは難しいでしょう
価値観と思考法の違いで考えるダイバーシティ
『ダイバーシティ(多様性)』は 受け入れる『インクルージョン(包摂性)』 その人の居場所『ビロンギング(帰属性)』があってこそ 組織としての イノベーションを創造できる体制になります
『思考法の違い』と『価値観の違い』による 最高のパフォーマンスが発揮できる領域を考えてみます
① 思考法の違い=小 価値観の違い=小 の領域
思考法も然程変わらない 価値観も然程変わらない メンバーにおいて 新しい発想が生まれるでしょうか?
メンバー間の ”親しみやすさ” や ”仲良くなれる” といった『関係性』という観点では スムーズにいくとは思いますが この領域での イノベーション は期待できないでしょう
『関係性』『調和』を重視する 仲良しクラブ組織が 行っているのは
”なんちゃって”ダイバーシティ
と呼んでいいと思います
② 思考法の違い=小 価値観の違い=大
考え方が近いのに 価値観が違うメンバーが集まることは 仲良しクラブ組織にとって 『関係性』『調和』そして『文化・マインド』まで壊れかねないので この領域での ダイバーシティは 無駄で必要ないと考えられます
③ 思考法の違い=大 価値観の違い=小
まず 価値観 が近くて 思考法の違う メンバーを外部から招き入れる この領域が プラス効果が一番現れやすい
納得感のある ダイバーシティ
でしょう
④ 思考法の違い=大 価値観の違い=大
この領域では ビッグな イノベーションが起こる可能性は秘めていますが論争になって 双方ともに自分の主張を譲らない事態が生じると ケンカ別れ にもなりかねないという 難しさもあります
ここは 一か八かの勝負にでる 調整能力が高いリーダーの元での
短期プロジェクト向きの オープンイノベーション・ダイバーシティ
なんでしょう
メンバーシップ型雇用企業がジョブ型雇用を導入する難しさ
ジャム・セッションには 明文化されたルールはありませんが 暗黙知でしかない 掟 があると考えています
『専門性』
各演奏者は その楽器のプロフェッショナルであり 即興能力が高くなければなりません
『関係性』
インタープレイという 相互作用 を体感的に理解していることは必須です
『全体最適を考えている』
自分のソロ演奏という『部分最適』と 他者が演奏する『部分最適』をリスペクトしながら ジャズ・コンビとしての『全体最適』を想像できる能力も必要です
『演奏者以外の調整役』
演奏の場所 ジャム・セッションの企画 参加メンバーのセレクトと調整 といった 演奏以外の スペシャリストの存在も必要です
メンバーシップ型雇用において ジョブ型雇用を導入するにあたって
採用形態を新しく新設するだけの
”なんちゃって”ジョブ型雇用 では
既存のビジネス・プロセスの担い手を 変更するだけのもので
破壊的イノベーション は 生まれません
何の目的で どんな成果を期待して 組織体制・人事考課制度も一新するという
痛みを伴う企業変革を行う 経営陣の本気の覚悟
がなければ 簡単にジョブ型雇用への変更は出来ないでしょう
<モダンジャズ史上最高&最強のメンバーと言われる有名なライブ>
チャーリー・パーカー~デイジー・ガレスピー~バド・パウエルのソロ展開は 凄すぎです
ところが いつものことですが(?)薬漬けのチャーリー・パーカーは 手ぶらで会場にやってきて 近所で練習用の安いプラスチック製のアルトサックスを購入して その楽器で 酒に酔っぱらった状態で演奏したものだそうです
メンバーシップ型雇用大企業では
お客さんが どんなに喜んで 感動したとしても
チャーリー・パーカーは もちろん 直属の上司も 人事処分でしょう
履歴書には書けない多くの特技を持った人
今の日本の DXが進まない企業経営者は
「サッカーの試合に出て勝ちたいけど、練習はしたくない、どうしたらいいですか」と言っているだけで
一生懸命練習したプレーヤーが上手くなって 試合に出て勝てるようになるのにも関わらず
プレーしたこともない経営陣や管理職が 本を読んだだけで いきなり監督をやっているようなもの でしかない
と 次のダイアモン社の記事は 指摘しています
上司自身の出世に役立つ 社内的・平均的なジェネラリスト社員が 出世していく メンバーシップ型雇用大企業では
特定の分野では 卓越した才能を持っている人は 協調性に欠けるとみなされます
多くの才能を持っている人でも 何らかの失敗や成果を出せなかったことで ライン・オフされて 表舞台から消されて 埋もれていきます
そして そんな”脛に傷持つ”中高年は 会社に対する忠誠心も無くなって 自分の生活のため・家族のため と諦めて 自ら組織内で 身を潜めている人も多いでしょう
大企業は そんな一人がいなくなったところで 組織は回っていきます
こんな”脛に傷を持った人材”は 余程の偶然に恵まれない限り 浮上することはないでしょう
しかし 企業の『文化・マインド』は分かっている”脛に傷を持った人”は チャーリー・パーカーもような天才ではないかもしれませんが 特定の分野であれば 多くの インプロヴィゼーション を創造できる人材なのかもしれません
履歴書や内申書に書いていない・書けない 特技や才能を持った人
を社内で発掘して やる気になってもらって 活用したほうが 大企業としては 外部から新しい人材を加入させるよりも 簡単なのでは? とも思います
ここの『モチベーション』という大きな心理的な要因
これを どうやって醸成するのか?
ここは 簡単に解決できるようなものではないですが、、、
ジャム・セッションというオープン・イノベーションの場
ジャム・セッションは その人の”既存の知”と 他者の”既存の知”がぶつかり合って 新しい”イノベーション”が生まれる場所です
カウント・ベイシーは このジャム・セッション(アフターアワー・セッション)の場を 新しい人材発掘の場としていたそうです
新卒一括採用の大企業は
過去の経歴・肩書・資格そして学歴といったことが多く書かれた履歴書をベースにした中途採用しか行っていないでしょうから
何かのテーマを与えた討論会などビジネス・ジャム・セッションを 企画・運営していって
そこから発掘された人材を採用していくといった
といった発想の転換もアリ と思います
しかし これを 組織内コンセンサスが得られるようにするのは 経営陣のコペルニクス的脳内転換 が行われない限り 実現は極めて難しいでしょう
ここは ビジネス・ジャム・セッションは 就業時間外の アフターアワー・セッション でして成立できないでしょうし
社外のスポンサー 会場提供者 投資家 起業家 などの同じ価値観を持った有志によって立ち上げた
オープン・イノベーション でしか実現できないでしょう
私は このビジネス・ジャム・セッションを 実現すべきと思っています
チャーリー・パーカーの名言より
ただ働いているだけと クリエイティブに働くことの違い
「音楽は、体験であり、思想であり、知恵だ。もし、君がそれを実践しなければ、楽器からは何も生まれない」 チャーリー・パーカー
チャーリー・パーカー という天才がいなければ マイルス・デイヴィスの”クール・ジャズ”も ”ハード・バップ”も生まれていなかったでしょう
豊富な資金力がある 大企業において 今の企業風土では
天才は凡人に殺されるだけです
天才を殺さない風土・環境を作り出し それぞれのメンバーの才能を開花させる 『創造性を発揮させる』マネジメントが出来ると人
が存在できる企業風土に変わらない限り 天才は必要ないでしょう
仲良しクラブ組織で 破壊的イノベーション を生み出そうとするならば?
経営陣の一新
それが 最速の近道かもしれません
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