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Build up -創-

こんにちは、入社2年目設計士の端くれです。
みなさんは建築模型を目にしたことがありますか?
デパートや美術館など大きな施設で展示されている外観のイメージ模型でしか見たことがないといった人がほとんどなのではないでしょうか?
立ち止まって食い入るように模型を眺めているのは建築学生と小さなお子さんくらいかもしれません…。

しかし、この建築模型、莫大な時間と労力…汗と涙!!(が入っているかもしれない)がかかっているのです。
そこで今回は、建築模型制作の裏側について紹介していきます。

01.はじめに

制作する模型は、実物の建築物の1/50や1/100スケールのミニチュア模型で、建物の規模や大きさによって縮尺も様々です。
建築模型は目的によって「プレゼンテーション模型」と「スタディ模型」の2つに分かれます。

プレゼンテーション模型たち

「プレゼンテーション模型」では設計士が顧客(施主)に建物について説明し、魅せるためにつくります。そのため内観だけでなく外観も含めた緻密ちみつな部分まで、つくりこみが求められる模型です。


それに対し「スタディ模型」は、設計士が設計プラン中に実際の空間を検証するためにつくる簡易的な模型のことを指します。経験豊富な建築士であっても図面と実際の建築物とでは誤差が生じるものです。十分に思えた空間が狭かったり全体のバランスが悪かったりという問題を修正していくために制作されます。

スタディ模型で何度も試行錯誤する
         出典:連合設計社市谷建築設計事務所         https://www.rengodms.co.jp/2013/11/19/kenthikumokei/

設計事務所によって異なりますが、平均的に3つ以上は制作するとのこと…。多い時には100を超えるスタディ模型がつくられるそうです。破壊と再構築を繰り返しながら建築物は建っています。

02.模型制作の1日

私は普段、プレゼンテーション模型制作の割合がほとんどです。
住宅模型であれば最短で1日、作りこむ場合2~3日間に1つの模型と向き合います。ときには大きな物件の模型を頼まれることも。大きな物件に限って期日が差し迫ってたりと徹夜不可避な状況での依頼もしばしば…です。

深夜に制作した建築模型を撮影する先輩

ここからは、自己流での作り方の為、他の設計事務所の方々が見たとき「ここは違うだろ!」というご指摘があるかもしれませんが、ご了承ください。

03.建築模型のつくり方

03-01.パーツ切り出し

まず、先輩方が設計した図面を印刷していきます。開始するとやり直しは"タイムロス"となってしまうので、この段階で今回制作する模型のスケールを決定します。平面図・立面図から型を切り出し、スチレンボードに貼り付けていきます。このスチレンボードがのちに建築模型となっていきます。

03-02.仮組・塗装

個人差があると思いますが私は次に、壁を立ち上げ仮組を行います。なぜ仮組を先に行うかと言いますと着色した後、組み立てる際にズレなどで綺麗に接着できなかった時のショックが大きいからです…。マスキングテープなどで上手く組み立つことを確認した後に着色を行います。CGなどを確認しながらスプレーを吹きかけます。細かいパーツや風の強い日は手を犠牲にし、真っ白になりながら頑張ります。


03-03.装飾制作

細かい部分の制作に取り掛かりましょう!
フローリングや窓、テーブルや椅子、樹木など…
箱だけの模型に肉付けをしていきます。こだわっていけばキリがないほど手掛ける箇所があり途方もない作業ですが、可愛いミニチュアがどんどんできてきて並んでいくのを見るとなかなかクセになります。

また、お客様が建築模型を見たときに
「わぁ!!」となるのは作ったミニチュア家具に人模型が座っていて生活感が垣間見れるときなのではないかと勝手な想像をしながら制作しています。

椅子の作成(1/50)
樹木制作

04.一喜一憂

このような流れで建築模型は完成していきます。
制作途中にプラン変更で接着した壁をぶち壊したり、着色したパーツがイメージと違い何度もやり直しを行ったりと心が折れかかることもたまにはありますが…

悲しき模型の残骸たち

完成した時の達成感や「プレゼンでお客様が模型喜んでたよ」という先輩からの一言で制作してよかったなと思える、そんなやりがいのある仕事の裏側紹介でした。


05.さいごに

いかがだったでしょうか?
普段の業務では、先輩の図面のアシスタントや建築確認申請などもしており、模型製作もその一部です。が、やはり目標は設計。
1年…1カ月…1日…1秒でも早く設計やプランに携われるように、頑張っていきたいと思う私でした。





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