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【日本史9】明治史備忘録35(皇室典範・井上毅・ボアソナード・刑法・民法・商法・刑事訴訟法・民事訴訟法・成年年齢・夫婦別氏制・夫婦同氏制)

①皇室典範が成立した。

皇位継承の条件、皇族の範囲、皇族の経費などの事項が規定された。皇室典範は大日本帝国憲法と同じく最高位の成文法であった。議会を通して改正や廃止はできなかった。

②井上毅(こわし)が起草の中心であった。軍人勅諭や大日本帝国憲法の制定に関わっていた。柳原前光(さきみつ)は枢密顧問官、宮中顧問官を歴任した公家であったが起草に関わっていた。

③1880年(明治13年)に近代的な刑法と検察官による起訴の独占、裁判の公開、被告に弁護士をつけるといった治罪法が制定された。1890年(明治23年)には改正され刑事訴訟法となった。

④ほぼ同じ時期に民事訴訟法と商法が制定された。刑法起草にはフランスの法律学者のボアソナードが関わっていた。

ボアソナードは約20年間日本司法の確立に努めたので日本近代法の父と云われる。

⑤フランスの民法をモデルにしたものは日本の家族制度に合致しないという意見が政府からでた。法学者の穂積八束(やつか)は「民法出デテ忠孝亡フ」という論文を出して民法典論争が起こった。

⑥そして1896年(明治29年)に民法が公布された。

明治民法は公家や武家の間の家父長を中心とした家族制度を国民全般に広げたところが特徴である。

⑦江戸時代までの家族制度は身分や地域で一律ではなかった。しかし明治民法は多様な民衆の習慣を廃して画一化した。長男が家や財産を相続する事を原則とした。公家や武家の慣習には倣っているが民衆の伝統的な慣習とは合わないものだ。

⑧成年年齢は20歳と民法で定められた。

(2018年からは18歳)1900年(明治33年)に未成年者喫煙禁止法が施行されるまで喫煙は禁じられておらず飲酒は大正時代になるまで禁止法律はなかった。

⑨婚姻開始年齢は男性が17歳以上、女性が15歳以上と定められた。(1947年からは+1歳/2022年からは18歳)

⑩1876年(明治9年)に太政官指令で女性は結婚後も実家の姓を名乗るように定められた。夫婦別氏制である。江戸時代まで武士階級で一般的だった習慣を踏襲したものだった。

⑪民法では結婚後に妻が夫の家の姓を名乗るよう定められた。これが夫婦同氏制(1898年/明治31年)である。夫婦が同じ家に属するという考え方であるが西洋の結婚制度に倣い導入された。

⑫憲法、刑法、民法、商法、刑事訴訟法、民事訴訟法といった六法が日本に整備された。

■参考文献 『1冊でわかる明治時代』 大石学 河出書房新社

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