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3社合同展示『じゃナイ祭 SEASON 1』開催の舞台裏を公開

TOKYOBIKE TOKYO(清澄白河)にて、2024年5月30日から6月23日の間、「じゃナイ祭 SEASON1」を開催しています。トーキョーバイク(東京)、うなぎの寝床(福岡)、TRUNK DESIGN(兵庫)の3社がこれまで選んできた「じゃない」の展示と、POPUP SHOPでの販売を行っています。
今回は、その「じゃナイ祭」開催までの舞台裏をご紹介します。


きっかけは雑談から

きっかけは2023年10月、トーキョーバイクの田代さんとうなぎの寝床の富永さんの雑談から始まりました。

「うなぎの寝床って、もんぺを作るつもりじゃなかったんだよね」(富永さん)
「トーキョーバイクも自転車を作るつもりじゃなかったんだよね」(田代さん)

「!!!!!」(富永さん&田代さん)

「そんなつもりじゃなかった!ってなんかおもしろくない?」

そこに、いわゆる一般的な(デザインだけをする)デザイン事務所じゃないTRUNK DESGINの堀内も加わり、TOKYOBIKE TOKYO(清澄白河)をジャックすることだけが決まり「じゃナイ祭」はスタートしました。

会議のアウトプットを決めない普通じゃない企画会議

「じゃナイ祭」の企画会議は2024年1月にスタート。田代さん、富永さん、堀内が毎週オンラインで顔を合わせて企画を練っていくという、なんとも贅沢な企画会議が毎週のように行われました。

各社がそれぞれの「じゃない」を出し合って、その心を対話しながら深掘りしていく。

「大きい目標ってなくてもいんじゃない?」
「ゆらぎと偶然性・非合理性にこそ価値があるのじゃない?」
「経済合理性のある会社が今後も本当に残るのだろうか?」
「アスリートには勝てないかもしれないけど、パン食い競争ならアスリートに勝てるかも」...

特に会議のアウトプット(目的)は決めない、普通じゃない会議。
みんなのなかで「じゃない」への理解が深まっていく。

振り出しに戻る

とはいえ、会期も迫り、具体的な展示内容を決めていかないといけないと若干の焦りをみんな感じ始めていました。
各社の「じゃない」から共通項となりえるテーマを見出し、その共通テーマに沿って展示する内容をまとめていく作業に取りかかります。

しかし、富永さんは何やら浮かない表情。。。

「まとめようとして本来言いたかった『そんなつもりじゃなかった』が伝わりにくくなってない?」(富永さん)

「じゃない」の切り口が三社三様ならテーマも三社三様でいいじゃないかと展示内容は振り出しに。各社がそれぞれテーマを考え、様々な視点の「じゃない」が集まる展示へと仕上がっていきました。

少々、焦っております

会期まで1ヶ月を切った5月初旬。予定どおりゴールデンウィーク前に各社の展示用テキストが出揃い、レイアウトデザインやパネル準備が着々と進む、、、わけもなく。やるからにはギリギリまで検討したい3社の性分か、結局、テキストが全て出揃ったのは、設営2日前。パネル準備は設営当日まで続きました。

「少々、焦っております。」

一番耳にした堀内の5月の言葉です。

さすがの現場力とチームワーク

パネル準備が設営当日まで続く、そんなバタバタの設営当日。

パネルの数だけ「じゃない」がある
パネルの配置をその場で考える堀内のアドリブ力
数々の展示会を経験してきたメンバー。開催前日でもあたふたせず、冷静にレイアウトについて話し合う

具体的なパネルレイアウトや商品レイアウトは事前に決めず、現場の雰囲気を見て決めるスタイル。現場で足りないと感じたものは、新しくパネルを準備するなど臨機応変に準備していく。さすがの現場力。

15時からスタートした設営は展示物の量も多く、なかなか終わりが見えません。そんな時は、魔法の「じゃない」ワードで励まし合いながら、どうにか会期に間に合いました。

無事、「じゃナイ祭 SEASON 1」スタート

懸念していた台風1号も進路を外れ、快晴のなか「じゃナイ祭 SEASON 1」がスタート。開催初日から4日間、編集室スタッフもアテンドさせていただきました。読み応えのある展示となり、お客様の反応も良く、好調な滑り出しとなりました。

下町情緒と、おしゃれなカフェが多い町に存在感ある佇まい(TOKYOBIKE TOKYO)
じっくり読み込む姿を見ているとスタッフ一同、嬉しさが込み上げる

いろいろな「じゃない」が集まる『じゃナイ祭』。展示では3社がこれまでに多くの「じゃない」に直面し、どう捉えて進んできたのか変遷を辿ることができます。十人十色、人それぞれいろいろな考え方、選択、生き方があっていい。気持ちを軽く、また前を向かせてくれる、そんな展示になっています。

ここまで読んでくださった方へ
ぜひ「じゃナイ祭 SEASON1」にあそびに来てください!

自分自身の「じゃない」にも気付かされた

さいごに、キックオフミーティング、企画、設営、アテンドまで一貫して携わらせてもらい、気が付いたことを書きたいと思います。
私自身、大学卒業後、エンジニアとして電子部品の会社に11年間勤務し、いわゆる世間一般的には安定と言われる人生を歩んできました。今では欠かせない電子機器を支える電子部品の設計、社会的意義も大きく、やりがいのある仕事でしたが、顔も知らない誰かの利便性を追求するために仕事をする日々。

「自分が本当にやりたいことはこれだろうか?」

自問するなかで、顔も知らない誰かのためじゃなく、身近な人のために仕事をしたい想いが強くなりました。悩んだ末、会社を辞めることを決意し、手に職をつけるべくデザイン学校に通うことに。
卒業後は、デザインの領域を越えてつくり手のためにできることはなんでもする、デザインだけをする一般的なデザイン事務所じゃないTRUNK DESIGNに入社。
身近な人のために顔を付き合わせながら仕事ができ、とても充実しています。

振り返ると、自分の人生にはたくさんの「じゃない」がありました。そのおかげで今の自分があることを改めて実感し、感謝する貴重な時間でした。

2024年6月 小川


覗いてみよう! 『じゃナイ祭 SEASON 1』

「じゃナイ祭 SEASON 1」の舞台裏を読んだら、どんな展示なのか気になりませんか?
ここからは展示の冒頭を少しだけ紹介させていただきます。

トーキョーバイク

自転車を作るつもり「じゃなかった」

トーキョーバイクの創業時には、オリジナルの自転車を作るつもりはありませんでした。自転車パーツのオンライン販売をしようと、「tokyobike.com」というドメインを考えたのが始まりです。その後、「山を走るための自転車がマウンテンバイクなら、東京を走るための自転車、トーキョーバイクがあっても良いのでは?」という着想からオリジナルの自転車の開発・販売を始めました。

うなぎの寝床

もんぺを「じゃない」

今でこそ久留米絣や日本各地の生地までも作るようになりましたが、元々は自分たちでもんぺを作ることになるとも、いろんなお店さんで扱ってもらったり、イベントを開いてもらったりするようになるとさえ思っていませんでした。型紙がほしいという声に応え、型紙の形の細身のもんぺがほしいという声に応え、お店で扱わせてほしいという声に応え、そんな声を一つずつ形にしていった結果が今に繋がっていきました。うなぎの寝床にとって、もんぺは久留米絣や各地の生地、産地、その背景にある地域文化を伝えるためのコミュニケーションツールだと考えています。地域文化商社としての活動を続けていく中で、もんぺ屋のような姿にもなりました。

TRUNK DESIGN

視覚的なデザインだけがデザイン「じゃない」

独立当初は広告のデザインを主として活動していました。そんな中、昔のマッチラベルとの出会いが、デザインの意味を考えるきっかけとなりました。斜陽産業であるマッチを普及させ、地域に根付いている産業を存続させること、これが本当に人の役に立つデザインではないかと。そして、儲かる広告デザインじゃなく、お金にならない地域のデザインに本気で取り組むことを300万円の借入とともに決意し、誰からも頼まれていないプロジェクト「Hyogo Craft」を立ち上げ、地域に深く関わる活動を始めました。その活動が徐々に拡がり、今では兵庫だけでなく「日本のモノづくりを未来に繋ぐ」というヴィジョンのもと、少しでも日本のものづくり文化を未来に継承できるよう奮闘中です。

覗いてみよう! 「じゃない」商品

展示会場では、「じゃない」商品を多数取り揃えておりますので、ぜひ手にとってご覧ください。

じゃない自転車 (トーキョーバイク)
そんなつもりじゃなかったのに、トーキョー(= 街)を楽しむのに最適な自転車ができました。レンタルや市場もできますので、スタッフにお声がけください。

じゃないサングラス (tokyobike x tesio クラフトサングラス)
自転車じゃないオリジナルアイテム。自転車と一緒じゃない時でも、360°街の景色を楽しめるように、オリジナルのサングラスを作りました。

じゃないてぬぐい (tokyobike x かまわぬ てぬぐい)
自転車じゃないオリジナルアイテム。スタッフも愛用者の多い手ぬぐいですが、日常使いしやすい3柄を人気の自転車カラーでデザインしました。

じゃない型紙 (現代風もんぺの型紙)
反物幅で効率良く作れるように設計されたもんぺの型紙。アパレルじゃないからこその型紙販売。

じゃないもんぺ (MONPE / 久留米絣のもんぺ)
福岡の久留米絣を使ったもんぺ。もんぺをこんなに作るつもりじゃなかったのにいつの間にかこんなにたくさんに。

じゃない靴下 (くくり糸の靴下)
久留米絣の工程途中で出る“くくり糸”の靴下。もったいないじゃなく、くくり糸にこそきっと価値があるはずと考えています。

じゃないもんぺ (MONPE / いろいろな産地のもんぺ)
日本各地の生地を使ったもんぺ。“久留米絣じゃない”もんぺも作っています。

じゃないもんぺ (AB品のもんぺ)
A品としての規格外ではあるけどB品じゃないもんぺ。A品て何か一緒に考えてみてほしい。

お線香じゃないお香 (Ku)
火をつけなくても香りが楽しめる和紙のお香。火を付けると2〜3分香りを楽しめます。

特別じゃないお香 (Daily)
毎日量産されているお香を毎日楽しめる使い切りサイズで。特別な時だけではなく毎日使えるお香。

和じゃない磁器 (王地山焼)
和食中心ではなく、現代の食生活も意識し、洋食でも使えるオールマイティスタンダード。

作品じゃない陶器 (丹波焼)
王地山焼の形を元に、丹波の窯元とコラボレーションしたシリーズ。作品じゃなく日用品。

本漆じゃない漆器 (Lr by 井上徳木工)
漆器のベースをつくる角物木地師の技術が見える漆器。これまで見せてなかった部分をあえて見せる仕上げに。

プラスチックじゃないピクニックシート (CITON)
越前和紙にこんにゃく糊を塗り、撥水加工と手揉みシワ加工を施した土に還るプラスチックじゃないピクニックシート。

量産じゃないシャツ (megulu / LOCAL CRAFT DYEING)
オーガニックコットンのオリジナルシャツを10ヶ所の染め工場とコラボレーションし、量産じゃないシャツを作りました。

量産じゃないパンツ (megulu)
産地のデッドストックから生まれたパンツ。量産じゃないからこそ出会いを楽しめるパンツ。

じゃない磁器 (THEN)
学校給食にも採用されている強化磁器。数mm、数gの規格外から生まれたTHEN。


イベント概要:じゃナイ祭 SEASON 1

想像していた未来じゃなく、その時々の問いと選んだ道を記す祭り。
 
TOKYOBIKE TOKYO(清澄白河)にて、5月30日(木)から6月23日(日)のあいだ、”じゃナイ祭 SEASON1”を開催します。
 
うなぎの寝床、TRUNK DESIGN、トーキョーバイクの3社が、これまで選んできた「じゃない」の展示と POPUP SHOPでの販売を行います。
6月13日(木)にはトークイベントも開催。ぜひ足をお運びください。

会期:2024年5月30日(木) – 6月23日(日)
営業時間:平日 11:00 – 18:00 / 土日祝 10:00 – 18:00
場所:TOKYOBIKE TOKYO [Googleマップ
定休日:月・火

トークイベント

5ヶ月間にも及ぶ祭りの準備、創業からこれまでの膨大な「じゃない」を出し続け、 「じゃなかった」から今があるを語ります。 誰しも通る「じゃない」を選ぶ道。そう「じゃない」をみんなで共有する祭り SEASON1のはじまりです。

日時:2024年6月13日(木) 20:00〜
場所:TOKYOBIKE TOKYO [Googleマップ
登壇者:
富永 潤二 (うなぎの寝床)
堀内 康広 (TRUNK DESIGN)
金井 一郎 (トーキョーバイク)
田代 勇輔 (トーキョーバイク)

イベント参加は、こちらのフォームよりご予約をお願いします。

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