管打楽器コンクール2次予選(昔の自分の話)
今年の日本管打楽器コンクール、トランペット部門は衝撃でした。中学生の児玉隼人くんが参加者200名以上の中での第一位。さらに昨日の特別大賞演奏会ですべての部門での第一位。本当に素晴らしいとしか言い様のない結果でした。
そんな管打楽器コンクールですが遥か昔、僕も音大生の時に二次まで進んだことがありました。コンクールはいろいろ参加はしましたが苦手意識が強く、思ったようなパフォーマンスができた試しがありません。
そんな中で二次に進めたのはなかなか奇跡的でしたが(一次予選から進めるのは10人に1人程度なので)、その時の課題曲のひとつに武満徹作曲「径」がありました。
無伴奏でハーマンミュートを瞬時につけたり離したりする曲で、手で操作する時間はありません。この作品を演奏する際には、特殊なミュート固定台を作ったり、面白いところではN響首席の菊本さんはダブルベルのトランペットで切り替えて演奏しています。
で、僕はどうしたかと言いますと、東急ハンズで太い針金のようなものを手に入れて、ぐるぐる巻きのバネ状にし、先端にクリップをつけて譜面台に固定、逆側にミュートをくくりつけるというタケミツ専用スタンドを作りました。
まあ実際はそういうのが得意な後輩が作ってくれたんですが。僕は昔から技術家庭とか工作とかめちゃくちゃ苦手なので。
ミュートスタンドについて、管打コンクールの主催へ問い合わせしなかった僕が悪いのですが、実は会場に専用のスタンドがちゃんと用意していたらしく、それがわかっていればこんな苦労しなくてもよかったのですが、せっかくなので使うことに。
そして緊張の本番。ミュートスタンドを装着し、演奏開始。
すると、譜面台の高さ調節ネジがしっかり締まっていなかったようで、ミュートにトランペットのベルを押し付けると軽く回転し始めました。
?!
その後はミュートをする度に少しずつ少しずつ回転し、演奏が終わった頃には審査員に対して真横を向いているという、おもしろパフォーマンスで終わりました。
もう恥ずかしいやら焦るやらで全然集中できなくて演奏は散々でした。舞台近くに座っていた誰か知ってる人がすごい笑っていたのを覚えています。
コンクール、向いてないんですよ多分、いろんな意味で。
荻原明(おぎわらあきら)